前号、前々号と、本業の周縁にある話をしてきたが、今回はもう少し楽器に話を近づけたい。とはいえ題材は、KORGではなく、KORGの競合であるROLANDのTR-808(通称ヤオヤ)というドラムマシンです。ドラムマシンとは、ドラムやパーカッションのリズム音を生成する機材のこと。中でもヤオヤは、1980年から1983年にかけて生産された、まさに名機中の名機だ。ドラムマシンの歴史の中でも、最もアイコニックな一台と言えるでしょう。私、ヤオヤが好きです。 実は一度も所有したことがないのですが、なぜか私の人生に時折飛び込んでくる、彗星のような存在。初めて触ったのは、KORGに入社して数年経ったころ。ドラムマシンのリサーチで実機を入手し、音と、その音を生み出す電子回路の解析を行った。シンプルな回路なのに、なんて豊かで、圧倒的な存在感を持つグルーブなんだろう。感動したし、強い刺激を受けた。 いずれKORGを

