2009年2月3日のブックマーク (24件)

  • 昼寝のすすめ - 内田樹の研究室

    夏休みもあと一週間でおしまいである。 今年はほとんど休みらしい休みがとれなかった。 海にも山にもゆかなかった。 唯一の夏休みっぽさは「昼寝」を存分にしたことだけである。 昼寝というのは不思議なものである。 抗しがたい眠気に屈して、よろよろとベッドに倒れ込んで眠りに入るときには至福のヨロコビが訪れるのであるが、目が醒めたときにはべっとり汗をかいていて、頭はぼおっとして、日は西にすでに傾き、無為に何時間かを過ごしてしまったことへの悔いに臍を噛む思いをする。 幸せの予感で始まって、後悔と自己嫌悪で終わる。 なんだか人間的経験の縮図のようである。 そのような縮図的経験をほぼ毎日繰り返していたことになる。 ところで、人間というのは「一夜明けると別人」というペースでだいたい変化するわけであるが、昼寝をすると、これが別人になるチャンスが一日二回訪れるということになる。 「昼寝前」に頭の中にぎっしりとひし

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「人間的成長」というものはだいたいが「それまで非常に気になっていたこと」が「後で考えたらどうでもよくなる」という形式でなされる。私の経験からして、昼寝というのはそれに似た心理的効果をもたらす。”
  • 格差社会って何だろう - 内田樹の研究室

    「格差社会」という言葉が繰り返し紙面に登場する。 格差がどんどん拡大しているから、これを何とかしなければならないという現実的な(あるいは非現実的な)さまざまの提言がなされている。 どなたも「格差がある」ということについてはご異論がないようである。 だが、私はこういう全員が当然のような顔をして採用している前提については一度疑ってみることを思考上の習慣にしている。 「格差」とは何のことなのか? メディアの論を徴する限りでは、これは「金」のことである。 平たく言えば年収のことである。 年収数億の人もいるし、数十万の人もいる。 とくに年収が低い階層のヴォリュームがこのところ急増している。 パラサイトシングルというのも、フリーター・ニートというのも、ネットカフェ難民というのも、過労死寸前サラリーマンも、要すれば「金がない」せいでそういう生活様態の選択を余儀なくされている。 そういう説明がなされている

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「格差社会」論というのは、言い換えると「金のことをつねに最優先で配慮する」ことこそが「政治的に正しい」ふるまい方であるとする判断に同意署名することである。”
  • ヒット1000万のお礼に代えまして - 内田樹の研究室

    ブログのヒット数が1000万を超えた。 1000万というのはよく考えるとたいした数である。 延べ1000万の人に私の「毒」が微量なりとはいえ回っているのである。 なんとなく、世間への「毒」のまわりが最近速いような気がするのは気のせいであろうか。 だいぶ以前のことであるが、「フェミニズムはもう終わった」と書いたことがある。 別に終わったわけではなく、まだたいへん意気軒昂であられたのだが、私としてはできるだけすみやかに終わってもらえるといいなあという主観的願望をあえて虚偽の客観的事実認知に託して書いたのであるが、しばらくして取材に来た某新聞社の記者が「フェミニズムはもう終わったわけですが・・・」と切り出したのにはびっくりした。 こういうのは「終わったねえ」というような遠い眼をする人が何人かいると、「あ、そうなんだ。終わったんだ・・・」という信憑が燎原の火のごとくに拡がり、あれよあれよというまに

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”自分自身の内側には見るべきものがなく、すぐれたものはすべて外部にあるというのは日本人の基本的なマインドセット/自己探求と自己放棄が同義であることを誰も「変」だと思わないというのが属邦人の特徴である”
  • 若者はなぜうまく働けないのか? (内田樹の研究室)

