うんこ。 一日に一度だけ、きみは世界に現れる。 夜になると、いつもの場所で。 それは工事現場の片隅さ。 一日に一度しか会えないきみに 僕は「やあ」と声をかける。「生まれて来てくれて、ありがとう」 肛門から顔を出したきみは 「恥ずかしながら帰って参りました」と横井庄一の真似をする。 でも僕は知ってるんだ。 今日のきみは昨日のきみとは別のうんこだってこと。 一日に一度しか押せないシャッターを押し、僕は声をかける。 「きみはいったい何を思って生まれて来るの?」 さっきまであたたかかったきみは、もう冷たくなっている。 誰もきみの心は代弁(大便)出来ないね。