ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)グループは、ドイツThyssenkrupp(ティッセンクルップ)グループの鉄鋼子会社Thyssenkrupp Steel(ティッセンクルップスチール)から低炭素鋼を調達することで覚書を締結したと発表した。VWグループは水素とグリーン電力で生産した低炭素鋼「bluemint Steel」を2028年から調達し、その後、段階的に調達量を拡大する予定。
1991年に日本大学卒業、キヤノン販売(当時)に入社。1997年に福島県で建設機械レンタル事業を手掛けるBIGRENTALを創業。同社とコマツ子会社のコマツレンタルの経営統合に際して、2008年にコマツレンタル社長に就任。2015年1月より現職。(写真:北山 宏一) コマツは建設機械という「モノ」だけでなく、顧客が工事現場で直面する困り事の解決を図るという「コト」も提供したいと考えている。 建機の稼働状況などを遠隔で管理するKOMTRAX(コムトラックス)は2001年の開始以来、社外から高い評価を得てきた。ただKOMTRAXがつなげているのはコマツの建機だけだ。実際の工事現場にはコマツ以外のメーカーの建機や車両、作業員が存在する。自社の建機が使われていない工程には関与できず、顧客がどんな作業をしているのかも十分に理解できていなかった。 こうしたKOMTRAXでの「反省」から2015年に立ち
愛媛県の離島を結ぶ斜張橋の岩城橋で、2022年3月の開通から2年足らずで全17本の照明柱のうち12本に亀裂が生じたのは、風による渦励振(うずれいしん)の発生が原因だったことが日経クロステックの取材で分かった。支柱が振動して急速に疲労損傷が進んだと見られる。岩城橋を管理する愛媛県今治土木事務所は、24年8月9日までに全ての照明柱を制振装置付きのタイプに交換。同年9月からモニタリングを続けている。 岩城橋の全長は916mで、瀬戸内海に浮かぶ岩城島(愛媛県上島町)と生名島(同)をつなぐ。そのうち斜張橋部分の長さは735mに及び、5径間連続鋼・コンクリート混合形式を採用している。片側1車線で幅員は7.5mだ。高さ約10mのアルミ製の照明柱を、防護柵の外側に1列で取り付けていた。 照明柱の異変が発覚したのは、開通から1年8カ月ほどが経過した23年11月のことだ。愛媛県が社会インフラを観光資源に活用す
韓国・現代自動車(Hyundai Motor)グループとチェコのSkoda(シュコダ)は、プラハで開催された韓国・チェコ共和国ビジネスサミットにおいて、水素経済の構築と持続可能なモビリティーエコシステムの実現に向けて協力するという内容の覚書を締結した。両社の提携は、水素技術導入の加速を目的とし、チェコを含む世界市場で水素経済とカーボンニュートラルの発展を目指すものという。 今回の覚書では、水素燃料電池システムと周辺技術の導入に関する研究、モビリティープロジェクトとクルマの高エネルギー効率ソリューションの導入に関する研究、モビリティー以外の水素エコシステムとバリューチェーンの機会の探求などが含まれる。現代自動車が燃料電池システムとその技術をシュコダと共有する可能性を検討する一方、シュコダが事業展開する世界市場で環境に優しいモビリティーの導入を加速する。 両社は、水素が持続可能な社会の重要な柱
「洋上水素」は、洋上風力発電の電気を利用してグリーン水素を製造するという新しいアイデアだ。特徴はクリーンなグリーン水素を大規模に提供できるという点にある。AIブームを背景としてデータセンターが「ギガワット時代」に突入しようとしている文脈で、この特徴が今後、有利に働く可能性がある。 洋上での水素製造プロジェクトにはいくつかのアプローチがある。例えば、洋上風力発電所を海底ケーブルで陸上に接続し、陸上で水素を生成・貯蔵する方法や、淡水化した海水または直接海水電解を使用して水素を生成し、パイプラインを通じて陸上に輸送し、貯蔵・利用する方法だ。 生成された水素を洋上でアンモニアに変換し、貯蔵や輸送、もしくは直接利用する方法もある。船舶燃料としての使用が見込まれるアンモニア電力システムの開発やアンモニアサプライチェーン(供給網)の確立に伴い、この方法が注目されている。必要に応じて、アンモニアを再び水素
