情報社会論の偉大な先達 日本で、世界に先駆けて情報社会論が展開されたのは、1960年代のことだった。1963年に発表されて衝撃を与えた梅棹忠夫氏の論文、情報産業論がその嚆矢となり、60年代の後半から70年代の前半にかけて、「情報化」あるいは「情報社会」という言葉自体がまず日本語として創り出され、広く普及したことは忘れられない。北川敏男氏の総編集で、1970年代の半ばに続続と刊行された学習研究社の『講座情報社会科学』(全○○巻)は、この時代の成果の一つの集大成とでもいうべき試みだった。 しかし、数多ある情報社会論者のなかでも、その透徹した分析的視点と洞察力において、とくに今の時点から見て群を抜いていたのは、なんといっても故増田米二氏だった。 増田氏はすでに1968年という早い時期に『情報社会入門 コンピュータは人間社会を変える』(ぺりかん社)を世に問っている。日外アソシエーツ株式会社の『CD