名古屋大や県立橿原考古学研究所などの研究チームは、火山活動の観測などに用いられている宇宙線「ミューオン」を利用した古墳の透視実験に成功したと発表した。天皇陵など立ち入りが難しい古墳の内部構造を発掘せずに調べる道を開く成果で、6日、奈良市で開かれた日本文化財科学会で明らかにした。(早川保夫) ミューオンは素粒子の1種で、宇宙から地表に降り注いでいる。人体の透視に使われるエックス線と比べて透過力が強く、延長1キロ・メートル程度の透視が可能。密度の高い土などを通ると数が減るため、数を分析することで、火山の内部構造などもわかる。 実験は今年3月、構造が明らかになっている大淀町の7世紀の円墳・石神古墳(直径約22・5メートル)で実施した。ミューオンを捉える高感度フィルム(縦10センチ、横12センチ)を6枚重ねて、横穴式石室の中心から約16メートル離れた、石室に続く通路の入り口下に1か月設置。数百ナノ