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ブックマーク / note.com/shinshinohara (51)

  • レヴィ・ストロースとモンテーニュ|shinshinohara

    大学の文化人類学の講義で、レヴィ・ストロースのことを知った。それまで、欧米人が白人だけを優秀な種族と考え、その他の民族を見下しがちな中で、ストロースは違った。「未開の民族」と表現され、蔑まれていたような種族にも、豊かな文化と深い哲学が息づいてることを発見し、世界に知らしめた。 ストロースは構造主義という哲学・思想を提唱したことでも知られる。自分から見て非常に変わった風習を持つと感じると、人は「野蛮」「未開」とみなしてきたけれど、ストロースは、それぞれの民族には、それとははっきり見えない「構造」があって、その構造の中で文化や風習が形成されていると捉えた。 この構造主義は、それぞれの民族がなぜそんな風習を持つのか、なぜその「構造」の中ではそれなりの正当性が認められるのかを理解できるとして、世界に大きな影響を与えた。ストロースは拙著「世界をアップデートする方法」では取り上げなかったけど、非常に重

    レヴィ・ストロースとモンテーニュ|shinshinohara
  • 文筆業の価格破壊|shinshinohara

    私はこうして大量に文章をアップするせいか、寄稿を頼まれることがある。以前は喜んで受けていたのだけど、無料で引き受けていたら、文筆で生きておられる人たちの生活を脅かすのでは?と思うようになり、「おいくらですか?」と聞くようにしている。すると、音沙汰なくなる出版社も。 今はツイッターやFacebookなどのSNSで文章を書く人をいくらでも見つけられる。だから出版社も、無料で文章書いてもらえそうな人を簡単に見つけられるのだろう。そのために、文筆でメシをべている人たちの生活を脅かしているように思う。 もっとひどい事例もある。「ノーベル賞級の研究者が寄稿する雑誌にあなたの文章も載ります。栄誉でしょ?ついては10万円支払ってちょ」私は最初、勘違いして「え?執筆料10万円ももらえるんですか?」とビックリしたら、「いえ、あなたが出版社に支払うんです」という。アホらしくて断った。 陶芸の世界でもあるらしく

    文筆業の価格破壊|shinshinohara
  • 食品ロスは「安全余裕」|shinshinohara

    「売り物にならない曲がったキュウリや、傷物の野菜など、だけどまだまだべられるものを売れば、消費者は安くべ物が手に入り、農家は捨てていたものから現金収入が得られ、品ロスも減り、ウインウイン、ウインでは?」そんなビジネスはどうだろう、と相談されることがある。 私は「農家の生活を破壊しますよ」と言って、止めることにしている。ほめられると思っていた相談者は、意外な顔をするが、私が次のように説明すると納得してくれる。 農家だって、子どもに教育を授けたいし、老いた両親を病院に通わせたい。それには現金収入が必要。だけどもしクズ野菜を売ったら。 消費者はクズ野菜でお腹いっぱいになり、マトモな値段の野菜には手を出さなくなるだろう。すると、農家が手にできる現金が減ってしまう。子どもを進学させてやることも、親を病院に通わすこともできなくなる。品ロスを減らそうとして、農家を苦しめることになるんです、と。

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  • 銀行に預けたお金は「死に金」?|shinshinohara

    この記事をまとめたら、複数の人から、銀行への貯金は死に金、投資は生き金、というような指摘があった。銀行での貯金が死に金、という指摘は興味深い。銀行自体が投資機関だからだ。なのになぜ、貯金は悪ととらえられるのか? https://note.com/shinshinohara/n/ncfe7abcfc4dc 一般人が直接株などの金融商品を購入することを直接金融、銀行に貯金し、銀行がその貯金を元手に企業に投資するのを間接金融と言う。今の若い人には想像しづらいかもしれないが、戦後昭和の日は銀行からの投資の全盛時代、つまり間接金融全盛の時代だった。 戦後昭和の国民はよく働き、稼ぎを銀行に預けた。当時は利息(公定歩合)が高く、定額貯金なら、10年預ければ貯金が二倍になるほどだった。銀行に預けるのは、安全なうえに割の良い「投資」でもあった。銀行は巨額な貯金を元手に大企業などに投資し、儲けることができた