    CIRCUSという雑誌の取材がある。 お題は「どうして若者はうまく働くことができないのか?」 一方に引きこもったまま労働しない若者がおり、一方に過労で倒れそうな若者がいる。 いずれも「うまく働いている」わけではない。 どうしてなのか。 たしかに「どうしてなんでしょう」と訊きたくなる気もわかる。 お答えしよう。 これは複数のファクターの総合的な効果であるから、単一の原因を探してもダメである。 第一は働く個人の側の問題である。 『下流志向』で分析したように、労働を経済合理性の枠内でとらえると、労働者は自分の労働の成果に対して、「等価の」報酬が、「遅滞なく」、「固有名宛て」に給付されることを望む。 学生たちが知っている「work」の経験はさしあたり受験勉強と就活だけであるが、それはまさに、努力に対する報酬(成績や合否採否)が(成績発表、内定通知の日に)「遅滞なく」、努力にふさわしい評価として、固

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    個人的努力は集団を構成するほかの人々が利益を得るというかたちで報われる/最後にゆきつく「やりがいのある仕事」はミュージシャンとかアーティストとか作家とかいう「個人営業のクリエーター」系に固まってしまう
  • 朝三暮四とマッチポンプ - 内田樹の研究室

    ひさしぶりの、ほんとうにひさしぶりのオフ。 10時近くまで寝てから、朝ご飯、お洗濯。 ブログに「めちゃモテ日」論を書く。 これはひさしぶりにわくわくするビッグピクチャー(大風呂敷ともいう)。 続いて、文藝春秋specialのための「日人と労働」の原稿を6枚書く。 グローバリゼーションというのは「朝三暮四」のサル頭になるということであるという話。 こういう故事については一応原典に当たって文言と解釈を確認する。 朝三暮四の出典は『荘子』である。 書棚から『荘子』を取り出して、「斉物論篇」を読む。 たいへんに面白い。 「朝三暮四」の前の頁に「天籟」の話が出ている。 古来きわめて難解とされた概念である。 こんな話。 楚の隠者に南郭子綦(なんかくしき)という人がいた。その弟子に子游という人がいた。 弟子に向かって師が言う。 「女(なんじ)は人籟(じんらい)を聞くも、未だ地籟(ちらい)を聞かず。地

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    私たちは時間を超えて自己同一性を維持することがいかに困難であることを熟知しているがゆえに、「同一的である」という事実を抑圧することで「同一的である」という信憑を強化するというトリッキーな戦略を採用した
  • めちゃモテ日本 - 内田樹の研究室

    CanCamの「ひとり勝ち」状態について、これまでメディア関係者から何度か訊かれたことがある。 「どうしてなんでしょうね」 そんなこと私に訊かれても。 しかし、ありがたいことに学の学生諸君には多くのCanCam読者がおり、彼女たちは当該雑誌と競合誌『JJ』や『ViVi』との記号論的差異について、世界でいちばん詳しい。 その中のひとりであるM村くんが、CanCam系ファッションの究極の目的であるところの「めちゃモテ」とはどういう状態を指すのか、というたいへん大胆にしてラディカルな問題提起をゼミでしてくれた。 こういうおいしい「現場ネタ」を寝ころんだまま拾えるのが女子大教師の特権である。 同僚の教師諸君の多くは教室で「学生に知識を教える」ということをされているが、私はできるだけ「学生から知識を教わる」ようにしている。 お給料をいただいてそれでは「やらずぶったくり」というか「盗人に追い銭」では

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”みんなにちょっとずつ愛されるそんな「CanCamな日本」であることが21世紀の国際社会を最小のコスト、最低のリスクで生き抜く戦略だということを無意識のうちに日本人たちは気づき始めている。”
  • 倍音的エクリチュール - 内田樹の研究室

    京都造形芸術大学のクリエイティヴ・ライティング・コースに呼ばれて特別講演を一席。 こちらのCW(めんどくさいから省略するね)は今年から芸術表現・アートプロデュース学科に出来た新しいコースである。 大学案内には 「大学教育では初めて〈書く〉ことに特化したカリキュラム編成で、作家、ライターを育成するコースです。まず言語力の伸長をめざし、現代日語だけでなく、日の古典や海外の名作を解読・解釈することを通して、言語における創造性と理解力の習得を目指します。より実践を重視し、実際に出版物を刊行します。文芸誌、総合誌の2つのタイプの異なる雑誌を立ち上げ、創作から編集まで、あらゆる方面で学生が参加できる体制を整えます。」 すごいですね。実際に雑誌まで出しちゃうんだ。 専任教員はお一人。アメリカ文学の翻訳で知られる新元良一(にいもと・りょういち)さんである。 CWはうちでも 2006 年度に私がナバちゃ

