ノルウェーのベルゲン大学の考古学者ヘンシルウッド(Christopher Henshilwood)によると,ケープタウンの300km東にあるブロンボスという洞窟で発見された巻き貝の貝殻は,大きさが完璧に揃っており,どれも皆,口とは反対側の同じ箇所に孔があいている。 ヘンシルウッドは,7万5000年近く前に人類が貝殻を集め,ビーズ飾りを作るために,孔を開けたと考えている。その見方が正しいとすれば,これらの地味な貝殻は,まさに人類の至宝ということになる。 なぜなら,これはこれまでに見つかった人類最古の装身具の証拠であり,私たちの祖先が一般に考えられているよりはるか昔から現代人と同じように思考していた証にほかならないからだ。 骨格などの形態でみると現生人類の起源は,アフリカにあるというのが有力だ。2003年,エチオピアのヘルト村近くで発見された化石から,現生人類はすでに16万年前に出現していたこ