男性の介護は、とかく完璧を求める傾向にある。特に、それまでビジネス社会で生きてきた人は、介護を仕事のように考えてしまい、質の高いものを求めがちだ。「やるからには徹底的に」「手抜きせずに精一杯やる」という意気込みは一見よさそうだが......。 その思いは被介護者に向かい、動かない足を動かそうと努力させたり、食欲がないのに無理に食べさせたり、新しい機器を導入してみたりする。スケジュールをきっちり立て、決まった分量の食事をとらせ、さまざまな工夫でよりよい介護を行おうと努力する。よくいえば向上心があり研究熱心でけっこうなことだが、最初はつき合っていた相手も、そのうち疲れてくるだろう。 自分がいくら努力しても、相手に「嫌だ」と拒否されることもある。特に認知症の場合などは、介護者が立てたプランをスムーズに遂行できることのほうが少ないだろう。 また、子どもの成長とは反対に、昨日より今日、今日より明日と