タグ

ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (8)

  • 仏紙の風刺画は被災者を傷つけたか

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔10月8日号掲載〕 2020年東京五輪が決まった直後、フランスの週刊紙カナール・アンシェネが日で五輪が開催されることを皮肉った風刺画を掲載した。福島第一原発の放射能汚染で手や足が3になった力士が相撲を取る漫画だ。これを受けて、菅義偉官房長官は「東日大震災で被災した方々の気持ちを傷つける。汚染水問題について誤った印象を与える不適切な報道だ」と述べ、この風刺画に対し公式に抗議した。 フランスのメディアが日政府の怒りを買うのはこれが初めてではない。昨年10月にもフランスのテレビ番組が福島原発事故に関連する同様のジョークを放送し、物議を醸した。 フランスには長い風刺の歴史がある。1881年の出版自由法以来、フランスでは滑稽でひどく残酷な風刺画が発達してきた。誰かの悲劇や苦境をからかうのも表現の自由の一部と考えられている。権力者を皮肉るだけにとどまらず

    tsimo
    tsimo 2013/10/15
  • 1年後の北京。人気は和食にラーメン、そして「半沢直樹」

    昨年9月に中国で起こった、激しい反日デモから1年余りが経った。わたしも中国大陸の先っちょにある香港での暮らしを入れればすでに大陸生活も20年を軽く超えたわけだが、確かにあそこまで大規模な「うねり」を感じたことはこれまでなかった。だが、そこから1年、北京のような都会ではすっかりあの「うねり」などどこ吹く風といったように街は姿を変えている。 ちょっと最近、数軒の日料理店に行くチャンスが続いたのだが、そこで見た光景はあの激しいデモと、その後デモには参加していなかった人たちにも「感染」した重苦しい空気とはまったく相容れないものだった。 店内の8割以上が中国人のグループで、みな手慣れた様子で和をつついている。さらに日人オーナーが醸しだすお店の雰囲気をみなが十分に楽しんでいる。以前のように周りが眉をしかめそうな、中国レストランでありがちなふるまいではなく、みながその店のルールと雰囲気に従って味わ

    tsimo
    tsimo 2013/10/03
  • 嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月30日号掲載〕 6月30日、私は最近話題になっている嫌韓デモに行ってみた。このデモは東京の新大久保で何年も前から、毎週日曜日に行われているものだ。私は不安を胸に家を出た。自分の身も心配だったが、新大久保の人々のことも、日の対外イメージのことも心配だった。 実は新大久保はサンフランシスコのチャイナタウンやパリの日人街と同じような「観光スポット」だ。外国人にとって、新大久保のコリアンタウンを歩くことは伊勢丹新宿店の地階と同じくらい楽しさと驚きに満ちている。伊勢丹が日がいかに洗練されているかを示しているとすれば、新大久保の街が示しているのは日が外国人に対してフレンドリーで開かれた国であり、他国の文化が生き生きと存在できる国だということだ。 だがデモのせいで、新大久保は日が外国人にとっていかに不快な国になり得るかを象徴する場所となった。嫌韓デモ

    tsimo
    tsimo 2013/08/22
  • 北京の夢

    「ぼく、仕事辞めたよ。大連に行くことにした」 劉くんがぼそっと言った。まさか、と思いつつ、「旅行?」と尋ねたら、「ううん、水曜日に引っ越すんだ。別に持っていくものもないんだけど」と答えた。それを聞いて「やっぱり...」と心のなかでつぶやきつつも、何を言っていいのか思いつかず言葉が出てこなかった。 言葉が見つからなかったのは、劉くんには申し訳ないが、彼が北京からいなくなることがショックだからではなかった。だが、「キミまでもが!」という思いが先走ったからだ。彼自身に何があったのか尋ねる前に、頭のなかを今年すでに北京を離れた知り合いの、さらにそのまた知り合いたちの顔が走馬灯のように横切った。その数をあとで指折り数えたら、もう10人近くもいた。 もちろん、彼らが北京を離れた理由はそれぞれだ。任期切れ、あるいは担当していたプロジェクトが終わった、あるいは結婚転職など、直接の理由だけを見ると、これほ

    tsimo
    tsimo 2013/08/21
  • 社員旅行で眺めた日本

    5月中旬、友人から携帯にメッセージが届いた。「日では日酒と、冷たいビールと、冷たい牛乳と、冷たいジュースと、冷たい水道水をそのまま飲んでも、わたしのお腹はなんともない! まだまだべたい飲みたいと思うくらい。中国ならそんなことをしたら1日もしないうちにバッタリだわ。ここは当に素晴らしい国!」 中国IT関連企業に勤めるチャンさんは、社員旅行で初めての日滞在中だった。毎日のように彼女から届く写真とメッセージを見て、6日間の滞在を終えて帰国したチャンさんにお願いして仲の良い同僚のシュウさん、モンさん、ビンさんに集まってもらった。チャンさんが得意げに温泉地から送ってきた写真に浴衣と丹前を上手に着こなして仲良く写っていた男性3人組だ。 残業で遅くなる、というビンさんを待たずに、4人で鍋を囲みながらおしゃべりが始まった。 ――旅行に参加したのは何人くらい? シュウ:うちの社員は20人、あと旅

    tsimo
    tsimo 2013/05/21
  • ハッカー騒ぎで中国がいろいろと不利なわけ

    早いものでもう3月に入った。中国の3月は政治の季節。この時期に全国から約5000人あまりの政治協商委員や人民代表らが北京に集まり、1年に1度の政治協商会議と人民代表大会の全体会議がそれぞれ開かれる。中国人はそれをまとめて「両会」と呼ぶ。実際には会議に合わせて家族を連れてくる地方代表や委員もいて、彼らが買い物や飲にいそしむので、北京のサービス業界にはなんともいえないワクワク感が漂う。 特に今年は国の指導部が大幅に入れ替わるので気合も入る。すでにぽつぽつと閣僚級の人選について報道が出ているが、実際に確定するのは3月中旬。でも一旦内部で決まったものが否定されるわけではないので、当局はお祝いムードを盛り上げようとする。 そして、国家主席の席が胡錦濤から習近平へと明け渡される。1年前にはまだ他の人選の可能性が取り沙汰された李克強の首相就任もほぼ確実。こうしてこれからの10年間、中国は習近平カラーの

    tsimo
    tsimo 2013/03/04
  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

    tsimo
    tsimo 2012/12/25
  • 尖閣と靖国:対日強硬策最終ラウンド

    うーん、だんだんさすがに反日デモ関連のことばかり書くのも飽きてきた。というか、すでに街は表面的には日常を取り戻している。一部ではばらまかれた「反日」の種子は残っていて、個人的なネチネチに遭遇した人はまだ続いており(でもわたしは個人的にはまだ経験してない)、政治的にもカタがついたわけではないので、企業や国体へのカウンターパート向け嫌がらせは続いている。が、それでも北京などの大都市での生活は相対的に日常に戻った。 国慶節休暇明けに半年ぶりくらいにばったり会った友人の一人は、ニッコールの巨大ズームレンズを取り付けた、ニコンの一眼レフカメラを手ににっこり笑った。「やっと買えたんだ。9月にどこの店に行っても『置いてない』って言われてさ。あいつら、あほじゃねーの、損するのは中国人なのに」と言った。尋ねると、合計で「4万元弱」、つまり60万円くらいしたそうだ。彼の趣味が写真というのは初めて知ったが、

    tsimo
    tsimo 2012/10/24
  • 1