日機装は、研究開発拠点である日機装技術研究所(東京都東村山市)内に新たな研究棟を建設する(図)。新研究棟では、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーに対応するポンプのほか、生産の自動化やコンポジット(複合材料)などに関する研究開発に取り組む。2025年10月に着工し、2027年5月に竣工予定。 新研究棟には、大型のポンプやコンポジットの実験・試作が可能な大型実験試作エリアと高度な機器を備えた評価試験エリア、ユーザーと協力して製品を開発するためのエリアを設ける。これらを執務エリアに隣接して整備し、アイデアをすぐに試作・検証できる環境を構築する。併せて、既に稼働中の「メディカル技術センター」と新研究棟を連結させて、技術者同士の交流を促す。その他、同社が持つ知識を発信して他社や研究機関との連携を加速させる場をつくり、人材育成や革新的な製品の創出、新しいビジネスモデルの構築を進める。 新研究棟全体
1984年大阪大学工学部卒。同年川崎重工業入社。2009年技術開発本部技術企画推進センター技術企画部長、2016年執行役員技術開発本部副本部長兼技術研究所長、2019年常務執行役員技術開発本部長、2020年取締役常務執行役員、2022年代表取締役副社長執行役員、2024年4月から現職。(写真:飯村 潤) 松本氏:そうなんですね! 川崎重工の技開本といえば、カンパニーの枠を越えてグループ全体の研究開発を担う部門ですね。てっきり経営側からの発案だと思っていたので、驚きました。水素の話が最初に出てきたのって、何年前ですか? 中谷氏:2009年です。 松本氏:というと、まだSDGs(持続可能な開発目標)もなく、脱炭素への意識も今ほど高くはなかった頃ですよね。どういう経緯で、「水素社会」というキーワードを導き出したのでしょうか。 リーマン・ショックで落ち込んだ社内に「水素」で活を 中谷氏:あのころは
工業用ガスや化学製品の販売を手掛ける米国Air Products and Chemicals(エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ)は、欧州の主要輸送ルート沿いに常設の水素燃料供給ステーション(HRS)を設置し、商業規模での水素供給ネットワークを構築する計画を発表した。欧州各地の主要地点を結ぶルートに設置することで、燃料電池トラックによる大型輸送車両の脱炭素化を推進する。 エア・プロダクツのHRSには、水素供給システムと複数の高圧水素供給オプションがあり、最終的には液体水素貯蔵システムを設置する計画という。この水素供給ネットワークには、同社がオランダ・ロッテルダムに建設している2番目の水素液化プラントも含まれる。この工場が稼働すれば、同社の欧州での液体水素生産量は2倍になる。 同社のHRSは、すでにベルギー・ゲント港にあるスウェーデンVolvoグループの施設内に設置されている。その他、ロッ
これまで開発メーカー自体がわずかだったAEM(Anion Exchange Membrane)形水電解装置だが、Hannover Messe 2024では、新規参入企業の出展が目立ち、PEMに勝るとも劣らない存在感を示した。触媒のコストがPEMに比べて大幅に低く、次世代水電解の本命技術という見方もある。日本のメーカーも複数社が参入してきた。 「Hannover Messe 2024」では、グリーン水素生成のための水電解装置やその部材が多数出展された。 そこでPEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置と同程度に目立っていたのが、AEM(Anion Exchange Membrane)と呼ばれる方式のシステムや部材である。 Pt系貴金属が不要 AEMは、実用化で先んじたアルカリ水電解(Alkaline Water Electrolysis:AWE)とPEM、固体酸化
