尖閣諸島をめぐる日中緊張は激化しそうな気配だ。南シナ海諸島をめぐる東南アジア複数国と中国との対立はさらに複雑で、日本にいい教訓を与えてくれる。 ≪すきを突いて出てくる中国≫ 南シナ海における最初の領土紛争は、1974年1月ベトナム戦争末期のどさくさに紛れて、中国が艦船と空軍機で、当時、南ベトナムが支配していたパラセル(西沙)諸島から同国兵を排除し、実効支配を始めたことである。ついで88年3月、中国がベトナム統治下のスプラトリー(南沙)諸島の赤瓜礁を攻撃し、ベトナム兵70人を殺害して実効支配下に置いた。 中国はこのように「力の空白」に乗じて実効支配を広げてきた。92年9月、米海軍がフィリピンから撤退すると、中国は同年11月には漁船に擬装した海洋調査船を多数派遣し、95年2月、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)のパラワン島近くのミスチーフ環礁に軍事構造物を建設した。 ≪素早く手打ったマレーシ