前回のコラムに引き続き。 スティーブ・ジョブズのことで、私がどうしても連想してしまうのは、映画『地上(ここ)より何処(どこ)かで』(1999年、アメリカ)である。原作のモナ・シンプソンは、ジョブズの2歳少し下の実妹で、彼女の自伝的小説がこの映画のもとになっている。 ストーリーは、娘を女優にするために、田舎からビバリー・ヒルズに引っ越してきた親子を軸に進んでいく。自分の思いどおりにならないと気がすまない母親と、女優になろうとはカケラも思っていない娘。ただし、養子にもらわれていった、ジョブズにあたる人物は出てこない。 母親はどこまでも楽観的で、強引で、癇癪持ちだが、気が利いているものが好きで、お金もないのにみんなにクリスマスプレゼントをあげてしまったりもする。あるとき、アパートの電気を止められてしまうと、彼女は、「こういうときはおじいちゃんが言っていたとおりに」などと言い出す。そして、フランス