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「これは私だけのために書かれ、時代を超え、空間を超えて、作者から私あてに今届いたメッセージなのだ」という幸福な錯覚なしに文学的感動はありえない。”
  • CS minded teacher - 内田樹の研究室

    火曜日の大学院ゼミに浜松のスーさんが来る。 大学聴講生第一期生のスーさんがこの教壇で発表をするのは4年ぶりのことである。 公立学校の教育現場からの、たいへんリアルな、そして困難な問題提起がなされた。 そのときにその困難な問いへの解決の糸口として話したことと同じようなことを翌日は三菱東京UFJ銀行のCSマインドセミナーでも話すことになった。 CSってご存じですか? Customer Satisfaction 「消費者の満足」のことである。 これをCSは「顧客第一主義」とか「顧客中心主義」というふうに訳している。 それは違うだろうという話から始める。 教育の現場でもコンサルの諸君は「大学教職員もCSマインドを持て」というようなことを言い募っている。 これからはお客様である志願者や保護者のニーズを第一に配慮して・・・ でもさ、そういうことを言っている当のコンサル諸君は、キミたちの「お客様」であ

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”ニーズは「ニーズを満たす制度」が出現した後に、事後的にあたかもずっと以前からそこに存在していたかのように仮象する。”
  • 愛国について語るのはもうやめませんか (内田樹の研究室)

    教育関連三法が今日参院を通過する予定だそうである。 安倍首相は昨日の参院文教科学委員会の総括質疑でこう答えた。 「地域を愛する心、国を愛する心を子どもたちに教えていかなければ、日はいつか滅びてしまうのではないか。今こそ教育の再生が必須だ。」 私は子どもが郷土や国家にたいして愛着を持つことは国民国家にとって死活的に重要であるということについて首相に異存はない。 しかし、「愛国心」というのはできるだけ公的な場面で口にすべきことではない言葉のように思う。 法律文言に記すというようなことはもっともしてはならぬことである。 それは左派の諸氏がいうように、愛国教育が軍国主義の再来を呼び寄せるからではない。 愛国心教育は構造的に人々の愛国心を毀損するからである。 私は愛国者であり、たぶん安倍首相と同じくらいに(あるいはそれ以上に)この国の未来とこの国の人々について憂慮している。 日人はもっと日の国

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”歴史が教えるように、愛国心がもっとも高揚する時期は「非国民」に対する不寛容が絶頂に達する時期と重なる。”
  • たたかえ! 公安調査庁 - 内田樹の研究室

    朝鮮総連の中央部の土地建物が627億円の借金のカタに差し押さえられるのを防ぐために、元公安調査庁長官と元日弁連会長がダミー会社へ所有権移転をはかった事件について、メディアは「真相は謎」とか「意味がわからない」と繰り返しコメントしている。 どうして? 誰にだってわかるでしょう。 公安調査庁は破壊活動を行う可能性のある組織を監視する官庁である。 国内における監視のメインターゲットは朝鮮総連である。 現に今年の5月30日の公安調査庁長官訓示で、長官は同庁の喫緊の課題を三つ挙げている。 「第一は,国際テロ関連動向調査の推進であります。テロを未然に防ぐためには,国際テロ組織関係者の発見や不穏動向の早期把握が何よりも大切であります。」 「第二は,北朝鮮関連情報の収集強化についてであります。北朝鮮・朝鮮総聯の動向は,我が国の治安のみならず,我が国を含めた東アジアの平和と安全保障に重大な影響を及ぼすもの

