[Tyler Cowen, “Will we understand why driverless cars do what they do?” Marginal Revolution, July 9, 2016] ニューラルネットワークは,物事をあれこれの範疇にわける方法を自力で提供するように設計できる.だが,その分類にかかわる数学的計算は複雑なので,ネットワークそのものをとりあげてどうやってその決定にいたったのかを理解しようとしても,一筋縄でいかない.そのため,意図せざる行動が予測しにくくなる.それに,もし過誤が生じても,そうなったワケを説明するのは困難かもしれない.たとえば,写真にうつってる物体をシステムが誤認識しても,その画像のどんな特徴のせいでエラーが起こったのかを知るのは(不可能ではないにしても)難しいかもしれない. この一節は,ウィル・ナイトから引用した.これを読んで,ぼくはコ
Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ルメルハートとマククレランドによる過去形獲得モデルはシンボル操作規則の一般化を行わずに連合学習だけで規則に似た振る舞いが可能だと主張し,ある程度のデモに成功したため,一部の熱狂的な支持を集めている.しかしピンカーはこれに疑問を呈する.そして実証的な問題を挙げていく. ルメルハートとマククレランドモデルが言語構築に失敗しているということについての証拠 なぜルメルハートとマククレランドのモデル(RMモデル)は注目を集めるのか.ピンカーはそれはこのモデルが言語学の伝統的な概念に対応するものを持っていない
ベイズによる学習を使って、カテゴリーや言語を自律的に獲得させるロボットを作ることで、「知能とは何か」という問題にアプローチするという本。 作ることで対象を理解する、いわゆる構成論的アプローチについても一章を割いて解説している。 経験的なデータだけでどのように概念の獲得・学習が行われるか、ということについて、1つのモデルを提示していて面白い。 構成論的アプローチという科学哲学と、ベイズ的な確率モデルという理論でもって、新たな人工知能パラダイムを作るぞ、という本とも言えるかもしれない。 ところで、個人的には、この本の哲学に対する言及の仕方や距離の取り方・詰め方について気になってしまったところが多くて、この記事の後半でそれについては書こうと思う。ただし、自分が気になったところというのは、この本全体の趣旨に照らせば、やや枝葉にあたるところでもある(そうでないところもあるけれど、自分が指摘したい部分
視覚の認知生態学―生物たちが見る世界 (種生物学研究) 作者: 種生物学会,牧野崇司,安元暁子出版社/メーカー: 文一総合出版発売日: 2014/11/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 種生物学会は学会のシンポジウムの本を文一総合出版からシリーズものとして出版しており,本書もその一冊.内容的には2009年のシンポジウム「生きものの眼をとおして覗く世界:生理学が支える認知生態学の可能性」が元になっている. 第1章は視覚の基礎知識.光が電磁波であり,視覚とは地上に届く太陽からの電磁波スペクトルの中の一部分を感知しているものであること,電磁波を神経パルスに変えるのはロドプシンであり,それはオプシンとレチナールからなり,オプシンの種類により波長の感受性が異なること,ヒトには青,緑,赤に感受性の高い3種類のオプシンがあり,ヒトの色覚はその感受性の違いを「青ー黄(緑+赤)」
おひさしぶりです.今年も,いや,この 5 年も,いろいろありましたが,結局のところ,図々しくも,僕は元気です.いや,あまり元気がないかもしれません.君はどうですか? このところ,道徳について考えていました.いや不道徳について考えていたといったほうがいいかもしれません. 以下は,人間の道徳認知の基盤は,普遍的な「道徳文法」 Universal Moral Grammar によって特徴づけられると主張したジョン・ミハイル John Mikhail の著著 Elements of Moral Cognition: Rawls' Linguistic Analogy and the Cognitive Science of Moral and Legal Judgment (2011) の第一章の翻訳です.彼は,ノーム・チョムスキーに始まる生成言語学の手法を道徳認知の領域にも適用することで,興味深
○インタラクショニズムVSモジュラリティー仮説 ◆単語優位性効果 ◆意味的プライミング効果 ◆Interactive-Activation Model ◆曖昧語の語義復元に関する研究 ◆モジュラリティー仮説 ◆インタラクショニズムを支持するデータ ◆信号検出理論 ○表象と視覚的単語認知 ― ローカリスト・モデル ― ◆認識されたものとしての表象 ◆心的辞書と語彙表象 ◆語彙判断課題 ◆活性化モデル ◆直列検索モデル ◆要因加算法(Additive Factors'Method) (Sternberg, 1969) ◆二重経路モデル ◆二重経路仮説 ○Sternberg(1969)の要因加算法(Additive Factors' Method) ◆「時間」という指標 ◆情報処理システムとしての「心」の性質 ○表象と視覚的単語認知 ― 並列分散処理モデル
