光文社の文芸誌「ジャーロ」に短編を寄稿しております。 簡単に要約すると、山形を舞台に、女探偵(というか便利屋さん)が、さくらんぼ窃盗犯を追うという話です。 50枚ぐらいの話です。今回のジャーロ誌は「東北へ思う」というテーマなので、自分の地元を舞台にしました。 さくらんぼの収穫で賑わう6月下旬〜7月下旬を書いております。「紅い宝石」というタイトルっす。 こちらのほうも、どうぞよろしく。 https://twitter.com/#!/ash0966
さて、今月30日(28日ぐらいから発売が始まる感じです)に、新作『アウトクラッシュ 組織犯罪対策課八神瑛子2』(幻冬舎文庫 630円)が発売されます。どうぞよろしく。 上野署のマル暴女刑事、八神瑛子の第二弾です。『アウトバーン』の続編になりますね。 相変わらず警棒で悪党をぶん殴ったり、違法捜査でワナにはめたり、ワルとつるんだりと、そういう話でございます。 壊滅された北朝鮮ルートに代わり、東京都内には急激にメキシコ産覚せい剤が出回っていた。メキシコ最大の麻薬カルテル“ソノラ・カルテル”が日本に販路を見出したのだ。需給バランスが崩れるほど、秘密かつ大量に出回るシャブに、縄張りを荒らされている関東の広域暴力団印旛会は、八神にある依頼を持ちかける。「カルテルのルートを潰すために協力してくれ。死んだ夫の真相を知りたければ」 印旛会は販路を潰すためにある秘策を練っていたが、メキシコ麻薬組織と提携し、メ
うんざりするほどの大雪と寒さに耐えかねて、先週は博多中州で過ごしましたが、博多は博多なりに寒かったので、がっくりしました。 サラリーマン時代に二年ほど過ごし、七年ぶりに訪れたのですが、自分が通っていた天神のダイエー(タワレコがあった)は改装中で、同地区にある「まんだらけ」は泌尿器科のクリニックかなんかに変わっておりました。岩田屋がパルコに変わってたりと、いろいろと時代の変化を感じます。しかし、「いつだろうと、どこであろうとうまい」という往時の猪木みたいな強みがこの町にはあり、どの居酒屋や立ち呑み屋に行っても料理がうまく、やはり訪れてよかったと思いました。 博多ラーメン店を通りかかると、「おお、この臭い。たまらんね」とうれしくなり、鼻の曲がるような獣臭さも愛おしく思えました。 さて、今日発売の「週刊SPA!」に、インタビューが載っております。「昭和ノスタルジーが日本を滅ぼす」という、まあ某映
はい、火曜日でございます。 地元さくらんぼテレビのコミック評「コミックストリート」が更新されました。 毎回、1冊を取り上げるこのコーナーですが、今年ラストの回ということで、「2011年ベストコミック5」(ホントはベスト10にしようとしたら、3000字ぐらいになりそうになったので半分にした)という企画で振り返ってみました。 どれも「見逃し厳禁」とは思っているけれど、独断と偏見によるランキングなので好き嫌いは分かれるところでしょう。ご参考までにどうぞ。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2011/12/post-38.html(2011年極私的ランキング・ベスト5) ベスト10となると、「裁判長! ぼくの弟懲役4年でどうすか」「アラサーちゃん」「デラシネマ」「皺」「ママゴト」が、とてもよかったという感じでございます。 来年もよろしく。
つーわけで、お仕事の話です。 3年前の拙著「東京デッドクルージング」が文庫化されるのであります。 11月5日発売ということで、ぼちぼちお目見えするころでしょうか。 表紙は、単行本は高橋ヨシキ氏による超コワモテのすばらしい表紙だったわけですが、いろいろと諸事情があり、最近だした刑事小説とわりと近い感じになっております。タイトルも「東京」が取れました。 解説は香山二三郎さん。「寡作なやつだけれど、これからはそうじゃなくなるであろう」という予測と激励をいただいております。踏ん張りどきであります。 さて、バイオレンス小説なわけなのですが、一番ドンパチが激しい内容となっております。簡潔に言うと、 「オリンピック開催間近の近未来東京(首相は元お笑いタレント)で、脱北者の殺人兵器のおねえさんと、右翼の民兵となった下流出身の若者たちと、中国の諜報組織が三つ巴でぶっ殺しあう」 そんな感じのハードアクション物