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  • 「路傍の石」化・・・見ているのに見えなくなる現象|shinshinohara

    「観察」考3。 塾の子どもらを海に連れて行くと、そのうちの一人が「何にもないやん!コンビニは?ゲームセンターは?」そんなもんない、海で遊べばいいやん、と言うとガックリ肩を落とし、持参の携帯ゲームやマンガを読んで過ごした。他の子どもらは「エビが!魚が!」と大騒ぎしてるのに。 その男の子の父親は自動車からテレビを出し、クルマに備え付けの冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、家の空間さながらの楽しみを始めた。父親によると「小さな頃から子どもを自然の中に連れ出した」という。ボーイスカウト歴は子どもと一緒に10年にもなるという。 しかし、同じくらいボーイスカウト歴がある別の子どもは海辺で遊びまくり、キャンプファイアーの準備に薪を集めたりなど、自然の中の遊びを満喫してるのに、その父親の息子は自然と戯れるどころか「何もない」と言って、ゲームをやる有り様。不思議に思って父親の話を聞いてみた。 すると、どうやら

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  • 群れ遊び欠乏症|shinshinohara

    現代子育ての弱点は「群れ遊び欠乏症」だと思います。子ども同士から受ける影響は大人からのものとは全く違い、喧嘩しながらも深く内省し、楽しいからガマンも覚え。発達障害のある子でも群れ遊びを数年経験すれば、経験から行動を補正する術を身につけられる子が多かったのではと思います。 また、子ども社会そのものも多様な子どもに揉まれることで、いかにいろんな子どもがいるのかを思い知り、かなり変わった子でも「いるいる、そんなヤツ、まあええやん、こうしたらええねん」と包摂し、それなりに子ども社会の中で扱える、子ども社会の錬度が高かったと思います。 しかし少子化が進んで子どもがおらず、一緒に遊ぼうとしても少人数、大人が多すぎて大人の「眼」の中でしか活動できなくなり、子ども社会が事実上消滅しました。それが今の子育てのやりづらさなのでは、と思います。子ども社会にもまれなくてもすんなりコミュニケーションできる定型発達し

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  • 「失敗を恐れるな」から「失敗を楽しもう」へ|shinshinohara

    ビジネス記事や教育記事なんかを読むと、「失敗を恐れるな」なんて言い草を見かけるけど、おかしいと思う。この言葉の裏メッセージは「失敗は恐いものだ、だがしかし」というもの。失敗恐がってんじゃん。恐いのに恐れるなって言語矛盾。そんな風に思う。そもそも、失敗って楽しいもんだし。 私は、危険がない限り、失敗はとても大切で、恐がるようなもんじゃないと考えている。むしろ大変興味深く、楽しいものだと考えている。成功はつまんない。だって、予想通りのことが起きただけなんだから、学びがない。失敗とは、想定してないことが起きたということ。これは新しい出会い。ワクワク。 赤ちゃんを観察していると、大変興味深い。たとえば丸や三角、四角のプラスチックを穴に通すオモチャの場合、ついつい大人は早く「正解」にたどり着けるよう教えたくなる。何せ、赤ちゃんは丸を四角の穴に入れようとしたり、三角を丸の穴に遠そうとしたり、失敗ばかり

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  • 底なし沼との向き合い方|shinshinohara

    自分でなんとかしようとせず、してもらおうとするばかりの人と対すると、なぜゲッソリした気持ちになるのだろう?際限のない要求をされて底なし沼に大切な時間を放り込んでいるような、ブラックホールにすべてのエネルギーを吸い取られるような気持ちにさせられるからかもしれない。 他方、自分でできることは自分でなんとかしようとする人に何かしてあげるのは心地よい。終わりが見えるし、頼られてる感が嬉しい。しっかりしてる人に頼られるのは、こんなしっかり者にも頼られた、という自信になるのかもしれない。 しかし、ただ頼るばかりの人、自分でなんとかしようとしない人の要求は終わりが見えず、恐ろしくなる。この人からは何もかもむしり取られるのでは、という恐怖。しかも、たよられたのを断ったらこっちが悪者にされる可能性大。やってあげたら一応お礼は言われるけど、また次の要求がくる。ゲッソリ。 人に頼ってばかりの人は「与える」ことに

