『エクソシスト』のオープニングが現実に 2006年の現地到着当日、ギョベクリ・テペまでお願いしますとタクシーの運転手に告げたときのことを思い出す。 彼はその名を聞いたこともなかった。思い当たることも一つもなかった。いまならこの話は、「パリで『ルーヴル美術館って聞いたことありますか?』って人に聞いたら、ノンって言われた」というのと同じような冗談に聞こえるだろう。 その運転手は何人ものタクシー仲間に聞いて回らねばならず、やっとのことでそのうちの1人が私の行きたい場所を理解してくれた──「町外れの、アラブの村の近くで、ドイツ人たちが掘ってるとこだろ」。 というわけで、先の運転手のタクシーにガタゴト揺られながら私はシャンルウルファを後にし、砂煙のなかへ繰り出した。 やがていちばん遠い丘の頂まで登ると、『エクソシスト』のオープニングのような光景に出くわした。世界から完全に無視されたような場所で、世界