もう最近は多忙のうえに不眠症。酒も飲めずにガタガタな日々が続いている。 けれど、大泉洋のファン(にわかだけどね)ということもあり、近所のムービーオン山形に駆け込んで、「探偵はBARにいる」を見てきたのだった。これがもうめちゃくちゃおもしろかった。魂を完全にカツアゲされたというか。こうしてブログを書いちゃうくらいに興奮している。それぐらいすばらしかったのだ。 おもしろいというよりも肌にぴったりくる。とてもとても愛すべき作品というべきかもしれない。探偵モノとしては、ベタすぎるほどベタである。一匹狼でその日暮らしの探偵。謎の依頼人と運命の女。調査を進めれば、どこからともなく現れる「警告のために小手調べな感じで主役をいたぶる悪役」(プロレスでいえばボディスラムみたいな挨拶系な技をきちんと放つ悪役)、そしてやっぱり絵に描いたような悪い大物も登場する。 しかししかし、ベタな様式美であっても、やっぱりき
さて、7月23日に新刊『アウトバーン 組織犯罪対策課八神瑛子』(幻冬舎文庫)が発売されます。 値段は560円。文庫なのでお手頃価格でございます。 シリーズになる予定で、飲んで、暴れて、癒着して、拷問して、逮捕するという、わりとフリーダムな美貌の女性刑事が主人公です。ざっくり言うと。 まじめな警官だったのですが、いろいろあって手段を選ばなくなってしまいましたというお話。1巻目は東京の暴力団と、女性ばかり狙う連続殺人鬼の間に横たわる謎を追うというストーリーです。 表紙デザインは片岡忠彦氏(http://nijisora.main.jp/k/novel/index.html) アウトバーンは「燃え尽きる」という意味です。(ドイツの高速道路ではなくて)燃え尽きるまで……という感じでしょうか。 どうぞよろしくお願いいたします。
さて、また久々な更新になってしまった。 コミックストリートが更新されました。今回は谷口ジローの新刊「ふらり。」を取り上げました。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2011/05/post-24.html(マンガ界の魔術師が送る時間旅行。江戸放浪記「ふらり。」) 「いつかはきっと暇ができるはず。できるはず」と願って五ヶ月が経ってしまった。昨年の十二月以来、休みがまったく取れなくて、うるおいのない日々を過ごしております。せっかく二月には沖縄に行ったのに、喫茶店で仕事しているうちに終わってしまい、海さえも見ず、ホテルの近所にある“パチンコ”の“パ”の字が消えた“チンコ”看板を撮影して、うひゃうひゃ笑うぐらいの日々でした。 昨日はラーメン店で、みそラーメンをすすりながら「ミヤネ屋」をぼんやり眺めましたけれど、トップは二宮くんと佐々木希嬢(格闘技番組ではすば
さて地元さくらんぼテレビのコミックストリートが更新されました。 今回取り上げたのは、プロレス愛に満ちた内容で、プロレスファンのハートをがっちりつかんだギャグコミック「プロレスメン」です。 http://www.sakuranbo.co.jp/livres/cs/2011/04/post-22.html(プロレスという最強の叱咤激励「プロレスメン」 ) どうぞよろしく。 それと地震から6週間が経過しました。そろそろ時間が経ってくると、あの恐怖の大災害を「できれば忘れてしまいたい」「もう心の奥にしまって鍵をかけておきたい」と考えるのが、人間なのかもしれません。 先日、所用があって石巻へ行ってきました。あの地震以来、時間が止まったような地域をいくつも見ました。津波で打ち上げられた大量の魚が腐敗し、空を覆い尽くすような数のカモメが飛び交い、泥と瓦礫が山をなしている街。仙台もひどかったですが、そこに
