岐阜県の稲作農家が、こんな仕打ちに翻弄(ほんろう)された。なぜ売れないのか。原因を究明すると、種子を供給する「三井化学クロップ&ライフソリューション」(東京都)が実は7年前から、産地の偽装表示・純度不足などの問題を抱えた種子を販売していたことが判明。民間企業の種子ビジネスを後押しする種子法廃止から5年、危惧されていた問題が顕在化した。同法廃止を違憲として訴訟している弁護団は近く、今回の問題を刑事告発する方針だ。(曽田晋太郎、安藤恭子)
![コメ農家が大混乱…三井化学のタネめぐる「詐欺的不正」と「出荷停止」はなぜ起きた? 刑事告発の動きも:東京新聞 TOKYO Web](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3504e80697ea609e0eb7b7b1e3ac2893586cf6aa/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fstatic.tokyo-np.co.jp%2Fimage%2Farticle%2Fsize1%2F2%2Ff%2F4%2F9%2F2f4947c2773a746f6a90016cf9707ddc_1.jpg)
巨大書店の先駆け「八重洲ブックセンター」の本店(東京都中央区八重洲)が周辺の再開発のため、44年間にわたった現店舗での営業を3月末で終える。5年後の2028年度に完成予定の複合施設に入居予定だが、「ビルが丸ごと本屋さん」という光景は見納めで、惜しむ声が寄せられている。(増田恵美子) 東京駅八重洲南口を出ると、すぐ目に入る八重洲ブックセンター本店(地下1階、地上8階)は約150万冊もの在庫を備えてきた。現在は「44年間の感謝をこめて」と各種企画を展開中。1階の柱には作家らが「ありがとうございました!! すぐ帰ってきてね!!」(川上未映子さん)などと言葉を書き込み、壁には「棚の隅々まで、思い出」など利用客からのメッセージが張られている。
外国人技能実習生の労働問題をボランティアで支援してきたNPO法人「POSSE(ポッセ)」の若者たちが25日、「技能実習制度廃止プロジェクト」を発足させたと発表した。代表の田所真理子ジェイさん(25)は記者会見で「実習生は現代版の奴隷だ」と強調。労働相談を通じて集めた過酷な実態を広く社会に向けて発信することで、2年以内の廃止を目指す。 技能実習は本来、外国人が日本で技術を学んで母国で役立ててもらう制度だが、実態は劣悪な低賃金労働の温床だとして、米国など国際社会から「外国人搾取」と批判されている。実習生の多くは強制的に帰国させられることにおびえ、低賃金やパワハラといった問題があっても声を上げられない構造的な問題がある。 プロジェクトを始めるきっかけは2020年。ポッセの若者たちが、強制的に帰国させられたカンボジア人元実習生の支援に携わり、制度の問題点を知ったことだった。実習生からの相談はほ
東京都心に生息するカラスがピーク時の7分の1に減ったことが、都市部の鳥類を調べている「都市鳥研究会」の調査で分かった。カラスがごみを荒らすのを防ぐネットの普及や、カラスを捕食する猛きん類の都市進出、さらに新型コロナウイルスの影響で人々の外食の機会が減り飲食店から出るごみが減ったことも原因とみている。 鳥類研究者やバードウオッチャーでつくる研究会は1985年から5年に1回、都心有数のカラスのねぐらがある豊島岡墓地(文京区)、明治神宮(渋谷区)、国立科学博物館付属自然教育園(港区)の3カ所で、個体数を調べている。2020年はコロナ禍のため調査を見送り、昨年12月12日に調査員をワクチンを接種した成人に限るなどして6年ぶりに実施した。 確認したカラスは3カ所で計2785羽。15年に行った前回調査より2000羽以上少なく、ピーク時の00年の1万8658羽の15%だった。3地点のうち自然教育園は前回
菅義偉首相が宣言した温室効果ガス実質ゼロの実現を理由に、前面に出そうなのが原発の推進だ。石炭火力発電の削減という優先課題に対処せず、東京電力福島第一原発事故後、政府が表立って議論してこなかった原発の新増設へ動きだしかねない。 首相が原発に触れたのはわずか15文字だった。それでも、「安全最優先で原子力政策を進める」という表明に、大手電力会社の幹部はわずかな変化を感じ取った。「省エネ、再生エネ、原発の3つを強調した。いよいよ原発の新増設を視野に入れているのでは」と話す。 前の安倍政権は、原発を「脱炭素化の選択肢」という表現にとどめていた。再稼働と小型原子炉など新技術の開発支援を進めてきたが、原発の新増設への言及を避け続けた。しかし菅政権が原発を脱炭素化の「柱」に据えれば、くすぶってきた新増設が現実味を帯びる。
八百年後の人類はどうなっているだろうか。地球を飛び出して宇宙で暮らしている?相変わらず差別や偏見の問題に悩んでいる? あるいは滅亡寸前に陥っている? 想像力を駆使し、はるか未来までの人類の転変を描いた小川一水(いっすい)さん(43)の大河SFシリーズ『天冥(てんめい)の標(しるべ)』(ハヤカワ文庫)が、三分冊の第十巻『青葉よ、豊かなれ』で完結した。致死性ウイルスのパンデミック(世界的大流行)、宇宙戦艦が派手な砲撃戦を繰り広げるスペースオペラ、銀河系外の生命体とのコンタクトなど、SFのあらゆるジャンルがてんこ盛りの宇宙叙事詩、その執筆にかけた十年間の思いを聞いた。 第一巻『メニー・メニー・シープ』の舞台は二八〇三年。地球から遠く離れ、資源の乏しい植民星ハーブCでは、世襲制の支配者が圧政を敷いていた。蜂起した市民らが体制を打破しようとしたとき、とてつもない災厄が巻き起こる。 続きが気になって第
