『クローチェ注釈』『歴史主義』などで知られるイタリアの思想史家、カルロ・アントーニ(1896-1959)の名著『歴史主義から社会学へ』(1940刊・1959未来社・讃井鉄男訳)には、ディルタイ、トレルチュ、マイネッケ、マックス・ヴェーバーという四人のドイツ思想家と、オランダ人ホイジンハ、スイス人ヴェルフリンについての論考が収められています。特に理由は無いのですが、その中で、ディルタイとヴェーバーについて紹介しましょう。 ヴィルヘルム・ディルタイ(1833-1911)は,神秘家と狂信家の古い故郷、ライン川下流のナッサウに改革派教会牧師の息子として生まれました。祖父も曽祖父も、分家を合わせた一族全体も聖職者という家系でした。しかし、すでに曽祖父の代から、この一族にとって神学は我慢のならないものとなっていたのです。寛容の国、オランダからほど遠くないナッサウの聖職者たちには絶対自由の感情があって、