母方の祖母がこの夏を越せないかもしれないということで会いに行った。普段は自宅で介護されているが、今日はケアセンターのようなところにいるという。 まだ新しいケアセンター、のようなところ。エレベータに乗るにも、電子ロックを解除しなくてはならない。2階、祖母はといえば個室のようなところでもなく、職員室のとなりの物置のようなスペースに置かれたベッドに寝ていた。節電のためか室内は薄暗く、ときおり老人を載せたベッドが通路を通る。少し広いスペースでテレビを見ている老人たちもいる。話し声は聞こえない。 祖母は糖尿病とパーキンソン病とアルツハイマー病で、そろそろ誰が誰だかわからなくなっている。おれの名前を聞かされると、数回それを繰り返したが、さてどうなのかわからない。母のことをわかっているのかもわからない。たずねても、負けず嫌いのようで、決して「わからない」とはいわない。「うるさい、うるさい」といって横を向