東京電力福島第一原発事故の直後、福島県双葉町にいた十一歳の少女が、喉にある甲状腺に推計で一〇〇ミリシーベルト程度の被ばくをしたと報告されていたことが、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の文書から分かった。一〇〇ミリシーベルトは国などの資料で放射線の影響でがんの発症が増加し得る目安として使われてきた。しかし、国はこれまで「一〇〇ミリシーベルトの子どもは確認していない」と発表し、この報告は伏せられていた。 (榊原崇仁) 文書は、事故から二カ月後、二〇一一年五月二日の放医研の「朝の対策本部会議メモ」。本紙の情報開示請求で公開された。それによると、会議では、十一歳の少女の実測値が「頸部(けいぶ)5-7万cpm(GMで測定)」と示され、「取り込みが3日前として、甲状腺等価線量で100mSv程度」と報告があった。 甲状腺は首の部分にあり、放射性ヨウ素が集まりやすい。国や福島県の公表資料には「
米国を除く十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)締結に必要な関連法案が二十四日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。政府・与党は今国会での成立を急ぐが、野党は議論が不十分と反発しており、参院での審議が焦点になる。 法案は、畜産物価格安定法や著作権法などの関連十法を一括して改正する。輸入品増加で影響を受ける畜産農家の赤字を補う制度の拡充や、著作権保護期間の延長などをTPP発効に合わせて実施できるようにする。
ぬいぐるみのクマと動物たちの触れ合いを描いた英国の児童文学「クマのプーさん」の著作権保護が五月末で切れ、六月二十五日に角川書店から新訳本が発行される。環太平洋連携協定(TPP)に盛り込まれた保護期間の延長で著作権切れが二十年先に延びることになっていたが、米国の離脱でTPPが発効できず、プーさんの自由化が実現することになった。 TPPにおける著作権の保護延長は、ミッキーマウスなどの人気キャラクターを抱える米国の主張で決まった。これを受けて日本は昨年末に国内法を改正。TPP発効と同時に、TPP参加国以外の国も含めた国内外の作品の保護期間を作者の没後五十年から七十年に延長することにした。 しかしTPPは発効されず、プーさんの著作権は切れた。今後は二〇〇五年に著作権保護が切れたサンテグジュペリの「星の王子さま」を競って出版したように、プーさんの「新訳ラッシュ」がみられる可能性が出てきた。一方、ディ
「積ん読」という言葉は、世界に誇るべき日本語らしい。オックスフォード大学出版局は、「愛書家が知っておくべき十の言葉」の筆頭に、tsundoku(ツンドク)を挙げた▼買った本を読まないまま、積んでおく。そんな状態をずばりひと言で表す言葉が、英語などにはない。日本の読書文化が生み出した見事な言葉なのだ▼だが、胸を張ってばかりもいられない。本棚からあふれ、廊下や枕元などで山となった本に、自己嫌悪さえ覚えるのに、その山は確実に成長し続ける。そういう「積ん読病」患者にお薦めなのが、若松英輔さんの近著『言葉の贈り物』だ▼若松さんのお父さんも大変な愛書家で、晩年に目を悪くして満足に読めなくなっても、買い続けた。どう見ても無駄である。父の「積ん読病」を若松さんが同僚に嘆くと、こう言われたという。「読めない本は、読める本より大事なのかもしれない」▼<人は、いつか読みたいと願いながら読むことができない本からも
衆院憲法審査会は二十四日、憲法で国家権力を縛る「立憲主義」などをテーマに議論した。自民党の中谷元氏(与党筆頭幹事)は、二一条の表現の自由に制約を加えている同党の改憲草案について「極めて当然のこと」と、一定の制約が必要との考えを示した。草案の撤回にも応じなかった。 (清水俊介) 現行憲法の二一条は集会、結社、言論の自由を規定。草案は「公益及び公の秩序を害すること」を目的とした活動は認められないと付け加えた。自民党は憲法審の再開に当たり草案を事実上封印すると表明したが、撤回はしていない。 この日の審議で民進党の奥野総一郎氏は、二一条に触れ「精神の自由の尊重は憲法の基本原理。修正を加えることは改正限界を超える」と問題視した。これに対して中谷氏は「オウム真理教に破壊活動防止法が適用できなかった反省を踏まえた」と説明。「公益及び公の秩序を害すること」という表現が「制限を厳しく限定している」として
日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。今秋から各党による憲法論議が始まった場合、制定過程が議論される可能性がある。 (安藤美由紀、北條香子) 九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。 堀尾氏は五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡を交わした事実に着目。高柳は
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