夏休みもあと一週間でおしまいである。 今年はほとんど休みらしい休みがとれなかった。 海にも山にもゆかなかった。 唯一の夏休みっぽさは「昼寝」を存分にしたことだけである。 昼寝というのは不思議なものである。 抗しがたい眠気に屈して、よろよろとベッドに倒れ込んで眠りに入るときには至福のヨロコビが訪れるのであるが、目が醒めたときにはべっとり汗をかいていて、頭はぼおっとして、日は西にすでに傾き、無為に何時間かを過ごしてしまったことへの悔いに臍を噛む思いをする。 幸せの予感で始まって、後悔と自己嫌悪で終わる。 なんだか人間的経験の縮図のようである。 そのような縮図的経験をほぼ毎日繰り返していたことになる。 ところで、人間というのは「一夜明けると別人」というペースでだいたい変化するわけであるが、昼寝をすると、これが別人になるチャンスが一日二回訪れるということになる。 「昼寝前」に頭の中にぎっしりとひし