宝島社の「オール・ミステリー」(発売中)に読み切り中編小説を寄稿しとります。 「スラッシュ&バーン」というタイトルで、東映スケバン映画と「マッドマックス」と「悪魔のいけにえ」とケッチャムをごちゃまぜにした話です。 荒廃した未来の東北(言い訳がましいが、校了したのは震災前)を舞台に、仙台のスケバン女子高生・桐崎マヤが、山形産のマリファナ目当てに、バイクで山形の山奥に来たら、おっかない悪党たちが待ち構えていたという展開。 マヤは仙台のワルいストリートで、「切り裂きマヤ」という異名を持つ刃物の使い手。一方、山形の悪党も一筋縄ではいかない連中。両者が激しく死闘を繰り広げる……と、頭のネジをかなり緩めて、勢いだけで書きました。 読んでくださると、たいへんうれしいです。どうぞよろしく。
しばらく「原発銀座」と呼ばれる福井県をうろついていた。また旅に出たのだ。 福島の原発事故で痛感させられたのは、自分の知識のなさだった。原発がドカンと爆発したその日、さすがにイソジンは「アホくさ」とスルーしたけれど、昆布は思わず買ってしまった。その日の夕食は、昆布ダシの鍋物だった。 隣県の土地がこの事故によって、あっという間に汚染されてしまった。浜通りは冬でも暖かく、いわき市などは東北なのにヤシの木が植えられている。雪で気が狂いそうなときは、とりあえず温暖な浜通りによく避難していた。 その豊かな土地が一瞬にして危機に陥った。その原因となった原子力発電所とはなんだったのだろう。今さらながら、一から勉強したくなって、日々の仕事をしつつ福井の敦賀市に向かった。 敦賀市には、敦賀原発や問題の多い「もんじゅ」や廃炉した「ふげん」がある。その隣の美浜町にも美浜原発がある。原発が集中している地域で、原発関
仙台のワッシュ君(id:washburn1975)に会ってきた。 「高速道路も通ったし、ガスコンロか灯油を持ってこうか?」と言ったら、「電気も水道も復旧したし、うちは灯油を使ってないんですけど、とりあえず映画秘宝読みたいです」 という答えが返ってきたので、今月の秘宝やマンガを持って仙台に行ってきた。 仙台空港近くを通る仙台東部道路を通った。仙台平野の沿岸部を走る高速道路だが、巨大津波がこの道路にまで届いたらしく、道路周辺の田んぼや家は泥と瓦礫と化していた。東部道路自体も、あちこちに凸凹ができている。 ワッシュ君が「あの道路周辺はこの世の地獄です」と言ったが、本当に地獄だった。田んぼにはひっくり返った車や漁船、ねじれた自販機が転がり、油にまみれた粘つく泥が瓦礫と一緒にすべてを埋めつくしていた。 名取インターチェンジ周辺は瓦礫と泥の山に埋もれていた。それでもETCを出ると「割引1000円」とい
この大災害で、自然の獰猛さを嫌というほど思い知らされた。 しかし同時に人々の底力や隣人愛もたくさん目撃した一週間でもあった。もちろん残念な人もたくさん目撃した。悪意と善意の両方を一生分見てしまった。目を見張るような寄付金を出す企業や個人がいたと思えば、平時ではまともそうに見えた人物も、一気に化けの皮がはがれてしまったり。 情報もめまぐるしい。阪神大震災の教訓をもとに動こうとすれば、その教訓が足かせになっているとの意見もある。 http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20110317/p1(「被災地からの報告 阪神震災とは違う実情」を読んで気になったこと - 荻上式BLOG) しかし、遠く離れた素人でもわかるのは、被災地では想像を絶するような欠乏と苦しみが覆っているということ。被災地の窮状を知るたびに右往左往する日々が続いている。とにかくガソリン不足で、被災地どころか、
三陸の旅を終えて以来、虚脱状態が続いている。 山形が停電から復旧し、テレビやネットで情報を追い続けていたが、この世のものとは思えない津波の映像に震え、ぶらぶら歩いていた釜石の商店街が波に呑みこまれ、あとはもうひたすら恐ろしかった。 地震当日の午前中は、宮城県松島のカフェで原稿を書いていた。午後に山形で用があり、久々に帰郷したところで地震に遭った。その用事がなければ、「いいところだな」と、太平洋岸の町をうろついていたと思う。 最近は、ずっと旅をしていた。 三陸をうろつく前の週は、福島の郡山やいわき市に。海を見ていると、原稿執筆のモチベーションが維持できるという理由で、今年の冬は沖縄や福島、仙台、三陸をぶらつきながら、わりとストイックに原稿に向かっていた。旅をしながら、同時にカンヅメでもあったのだ。 プライベートな空間では原稿がまったく書けないので(個室に入るとロクなことをしない)、家には帰ら