■ ギャラガー&ザハヴィ「 現象学的な心」2,3章について 2013年6月29日(土)13:00~18:30 一橋大学にて、第2回自然主義研究会:ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会があります。私も「神経科学の立場から」ということでしゃべります。 今回は2章(方法論),3章(意識、自己意識)についていろいろメモったことをまとめておきます。ツイートは話の流れのために順序など編集してあります。 @you_mlpty さん、@plastikfeld さんのツイートを使わせてもらいました。どうもありがとうございます。 「現象学的な心」再読していたが、2章の方法論のところの、ギャラガーのfront-load phenomenologyの説明を読んで、やっぱり納得がいかない。以前も書いたように、現象学的な、心の解明へのアプローチを標榜するなら、ヘテロ現象学(by ダニエル・デネット)では出来ない
なぜ猫は鏡を見ないか? 音楽と心の進化史 (NHKブックス) 作者: 伊東乾出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2013/01/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (13件) を見る 書名からは,動物の自己鏡映認知にかかる本だと思ってしまいそうだが*1,これは音楽家である著者が音楽の本質を理解しようと認知科学の力を借りながら知的奮闘してきた探求物語だ.副題には「音楽と心の進化誌」とあるが,特に進化的に何かが深く考察されているわけではない*2. というわけで「自己鏡映認知」的な書名と「進化誌」という単語に釣られて購入し,読み始めた私にとっては内容的には肩すかしのはずだったのだが,しかしこれは読み出したら止まらない,大変面白い本だ. まず著者の経歴が型破りだ.著者は中学2年でバルトークの「作曲技法」に入れ込み,FM放送で現代作曲家の松村禎三の「交響曲」を聴いて惹きつ
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs13164-011-0070-3 Zahavi, D. (2011), Empathy and Direct Social Perception: A Phenomenological Proposal 前史 ・この20年でシミュレーション説(ST)と理論説(TT)に加えられる批判は現象学に先駆者を持つことが多い(現象学的提案(PP))。この論文では最近ST・TT側から加えられたPP批判を検討する。 【ジェイコブの整理と批判】 ・G&Zが擁護するPPの一つ「共感の直接知覚モデル」は二つの標的を持つ (1)共感のシミュレーションによる理解を ・共感のシミュレーションによる理解は、「<相互の類似関係>条件」(同形性条件)を強調する:共感者の経験は標的の経験に関して適切な類似関係を持たねばならない ▲直接知覚
岡野原です。Deep Learningが各分野のコンペティションで優勝し話題になっています。Deep Learningは7、8段と深いニューラルネットを使う学習手法です。すでに、画像認識、音声認識、最も最近では化合物の活性予測で優勝したり、既存データ・セットでの最高精度を達成しています。以下に幾つか例をあげます。 画像認識 LSVRC 2012 [html] 優勝チームスライド [pdf], まとめスライド[pdf] Googleによる巨大なNeuralNetを利用した画像認識(猫認識として有名)[paper][slide][日本語解説] また、各分野のトップカンファレンスでDeep Learningのチュートリアルが行われ、サーベイ論文もいくつか出ました。おそらく来年以降こうした話が増えてくることが考えられます。 ICML 2012 [pdf] ACL 2012 [pdf] CVPR
『「脳の生物学的理論」からの話の展開』からのさらなる続きとして、吉田さんと鈴木さんのOBEやRHIのような内受容性の感覚の話を起点に、「脳はどういうシステムだと思ってますか?」という池上さんの問いかけに対する吉田さんの返答です。このやり取りがなされる前までの吉田さんのツイート http://twilog.org/pooneil/date-120516/asc も合わせてチェックすると流れが掴みやすいかもしれません。また、この御三方の鼎談は2012/04/15にも「オートポイエーシスにおけるカップリングは二元論なのか?それとも…」http://togetter.com/li/288194 がありました。とても面白かったのでぜひ合わせてどうぞ。
Using technology to enhance our brains sounds terrifying, but using tools to make ourselves smarter may be part of humans' nature. It could be that we are on the verge of a great deluge of cognitive enhancement. Or it's possible that new brain-enhancing drugs and technologies will be nothing compared to how we've transformed our minds in the past. If it seems that making ourselves "artificially" s
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