「海のパイナップル」と呼ばれ、東北で人気の珍味ホヤは、宮城県が全国9割の大生産地だが、東日本大震災の津波で養殖施設が全滅した。韓国向け輸出が震災前まで急増し、復興も「韓国頼み」なのが現実だ。危機感を抱き、国内市場拡大を目指す動きも出てきた。 ホヤは見た目はグロテスクな、魚でも貝でもない「動物」。身が鮮やかな山吹色で、形が似ているため「海のパイナップル」と呼ばれる。酒や水を飲みながら食べると、甘みが広がる味わいがある。 5月下旬、宮城県石巻市の鮫浦湾を訪ねた。この湾はホヤ生育の環境に適し、養殖の種苗生産地として県内外にホヤ種を供給してきた。しかし、津波で養殖施設は全滅した。 鮫浦湾の前網浜では、養殖いかだが再建され、海面に長さ約100メートルのロープが張られた。約50センチ間隔で、深さ15メートルまでロープが垂れ下がり、1つのロープから約1000個のホヤがとれる見通し。来年、実が成長する3年