Hannover Messe 2024には出展しなかった企業や研究所の中にも、PEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置でイリジウム(Ir)の使用量を大きく低減させつつあるところは複数ある。 その1つが、理化学研究所だ。同研究所は2024年5月に、Irの使用量を0.08mg/cm2まで低減したと発表した。 理研はIrを原子単位で活用 理化学研究所の工夫は、Irを原子単位で用いたことだ(図A-1)注A-1)。Irは、二酸化マンガン(MnO2)のMn原子の一部をIrで置換した格好で、価数は6価であるという注A-2)。同研究所はこの触媒を「atomically dispersed IrVI oxide (IrVI-ado)」と呼ぶ。
Hannover Messe 2024では、世界の多くのメーカーが、PEM(Proton Exchange Membrane)形水電解装置を出展した。大型のもの、小型のもの、そして斬新な設計のものなど多様化が進んだ。今後のコスト低減競争を左右するイリジウム(Ir)触媒についても、利用量を従来の1/10以下にする技術を複数の企業が開発した。 ドイツの国際展示会「Hannover Messe 2024」では、水を再生可能エネルギーの電力で電気分解してグリーン水素を取り出すための水電解装置や部材の出展が相次いだ。この水電解装置にはいくつか種類があるが、今回の展示会で最も出展が多かったのが、PEM†と呼ばれるタイプである。 †PEM=Proton Exchange Membrane(プロトン交換膜)あるいはPolymer Electrolyte Membrane(高分子電解質膜)の略。固体高分子形
ドイツの国際展示会「Hannover Messe 2024」では約4000社が参加し、多くが「Industry 4.0」、すなわち工場のオートメーション化やデジタル化を軸に出展した。ただし、約500社は再生可能エネルギーの電力で生産するグリーン水素やグリーンアンモニア、そのための水電解技術やアンモニアの分解技術などについての出展だった。 ドイツ・ハノーバーで2024年4月に開催された国際展示会「Hannover Messe 2024」の主要テーマは「Energizing a Sustainable Industry(持続可能な産業を活性化する)」。約4000社が参加し、多くが「Industry 4.0」、すなわち工場のオートメーション化やデジタル化を軸に出展した。
ヤマハ発動機は水素ガスでアルミニウム(Al)合金の溶解と鋳造部品の熱処理を行う実証施設を同社森町工場(静岡県森町)に新設する(図1)。溶解炉と熱処理炉を備え、2025年9月から実証実験を開始。2026年末には技術開発を完了し、2027年以降に同社グループの国内外の鋳造工場に順次導入していく。2024年7月10日に発表した。
出光興産、東京大学、大阪大学、産業技術総合研究所は2024年7月4日、常温・常圧環境下でアンモニア(NH3)を空気中の窒素(N2)と水(H2O)と電力から連続的に合成する技術で、競合のアンモニア生成速度を20倍上回る世界最高性能を達成したと発表した(図1)。今後、2028年度までにシステムの規模を拡大すると同時に生産効率をさらに高める研究開発を進め、その後は社会実装に向けた開発をして、2032年度に1000トン/年規模のアンモニア生産を目指すとしている。 アンモニアは100年余り前にドイツで水素(H2)と空気(実際には窒素ガス)から合成する技術「ハーバー・ボッシュ(HB)法」が開発されたことで、低コストで量産できるようになり、それを肥料に用いることで食料の生産量が飛躍的に高まり、世界の人口の急速な増加につながった。ただし、HB法には、 (1)高温高圧を必要とし、結果として装置が超大型になる
燃料電池用MEAの出来栄えを確認する谷脇和磨氏。電極製造技術の開発を率いた(写真:TOPPANホールディングス) TOPPANホールディングスが次の事業の柱に見据えるのが、水素だ。創業以来培ってきた印刷技術を、水電解装置や燃料電池向けの電極製造に生かす。およそ19年かけて開発した電極製造技術「ダイレクトコーティング」は、既存の転写方式と比べて触媒層と電解質膜の密着性が高く、優れた出力特性と耐久性を示すという。 この方式で製造した触媒層付き電解質膜(Catalyst Coated Membrane、CCM)、及び膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)の販売を2023年8月に開始し、水素市場への参入を果たした。開発を率いた谷脇和磨氏にこれまでの経緯や今後の展開を聞いた。 水素市場への参入を目指したきっかけを教えてください。 およそ20年前の2004年に検