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”犯罪組織と警察が緊密な連絡を取り合い、ある程度共依存的関係を保つことができれば、国家体制の根幹を揺るがすようなカタストロフは回避できる。”
  • Who is to blame? (内田樹の研究室)

    社保庁問題がメディアを賑わせている。 これだけのミスが累積するのだから、構造的にもいろいろとむずかしい問題がある制度なのであろうが、それにしてもここまで問題を深刻にしたのは歴代の社保庁の役人たちのメンタリティの問題だろう。 そして、そのメンタリティは悲しいかな程度の差はあれ私たちの社会の全域に瀰漫しつつある。 それは「前任者の不始末をなんで私が尻ぬぐいしなくちゃいけないんだ」という不満に「理あり」とする態度である。 「この不祥事の責任を問う」という言葉は勇ましいし、合理的に聞こえるけれど、実際には責任の淵源を探ってゆくと、最後に発見されるのは、誰でもやるようなわずかな事実誤認や見落としだけである。 ほとんどすべてのシステムトラブルは誰でもするようなケアレスミスから始まる。 そんなものにシステムをクラッシュさせるような力はない。 システムをクラッシュさせた責任は、「起源」にはない。 このこと

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    tsumoyun 2009/02/03
    ”システムをクラッシュさせた責任は「誰に責任があるのだ」と声を荒げる人間たちだけがいて、「それは私の責任です」という人間がひとりもいないようなシステムを構築したこと自体のうちにある。”
  • 内田樹の研究室 - こんなことを書きました

    『大航海』と『潮』と『熱風』と『中央公論』が同時に送られてきた。 白川静論、関川夏央さんとの対談、貧乏論、諏訪哲二さんとの対談である。 『大航海』と『熱風』は一般書店ではなかなかみつからない媒体であるから、読者サービスとしてここに掲載することにする。白川静論は25枚。ちょっと長いよ。では、どうぞ。 白川先生から学んだ二三のことがら 白川静先生は、私がその名を呼ぶときに「先生」という敬称を略することのできない数少ない同時代人の一人である。私は白川先生の弟子ではないし、生前に講筵に連なってその謦咳に接する機会を得ることもなかった。けれども、私は書物を通じて、白川先生から世界と人間の成り立ちについて、質的なことをいくつか教えて頂いた。以下に私が白川先生から学んだ二三のことがらについて私見を記し、以て先生から受けた学恩にわずかなりとも報いたいと思う。 私が白川先生に学んだ第一のものはその文体であ

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    tsumoyun 2009/02/03
    白川静論と貧乏論。
  • 国語教育について - 内田樹の研究室

    大学院のゼミでは国語教育について論じる。 国語力の低下が子どもたちの学力の基盤そのものを損なっていることについては、すでに何度か言及した。 何が原因なのかについては諸説があるが、「言語のとらえかた」そのものに致命的な誤りがあったのではないかというラディカルな吟味も必要だろうと私は思う。 「いいたいこと」がまずあって、それが「媒介」としての「言葉」に載せられる、という言語観が学校教育の場では共有されている。 だが、この基礎的知見そのものは果たして妥当なのか。 構造主義言語学以後(つまり100年前から)、理論的には言語とはそのようなものではないことが知られている。 先行するのは「言葉」であり、「いいたいこと」というのは「言葉」が発されたことの事後的効果として生じる幻想である。 とりあえずそれがアカデミックには「常識」なのだが、教育の現場ではまだぜんぜん「常識」とはされていない。 私が何かを書く

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「私」は「私が発した言葉」の事後的効果として存在し始めるのである。/「言葉以上のものがある」と信じさせることが言葉の力の効果なのである。”
  • 辺境で何か問題でも? - 内田樹の研究室

