(篠原 信:農業研究者) もう5年ほど前になるだろうか。「水耕栽培で人工知能を用いて、生産を最大化し、病気を予防する技術を作りたい」として、相談にみえた企業があった。話によると、水耕液に電極を突っ込んでデータを大量に集積し、それを人工知能に学ばせて、肥料を与えるタイミングや量を最適化し、病気を予防し、生産量を向上させる技術開発を実現したいのだという。 私はひとしきり話を聞いたあと、「難しいでしょう」と答えた。すると相手研究者は、私が人工知能のことをあまり詳しく知らないのだと思って、「最近、ディープラーニング、つまり深層学習というのが誕生しまして・・・」と解説してくれた。それも一通り伺った後、私は次のように答えた。 「やはり、難しいと思います。たぶん、大事なことをご存じないのだと思います。 農業現場で使えるセンサーは、事実上、pHメーター(酸性かアルカリ性かを測定する機械)とECメーター(水
![農業の「人工知能」活用を阻む最大の壁は何か センサーの限界を逆手にとった「ノイズだらけのデータ」の活用 | JBpress (ジェイビープレス)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/20f97d8a4d43bd9f30583718abaf9c971772f76e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjbpress.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F6%2Ff%2F1200mw%2Fimg_6fc40c7375e818fca1e52750b35f722a634241.jpg)