2024年5月、富士スピードウェイ(静岡県小山町)での24時間耐久レースでトヨタ自動車の液体水素エンジン車が幾つかの新技術を搭載して、2年目の大きな進化を見せたのはリポートした通り。トヨタの水素エンジン車としては、2021年から4年連続の24時間耐久レースへのエントリーとなった。その狙いは、あくまでもカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ、CN)で高効率な水素エンジン車を市場に投入することである。 水素エンジン車開発の進捗状況を探るため、筆者は富士スピードウェイのレース会場でトヨタのキーパーソンを直撃した。耐久レース用の水素エンジン開発を担当するトヨタGAZOO Racing Company GRパワトレ開発部主査の⼩川輝⽒だ。同氏は市販予定の水素エンジンの開発も兼務している。話を聞いていくと、驚きの開発実態が判明した。 熱効率は良くないが、「ストイキ」燃焼を有力視している――。一
ドイツの大手自動車部品メーカー、MAHLEグループ(マーレ・グループ)は、英国ノーサンプトンの試験施設に大型水素パワートレーン専用のテスト機能を追加すると発表した。2台の水素チューブトレーラーを置き、2台を切り替えて使うことで水素を連続して供給できるようにする。また、出力を900kW、4000N・mにアップグレードしたエンジンダイナモメーターを備え、負荷の軽重にかかわらず各種のテストをサポートできるようにする。 近年、オフロード車、大型作業車、船舶など電動化が難しい分野での脱炭素化に、水素燃料電池や水素エンジンが注目されている。今回の拡張は、大型水素エンジンを開発する顧客からの強い要望に応えたものだという。試験場には専用の水素供給装置を備え、大型のエンジンに対応し、その重量やトルク特性が増大しても厳しい試験を実施できる設備を構築した。 ノーサンプトンの試験施設は、すでに水素燃料電池システム
2024年5月、富士スピードウェイ(静岡県小山町)での24時間耐久レースでトヨタ自動車の液体水素エンジン車が2年目の大きな進化を見せた。水素供給系を中心にカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ、CN)という視点で採用された主な新技術は4つ。加えて、公にはされていないがもう1つあるようだ。さらに、今後に向けて幾つかの新技術も研究開発されている。それら技術の詳細を見ていこう。 今回のレースに参戦した「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(以下、液体水素エンジンカローラ)は、電気系の改造などが起因となりアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の制御性に問題が発生し、安全上の観点から合計で約9時間(3回)、ピットインすることとなった。それでも、肝心の液体水素エンジンや水素供給系には大きな問題が発生せず完⾛した。
ドイツVolkswagen(VW)は、オマーンのVulcan Green Steel(バルカン・グリーン・スチール)と低炭素鋼の調達について覚書を交わしたと発表した。バルカン・グリーン・スチールから調達した低炭素鋼はVWの欧州工場で使われ、年間最大30万トンになる模様。 バルカン・グリーン・スチールは、インドのコングロマリットJindal Steel Group(ジンダル・スチール・グループ)の傘下で、グリーン水素を使って低炭素鋼を生産する技術を持っている。風と日差しが強いオマーンは、年間の日照時間が3493時間、風力エネルギー密度は248W/m2になり、風力発電と太陽光発電に向いているという。ドゥクムの製鉄所では、鉱山から採掘された鉄鉱石を自社で発電したグリーン電力と、自社生産したグリーン水素を使って製鉄する予定。 ドゥクム製鉄所は現在建設中。2026年から操業を開始する予定で、当初は天
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