2004年に原著が刊行され、大変な論争を読んだ一冊の新版が翻訳された。2019年のフランス語版に付された、刊行後の15年を総括する文章も新たに訳出されており、本書の主張や現状の政治的状況についての理解を深めてくれるだろう。 ジョセフ・ヒース+アンドルー・ポター著『反逆の神話〔新版〕:「反体制」はカネになる』『反逆の神話』は原著タイトルを「THE REBEL SELL」と言い、「反逆が売り物にされている」という意味である。一番目先の批判のメインターゲットは、アドバスターズ・メディア社や、ナイキ、ナオミ・クラインらの反グローバリズム運動などであるが、その背景にあるカウンターカルチャーやフランクフルト学派の思想を批判的に検討するという射程の一冊であり、そうであるがゆえに非常に論争的で扱いの危険な一冊である。 『アドバスターズ』はカナダの財団が発行している「広告破壊」の雑誌で、左派活動家向けの雑誌