安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ 2020年改憲に透けて見えるウクライナ侵攻への布石 国分高史 ジャーナリスト・元朝日新聞編集委員兼論説委員 75年前、私たちも共有した「民主主義」や「自由」が攻撃されている ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事侵攻は、世界中を驚かせた。ただ、プーチン氏はそれに先立つ2020年にも、現代のリベラルな民主主義国からすれば考えられない行動に踏み切っている。大統領権限を強化するとともに、自らの任期の2036年までの延長を可能にする大規模な憲法改正である。 改憲が成立した当時、日本では大統領任期と、北方領土交渉にかかわる「領土割譲禁止」条項のふたつが大きく注目された。ただ、この時の改憲内容を改めて検討してみると、これ以外にも近代憲法のありようとかけ離れた保守的、国家主義的思想や、ウクライナ侵攻への布石とも受け取れる条項がいくつも見受け