宝塚大劇場=10日、兵庫県宝塚市今年生誕150年を迎えた小林一三は、スケールの大きな企業家だった。阪急電鉄を起こし、阪急百貨店を開設した。今年のパ・リーグを制したオリックスの前身、阪急ブレーブスをスタートさせ、高校野球の生みの親でもある。 ▼ただもっとも愛着を抱いていたのは、大正3(1914)年に創設した宝塚歌劇団であろう。電車の乗客を増やすのが目的だったが、もともと幼少時から芝居好きで脚本も何本か手掛けている。小林が作った歌劇団の標語「清く正しく美しく」はあまりにも有名だ。葬儀も本人の希望で宝塚大劇場で執り行われた。 ▼その歌劇団が大きく揺れている。劇団員の女性(25)が9月末に宝塚市の自宅マンションの敷地内で急死した問題である。兵庫県警によれば自殺の可能性が高い。遺族側は長時間労働と複数の上級生からのパワハラが原因だとして、歌劇団側に実態把握と謝罪を求めている。