    次々といろいろな人がインタビューに来るので、誰にどんな話をしたのか忘れてしまう。 昨日は Sight という雑誌のインタビュー。 ロッキングオンの姉妹誌だというので、ポップスの話でもするのかなと思って待っていたら、ポリティカル・イシューの専門誌だった。 渋谷陽一くん(別にともだちじゃないけど、なんとなく同世代的タメ口が許されそうな・・・)は「これからは政治の季節だ」ということで Sight の誌面を刷新したそうである。 その意気や善し。 先月号のラインナップを見たら、特集が憲法で、巻頭インタビューが吉隆明。高橋源一郎と斎藤美奈子の対談。藤原帰一、小熊英二のインタビューなどなど「60年代テイスト」のまさったメニューである。 インタビューにいらしたのは副編集長の鈴木あかねさん。 私はインタビュアーのご要望に合わせて話す内容をころころ変える迎合タイプのインタビュイーなので、穏健で謙抑的なことを

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「辺境」は(自分が辺境だという意識を持ち続けることによって)はじめて「中央」を知的に圧倒することができる。日本の歴史はその逆説を私たちに教えている。”
  • 音楽との対話 - 内田樹の研究室

    締め切りが迫っているので、日記なんか書いている暇はないのであるが、昨日の「音楽との対話」で心温まる事件があったので、ひとことだけ。 「音楽との対話」というのは、音楽学部の先生と文学部、人間科学部の教師とが何組かペアになって一組が三週にわたり、異文化交流・異種格闘技をする様子を学生さんにご覧いただくという結構の授業である。 よいアイディアである。 私の相方は声楽の斉藤言子先生である。 斉藤先生とは「会議仲間」であって、この二年間たいへん長い時間を会議で共に過ごした。 「会議仲間」というのは「戦友」というか、「ともにまずいものを喰った仲間」というか、「思わず、とんとんと相手の肩を叩きたくなる」関係である。 というわけで、斉藤先生とは仲良しなのである(斉藤先生のご主人が日比谷高校で私のイッコ先輩という奇縁もある)。 私は音楽に限らず人間の発する音韻の選択に興味があり、声楽家の斉藤先生にじっくりと

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    tsumoyun 2009/02/03
    “音韻としての「イ」には、「このあとまだ音が続きますよ」という非終止感と浮遊感をもたらす効果がある。そして、おそらくこれは万国共通なのである。”
  • コミュニケーション・プラットホーム - 内田樹の研究室

    予備校が毎年行っている大学入試の「現代文頻出著者」ランキングが今年も発表された(ほんとは発表されていないのだけれど、そこはそれ「蛇の道は蛇」で)。 私はこのランキングに 05 年度入試に初チャートイン(10位)、06 年度は第6位であった。 で、今年は2位。 1位は養老孟司先生。 同率2位が鷲田清一先生で、3位が茂木健一郎さん。 というわけで、1位から3位まで全員「おともだち」でした。 不思議ですね。 ちなみに4位が正高信男、見田宗介。5位が小川洋子、佐藤卓己、夏目漱石。6位が赤瀬川原平、河合隼雄、斎藤孝、堀江敏幸、三浦雅士、山崎正和。7位が青木保、阿部謹也、内山節、梅原猛、大岡信、大庭健、加藤周一、佐伯啓思、村上陽一郎、四方田犬彦(敬称略させていただきました)、と続く。 このランキングには大学の先生が多いけれど、もちろん「学者ランキング」ではない。 学者としては「中の下」である私が入試問

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    tsumoyun 2009/02/03
    ”私はこのような「読者の同意を求めるために、いったんたちどまること」を「コミュニケーション・プラットホームの構築」と呼んでいる。”
  • 憲法の話 - 内田樹の研究室

    5月3日は憲法記念日なので、いろいろなところから憲法についてコメントを求められる。 一つは毎日新聞の「水脈」に書いた。 今日の夕刊に掲載されるはずだが、一足お先に公開しておく。 改憲の動きが進んでいる。一部の世論調査では、国民の6割が改憲に賛成だそうである。大学のゼミでも「もうすぐ憲法が改正されるんですよね」とあたかも既成事実であるがごとくに語る学生がいて驚かされた。 九条第二項の政治史的意味についての吟味を抜きにして、「改憲しないと北朝鮮が攻めてきたときに抵抗できない」というような主情的な言葉だけが先行している。 私は改憲護憲の是非よりもむしろ、憲法改定という重大な政治決定が風説と気分に流されて下されようとしている、私たちの時代を覆っている底知れない軽薄さに恐怖を覚える。 改憲とは要すれば一個の政治的決断に過ぎず、それが国益の増大に資するという判断に国民の過半が同意するなら、ただちに行う

