愛する男性との子供がほしい、たとえ彼が死んでいたとしても──。そんな願いを叶えようとする女性が近年、増えている。 技術的にはすでに可能だが、問題になっているのは、自分の意思に関係なく「父親」にさせられる故人や、死者の精子から生まれてきた「死後懐胎子」の人権をどう尊重するかだ。世界中で議論になっている、死後の精子採取の最前線をお届けする。 医師の到着を待っている、ある1人の男性がいる。だが彼に残された時間は刻一刻と短くなっているため、妻の焦燥感は募るばかりだ。 妻は2人の最後の望みを叶えてくれる医師を見つけようと、ひっきりなしに電話をかけた。そしてようやく、1人の医師が話を聞いてくれた。サンディエゴ在住の医師、マーティン・バステューバだ。バステューバが受話器をとると、妻は震える声でこう言ったという。 「助けてもらえませんか……」 その1時間後、バステューバは男性のもとへ到着し、素早く準備に取
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