ノンフィクションライター・安藤健二の新作「パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)」を読んだ。タイトルがすべてを表しているが、パチンコ業界とアニメ業界の両方の現状を描き切った、安藤健二の新たな代表作だと思う。 「封印作品の謎」でセンセーショナルなデビューを果たした著者だが、デビュー当時からミステリファンの読者が多かった。表現の自由をむしろ潰すほうに回っていた事実に気づいた著者が、新聞記者という職を捨て、なぜ世間から封印される作品が生まれるのかを追ったデビュー作は、まるでヴァクスやルヘインといったネオ・ハードボイルド作品のようだった。円谷プロや藤子不二雄といった強大な敵にひとりでぶちあたるところは、いかにも己しか頼るものがない一匹狼の探偵という感じ。 こうなるとミステリ作品と同じで、敵が強大であればあるほど、読み手にとってはうれしい。今回はパチンコ業界という、秘密主義かつ複雑怪奇な利権がご
早くも噂で持ちきりの園子温監督作「冷たい熱帯魚」を見た。 東京フィルメックスで上映されたが、私も機会があって早めに観賞することができた。来年のお正月第二弾として上映されるため、今年のランキングに入れるべきなのか迷っているが、かりに入れるとしたら二位(一位はもう「第九地区」と決めている)にしたいほど、超弩級のハイエネルギーな快作となっていた。とにかくひたすらすごい。そういう映画である。 監督は鬼才・園子温。そして私の作品の表紙デザインを手がけてくださったこともある高橋ヨシキさんが、今回は園子温監督と共同脚本という形で加わっている。彼がかつてロフト・プラスワンで行っていたエロ&バイオレンス&ブラックユーモアの映像大会「東雲会」を10年前に見て、その破壊的なパワーにショックを受け、「世の中にはなんてやばい人いるんだ……」と戦慄したけれど、本作品を見てあのころのことをちょっと思い出してしまった。
とある仕事で、話題の人物・石原都知事の本を読み返していた。 石原慎太郎の小説は、肌にあうものが少なく、代表作のひとつ「太陽の季節」も、「どうです! 若者らしいでしょう!」という押しつけがましさが嫌だった。 もっとも昔の青春小説なのだから、そう感じるのもしょうがないけれど、「太陽の季節」に限らず、まず既成モラルへの挑戦というテーマうんぬんの前に、ヨット、ボクシング、モーターボート、ナイトクラブ、親分の息子とつるんで豪遊とか、体育会系で友人自慢な感じが鼻持ちならず、なにかといえば金持ち大学生であったりとか、職業が医者という設定なども気に食わなかった。「ヨットなんか知らねえよ、タコ!」というか。 もうひとつの代表作・長編「化石の森」にしても、長すぎて読めなかったが、とにかくドストエフスキーがやりたかったんだろうなあと思った覚えがある。 そんなわけで合わない作品が多いけれど、数年に一度は読み返して
山下洋輔の新刊エッセイ「ピアノ弾き即興人生」を読んだら、おもしろいくだりがあった。 音楽を職業としていると、どうしても音楽を普通に聴くことはできなくなる。それゆえテレビから流れるちょっとした音楽にも苛立ってしまうというお話。どんな音楽であれ、耳に入ってくると、つい批評したり、なにかをそこから学ぼうとしてしまうという。落語やNHKの「ラジオ深夜便」といった人の言葉を誘眠剤代わりに聴くときがあるけれど、音楽ではそうはいかない、眠るどころではないらしい。 たとえば、昔の歌謡曲でも、六〇年代ヒットパレードでも、モーツァルトでも、聴こえたとたんに神経がピリピリする。「そうか、こういう風に曲を作っていたのか」「この編曲はどうなっているのか」「この曲が作られた背景にはどういう社会的音楽的状況があったのだろう」などと要らぬ考えに迷い込む。そのうち、自分の知識の無さに情けなくなったりして、安らかに眠るどころ
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