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    tsumoyun 2009/02/03
    "本来は存在しない九条と自衛隊の葛藤を苦しむという不思議な病態を演じることを通じて、日本人はその「疾病利得」として、世界史上例外的な平和と繁栄を手に入れたのである。”
  • 東京でお仕事 - 内田樹の研究室

    東京出張。仕事は三つ。 福岡伸一先生との対談、クロワッサンの取材、それから諏訪哲二先生との対談である。 福岡先生とお会いするのは二度目である。 前回は新宿のホテルのバーで隣り合わせて座って、Y野屋のG丼の原価の秘密について、さらにはMシシッピ河流域に展開するG肉マフィアの恐るべき真相について、「ここだけの話ですが」をいろいろと伺った。 「こんな話をAメリカでしたら、翌日はHドソン河で簀巻きにされて浮いてます」とF岡先生は遠い目をして語っていたのである。 わお、めちゃテリブルですね、F岡先生(っていまさら伏字にしても仕方がないが)。 当然のことながら、今回もテリブル話で盛り上がったのであるが、残念ながら、私たちの対談を掲載するメディアは「中学校受験向けの学習塾に配布されるフリーペーパー」であったので、そういう話はすべて「カット」されるはずである。 どうしてこのようなメディアで福岡先生が連載対

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    tsumoyun 2009/02/03
    「ロスト・ジェネレーション」と「お金と子ども」
  • 「株式会社という病」を読む - 内田樹の研究室

    平川くんの『株式会社という病』(NTT出版)のゲラが届いたので、東京へ向かう新幹線の車中で読み始める。 平川くんはブログ日記で、このを書くのにずいぶん苦労したと書いていた。 彼が「苦労する」というのはどういうことだろう。 言いたいことをはやばやと書ききってしまったので、残りの紙数を埋めるのに苦労するということは学生のレポートのような場合にはよくあることである。 だが、平川くんのような書き手の場合に「書くネタが尽きる」ということはありえない。 ということは、彼がこので「手馴れた道具」では論じることの困難な種類の主題を扱っているということである。 平川くんをして困惑せしめる主題とは何であろう。 一読して、その困惑が少しだけわかったような気がしたので、そのことについて書きたい。 彼は久が原の町工場の長男として育った。 その少年時代の親たちの働きぶりや、彼のまわりにいた工員たちの姿を活写すると

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    tsumoyun 2009/02/03
    "かれらは、今日のような自己実現の夢を育もうとはしなかったかもしれないし、格差社会を意識するといったことはなかったかもしれないが、それ以上に、かれらの世界には安定した倫理観と、生活上の慰安があった"
  • 分子生物学的武道論 - 内田樹の研究室

    昨夜読んだ福岡伸一先生のの中に「武道的に」たいへんどきどきする箇所があったので、それを早速合気道の稽古に応用してみることにした。 それはトラバでM17星雲さん(ごぶさたしてます)が言及している箇所と同じところなのだが、「どうして原子はこんなに小さいのか?」というシュレディンガーの問いについて書かれたところである。 どうして原子はこんなに小さいのか? これは修辞的な問いであって、実際の問いは「どうして生物の身体は原子に比べてこんなに大きいのか?」と書き換えねばならない。 原子の直径は1-2オングストローム(100億分の1メートル)。 つまり、仮に1メートル立方の生物がいたら(そんなかたちの生物見たことないけど)は原子の100億の3乗倍の大きさがあることになる でかいね。 どうして、生物はこんなに大きいのか? 理由を福岡先生はこう書く。 「原子の『平均』的なふるまいは、統計学的法則にしたがう

