昨夜の JIMS「マーケティング・ダイナミクス」部会では,以下の二題のご発表をいただいた。 川畑泰子(九州大学), 石井晃(鳥取大学):ヒット現象の数理モデルによる江戸時代のヒットの考古学 光辻克馬(東京大学):元治元年池田屋事件シミュレーション 最初の発表は,江戸時代の歌舞伎を分析対象にしている。当時の歌舞伎で、広告はもちろん、コ・プロモーションやプロダクト・プレースメントが行われていた,という話だけでも十分面白かったが、本題は川畑さんの収集した「ビッグデータ」の解析である。 歌舞伎に関する浮世絵、川柳、瓦版に関する膨大な数のデータを丹念に集めるという努力自体、学術的な貢献が非常に大きいと思われる。しかし川畑さんはそれにとどまらず、これらのデータをクチコミの代理変数として、石井晃先生のヒット現象の数理モデルを適用する。 このモデルでは公演回数と事件が入力で、「クチコミ」が出力になる。出力