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  • 高額納税者のお金、本当は誰が稼いだもの?|shinshinohara

    高額納税者から、低所得の人は税金納めてないのに補助があってずるい、という話を聞くことがある。しかし低所得の人は「搾取」される形ですでに納税してる。地主が小作人から小作料を搾り取り、それで納税していながら「俺だけ納税」と言ってるのと同じ構造。 大切なのは納税額ではなく、労働を提供しているかどうか。高額納税者は上手に「搾取」し、お金を集めるのに長けているかもしれないが、働いているとは限らない。世の中に果たして貢献してるとは限らない。貢献してるのは労働を提供してる低所得者であり、高額納税者はそれに寄生してるだけかも。 私は、労働の種類に関わらず、一定の収入が支払われてしかるべきだと考えている。高額所得者がお金の集まりやすい構造にたまたま位置するだけで低所得者を見下すのはおかしいし、傲慢に過ぎると思う。低所得者の人達は労働力を提供しているだけで立派に納税してるようなものだと考えるべきだと思う。 不

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  • 「寄り添わない」覚悟|shinshinohara

    人の相談に乗るのに「寄り添わない」というのも大事な資質だったりする。悩んでる人は溺れてる人と同じで、息継ぎするために助けに来た人を沈め、自分が息しようとする。結果、助けに行った人が溺れてしまう。だから、一緒に溺れずにすむように「寄り添わない」ことも大切な時がある。 タイプの異なる社会福祉士が。ひとりは退院後の生活設計についてアドバイスするとき、その生活の苦難さを想像しては胸がつぶれる思いをし、もう少しどうにかなるプランはなかったのかと思い悩み、ついに心折れて辞めてしまった。 もう一人は、相談者が選択できるサービスを列挙し、「どれを選ぶかはあなた次第」と示した後は、その件は終わったこととして次の案件に行くサバサバした性格。その代わり、ベストを尽くせるよう普段から新しいサービスのことを勉強し、一人一人に最適な設計を示せるよう心がけていた。 人の相談に乗るには、こちらの気力が充実している必要があ

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  • セレブ層製造機能としてのアメリカの大学と今後|shinshinohara

    アメリカの大学の学費がバカ高くなったのはいつからなのだろう? 私が学生だった90年代前半、アメリカに留学したことのある同級生がこんなこと言っていた。「親がかりで大学に行ってるのが恥ずかしかった」。 当時のアメリカの大学生は、アルバイトして学費を稼ぎ、親に負担をかけずに大学に通うのが当たり前だったという。その学生は、日の大学も留学でもみんな親に学費を出してもらっていて、自分は甘えているなあ、と恥ずかしくなったらしい。 他方、このエピソードは次のことを示唆する。 アルバイトをすれば十分学費を払えるくらい、当時のアメリカの大学は、学費が安かったということ。ところがどうであろう。2000年代に入ると、ハーバード大学もスタンフォード大学も、200万を超えるような高額な学費が必要。今のアメリカの学生は、とてもアルバイトだけでは学費をまかなえない。 だから貸与型の奨学金を借りて大学に進むのだけど、卒業

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  • 投資効率のよい「失敗を楽しむ」|shinshinohara

    失敗を楽しむ余裕なんか職場にないよ、というお声複数。少子高齢化で働く人も減り、どこも余裕のないのが日。私も実のところ余裕ありませんが、余裕をこじ開け、失敗を楽しまないと人が育たず、さらに余裕をなくす悪循環になります。ですのでなんとしても余裕こじ開けてます。 最初の1~3ヵ月、特に最初の1ヶ月で余裕をこじ開け、手を抜かずに失敗を楽しむと、失敗への恐怖という呪いが解け、仕組みを知ろうとするクセがつくので自立します。すると後がとてもラク。自立して仕事してくれますから。指示待ち人間のままだと指示しなきゃいけないからいつまでも大変。 最初に時間と手間を投資することで、以後ずっと自立的主体的能動的に動く人材が育つなら、大変投資効率がよいです。ごんなお値打ちな投資をしないのはもったいない。みなさん挑戦してみて下さい。大丈夫。やってるうちにコツがつかめてきます。