  • 新学期のご挨拶 - 内田樹の研究室

    2007年度の新学期が始まる。 岡田山に来て18回目の新学期である。 新メンバーで部長会に出てから、最初の三年生のゼミがある。 新顔の15名のゼミ生たちにご挨拶をする。 内田ゼミにようこそ。 日は初日であるので、このゼミではどんなことをやるのかについてご説明しよう。 このゼミは「知識」を得るためのものではない。 「知識」というのは基的に一問一答のクイズ形式でフォーマットされている。 「タイ・カッブの最高打率は?」「0.420」 「ニール・ヤング、ジム・キャリー、マイク・マイヤーズ。共通点は?」「カナダ人」 というふうに。 しかし、実際に人生の岐路でそういうクイズ形式の問いを差し向けられるということは起こらない。 実際に人生の岐路(めいたところ)で私たちが遭遇するのは「答えがもともとない問い」と「答えがまだ知られていない問い」だけである。 「答えがもともとない問い」というのは問いに対して

    tsumoyun
    tsumoyun 2009/02/03
    ”「答えのない問い」に対しては、「ひとはどのような文脈において『答えのない問い』を発するのか?」というふうに問いの次数を一つ繰り上げる「術」を以て応じるしかない。”
  • シンガポールの悩み (内田樹の研究室)

    朝からの会議は英語セッション。 英語を話すのが苦手である。 英語を話すと、善良で頭悪そうな人間になるか、狭隘で攻撃的な人間になるか、どちらかだからである。 ふだん日語を話しているときの、「表面的にはディセントだが、言葉の奥に邪気がある」というダブルミーニングの術が使えない。 「隔掻痒」とはこのことである。 論じられている問題については、公的にも私的にもぜひ申し上げねばならぬような知見があるわけでもないので、2時間半黙って坐っている。 午後から講談社FRAUの取材。 若い女性が三人でやってくる。 お題は「ダイエット」なのであるが、ひろく身体一般について語る。 今度は1時間半ほどノンストップでしゃべりまくる。 聴き手が若い女性のときは学生相手に無駄話をしているときのようなカジュアルな気分になってしまうので、話はあちらへ飛び、こちらへ逸れ、話頭は転々として奇を究め、約しがたいこと常の如しなの

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    tsumoyun 2009/02/03
    ”国民的統合を情緒的に下支えしているのは実は「兎追いしかの山」や「夕焼け小焼けの赤とんぼ」が歌う幻想的な風土である。”
  • 掃除と憲法 (内田樹の研究室)

    いろいろなところからいろいろなテーマで取材が来る。 既視感のある表現であるが、私の人生はもはやほとんど既視感だけで出来上がっている状態であるので、仕方がない。 午前中は「掃除について」、PHPの取材。 ブログに「煤払いをした」とか書いたせいで、掃除について一家言ある人間だと思われたらしい。 年末になったら「煤払い」くらいふつうするでしょ。 しないのかね、知識人諸君は。 掃除について論じるウチダ氏の部屋は掃除が行き届いていないので、ぐちゃぐちゃである。 そんな部屋をばしばし写真を撮られてしまい、天下に言行不一致をさらすことになってしまった。 ええ口惜しい。 だったら、はじめからそんな取材受けなければよいではないかと思われるだろうが、私の立場になっていただければ、わかる。 取材の依頼を断るというのはたいへん面倒なことなのである。 取材のオッケーは簡単である。 「あ、いいすよ」 これで終わりであ

  • これを読んで怒りを覚えるあなたは・・・ ビジネス-最新ニュース:IT-PLUS

    遺伝子を効率よく改変するゲノム編集研究の第一人者で米ブロード研究所のフェン・チャン主任研究員は、エボラ出血熱やジカ熱の早期診断技術を開発したことを明らかにした。ウイルスの遺伝情報が…続き 受精卵のゲノム編集、なぜ問題 優生思想と表裏一体 [有料会員限定] ゲノム編集品 販売容認、条件満たせば安全審査なし [有料会員限定]

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