2016.06.29 私たちの周りにも「涙の匂い」はある。人の“生きづらさ”に気づくということ/『夜廻り猫』深谷かほる氏インタビュー 彼の名は、遠藤平蔵(へいぞう)。立派な名前だが、猫である。野良猫で、いつもお腹を空かせている。なのに、「泣く子はいねが~」と夜の町を歩き、“涙の匂い”をキャッチしてはその人に声をかける。子どももいれば、老人もいる。働き盛りのビジネスマンや、子育て中の女性、人知れず苦労する若者もいる。いかにも打ちひしがれている人ばかりではない。なかには自分の涙に気づかずに、日々を生きるだけで精いっぱいの人もいる。 漫画家・深谷かほるさんが2015年秋からtwitterで配信してきた8コマ漫画が、待望の単行本化。『夜廻り猫1 今宵もどこかで涙の匂い』(KADOKAWA)として、6月30日に発売される。猫の平蔵……ここでは尊敬をこめて「平さん」と呼ばせてもらうが、強面の平さんが織