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  • 失敗は仕組みの理解の母|shinshinohara

    今回Twitterでバズったことで、失敗を恐れる人が多いのがよく分かったけど、私は失敗しないことの方が恐い。失敗せずにすんなり成功してしまうと、私の目が離れ、慣れてきたときに大きな失敗しそうで恐い。だから、私が見てる新人指導のうちに失敗してもらいたい。 新人がすんなりうまくやってしまった場合、あえて「こうしなかった理由って何かある?」と、失敗する方法をとらなかった理由を尋ねる。そうすると仕組みを見抜いた人なら、うまくいかない理由を説明できる。しかし偶然うまくいった人は「あ、なるほどそうですね」と言ってやり直し、失敗してくれる。 失敗し、失敗を楽しむ勢いで失敗を観察すると初めて仕組みが理解できる。仕組みがわかると成功させる方法もわかる。最初から偶然成功してしまうと、仕組みが理解できない。仕組みを理解するには、失敗した方がよくわかる。成功するととうしたわけか仕組みを想像できないことが多い。 だ

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  • 呪いを解除し、失敗を楽しむ|shinshinohara

    私のところに来てくれる学生やスタッフには、まず「呪いの解除」から始めさせて頂く。ほとんどの人が、親や教師、指導者の言うとおり、指示通りに動かねばならない、失敗なんか許されないという「呪い」にかかっている。約1ヶ月ほどかけて、この呪いを解くことにしている。 最初の1ヶ月は、危険がない範囲で、なるべくたくさん失敗してもらう。失敗したら叱られるという経験ばかりしているので、とても失敗を恐れる「呪い」がかかっている。私は「あ、そうなんですよ。皆さん方ここで引っかかるんですよねー」と言って、一緒に失敗の観察を楽しむ。 「なんでこうなっちゃったんでしょうね?」と聞いても、たいがい、「わかりません」が返ってくる。そこで「ここ、どうなってます?」と着眼点を伝える。すると「こうなってます。あ、だからか!」と気づいてもらえる。「なるほど。ではどうしたらよいと思います?」と尋ね、仮説を立ててもらう。 こうしたこ

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  • マジックワードの多い教育界|shinshinohara

    その言葉を聞いた途端、思考が停止してしまう言葉をマジックワードと言うらしい(日だけに通じる使い方らしい)。教育界ではこのマジックワードがとても多い。例えば「子どもは愛情をもって育てる」「子どもは時に厳しく接しなければ」「わかりやすく教える」これらは問答無用に良しとされている。 でも、私には何を言っているのか分からない。具体性がない。どんな場面でどう接することを指すのかも分からない。そしてそれらの対応が果たして効果があるのかも怪しい。なのに「そうだよね」とみんながうなづき、文句なしに賛同する言葉になっている。その手のが教育界には非常に多い。 孫のことを、まさに目に入れても痛くないようなかわいがりようで愛情深く育てたおばあちゃんがいた。その子は、白昼夢を見ているような子どもになった。べるのも着替えるのも全部おばあちゃんがやってしまうので、何もさせてもらえないこの子は心の中のお花畑におでかけ

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  • すべての漢字にルビを!|shinshinohara

    外国籍の子どもや外国人犯罪者の通訳をしてる知人は「ルビさえあれば」という。最近はいろんな案内に英語韓国語、中国語の表記が増えたが、日で暮らしている外国人にとって、漢字はなかなか読めない字のまま。ルビさえあれば、かなり学習しやすくなり、生活の不便もなくなるという。 小学校高学年以降に日に来た場合、日語の習得はかなり難しくなる。漢字が読めなければ、国語辞典の引きようもない。ルビさえあれば辞典を引くこともできるだろうけど、辞典もルビがない。ルビさえあれば、大人になってからでもかなり日語の習得は容易になるだろう、と知人は言う。 パンフレットひとつとっても、ルビはない。契約書みたいな大切なものもルビはない。長く住んでいると耳慣れするので、日語を話せる外国人は多い。しかしルビのない漢字ばかりのせいで、自分の口にしている日語がどんな漢字なのかを知らないままの外国人も多いようだ。 外国人がこ

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  • 無意識下に働きかける言葉かけ「ナッジ」|shinshinohara

