2012年4月18日。その日、世界中の悩める男たちが歓喜に沸いた。 〈東京理大チーム、毛の生える幹細胞移植で無毛マウスが発毛〉 報道が伝えるところによれば「東京理科大学などの研究チームが、マウスを使った実験において幹細胞の培養による毛包の移植が成功したことを、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した」とのこと。幹細胞、毛包と、見慣れぬタームが並んでいるが、要するに、往古の昔より男たちが抱き続けてきた積年の悲願「ハゲの完全克服」を可能とする技術が、満を持して誕生したということだ。 研究チームは10年程度を目標に人への応用も実現したいと話しており、また大々的に報じられた背中に毛を生やした無毛マウスの写真を見るに及んでも、期待値はかなり高い。神が人に与えし「ハゲ」というスティグマは、とうとう科学の叡智によって超克可能なものとなりつつあるのだ。 ……と、やや前のめりに語ってきたが、本欄は