今年もジェンダーギャップ指数が発表され、日本は121位と相変わらず低位であった。この指数については、政治的エンパワメントに極端に加重がかかっており、かつ指標の採り方が女性の絶対的人権状況をとるものではなく性比一本槍で評価するためブレやすく、そういった点に対する批判が多く聞かれる。 個人的には、政治的エンパワメントも目指すべき目標の一つであるのだから、そこに文句を言う筋合いはないと考えている。そのうえで、ジェンダーギャップ指数は政治的エンパワメントの指標としてもあまり質が良くないと考えている。ジェンダーギャップ指数は差別構造が残っているにもかかわらず見た目だけ順位を上げるハック・チートが容易であり、かつ実際上位に並んでいる国に差別的構造が残っていることが多いからである。言い換えれば、差別を撤廃するための指標としてあまり役に立っていない、ということである。この項では、それらの事例について検討し