    「みんな塾に行っているけど、ぼく、塾に行ってない。成績が悪いのは仕方ないよ」と言っていた知人の子ども。私は傍らにいたYouMeさんに「塾行ってないのに勉強できるって、一番かっこいいよね~」と何気なく言うと、その子の目が「えっ」と言った感じで、キラーンと輝いた。私は内心ほくそ笑んだ。 塾行っている子が成績良いのは塾のおかげ、塾に行かずに勉強できたとしたら、それは自分の実力?塾に行かないのは不利だと思っていたけれど、自分のすごさを見せつけられる絶好のポジションに自分はいる? それに気づいたその子は、自分で頑張って勉強するようになったらしい。 行動経済学で「ナッジ」と呼ばれるものがある。もともと肘で小突く、という意味なのだけれど、命令でも懇願でもなく、ほんのちょっとしたことで無意識下に働きかけ、ついそうしたくなるように仕向けるもの。このナッジは、子育てや部下指導でも大切なものだと思う。 災害時に

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  • 家栽の人・・・子育ての参考書|shinshinohara

    子育ての参考になる、と言えば。私は「家栽の人」をお勧めしたい。家庭裁判所の裁判官の話なのだけど、「少年」が引き起こす様々な問題一つ一つに、とても考えさせられる。塾を主宰してるとき、どんな育児書よりも参考になったと言えるくらい、影響を受けた。 日は戦後、戦争孤児が大量に発生し、彼らを更生させることがとても重視されていたという歴史的背景があり、家庭裁判所は当時、その時の精神をまだ維持していたという面がある。 「家栽の人」は、ひたすら子どもをよく観察し、家庭を観察する。主人公の桑田判事は、私にとってロールモデル。 教師を主人公にしたマンガや小説はたくさんあるし、生徒を主人公にした作品もたくさんある。けれど、意外にピンとくるのにはなかなか出会わない。「家栽の人」はドンピシャだった。様々な子どもの、様々な問題を取り扱うこの漫画は、具体的ケースが盛りだくさんで、考えさせられる。 作品としては古いけ

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  • 同期と驚き 子どもと遊ぶコツ|shinshinohara

    子どもが苦手、という大人は多い。あまり子どもと遊んだ経験がなく、やむを得ず遊んだことがあってもうまくいかず。それでイヤになって、子どもは苦手という方が多い。そのため、自ら子どもを持つことに不安がある人も。では、子どもに慣れていない人でも一緒に遊べるコツは何だろう? カンタンな方法が二つある。同期と驚き。 子どもが顔を傾げたら一緒に傾げ、右手を上げたら左手を上げ、ニッコリ笑ったらこっちもニッコリ。すると子どもはキャッキャと嬉しがる。自分の動きに合わせて同調してくれる大人は、「あ、この人、自分に合わせてくれる」と嬉しくなる。 子どもが走り出したら「お!速いなあ!」、跳び始めたら「お!高い!ビョーン、ビョーン!」などと軽く驚きの声を上げる。すると子どもはますますハッスルし、もっとすごいパフォーマンスを見せようとする。 同調と驚きの二つを心がけると、子どもとは大概親しくなれる。 子どもが苦手だと言

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  • 原発は無限のエネルギーか?|shinshinohara

    原子力なら永遠に発電できる、と思ってる人が少なくない様子。しかし現実にはウランも枯渇する恐れのある資源。現在の原発を動かすだけでも170年分。もし原発を増やしたらその分、枯渇するのも早くなる。原発も枯渇する恐れのあるエネルギーだというのは押さえておいた方がよい。 永久に発電できると言われていたのは、プルトニウムによる発電。ウランで発電すると、一定量がプルトニウムに変わる。プルトニウムも原発の燃料になると考えられていたのだけど、技術的に非常に難しく、日は開発を事実上断念している。永遠に発電できるとされていたプルトニウム発電は、夢のまた夢。 これまた夢のエネルギーと言われる核融合は、温度が一億℃に達する。どんな金属も一万℃に耐えられないのに。そんな強すぎる反応、人類が制御できるのか、今のところメドも立たない。 そう考えると、今のところ、原子力も枯渇性の資源だと考えるのが妥当。

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