YAPC::Hakodate 2024での発表内容です。 https://yapcjapan.org/2024hakodate/
8月30日から山田尚子監督の『きみの色』が公開されました。光や色の表現が非常に印象的な作品です。私にとって山田監督といえばレンズを意識した演出に特徴のある作品の印象が強いですが、実際インタビューなどでもアニメーションにおけるカメラやレンズに対する意識の強さがうかがえる発言も見られます。またご本人もミニシアターなどで知らない外国映画を見たりするのが好きとも話されていたので、そういった映画館で供されるような表現にこだわりのある映画をたくさん見ているようです。 近年のアニメーションの中では実写のレンズに現れるような現象を表現として用いることが増えています。山田監督の他にも新海誠監督などもそれらを作品に積極的に取り入れている代表的な作家と言えるでしょう。これらはデジタル技術の進歩でその幅を広げていますが、フィルム時代からも行われているものです。 その中でも今回はピント表現、被写界深度表現について少
『負けヒロインが多すぎる!』が昨夜に最終回を迎えましたね~ 本当に本当に、最後まで面白かった!!!! 作画・演出・色彩・撮影から、シナリオ・演技・キャラの魅力に至るまで、一分の隙も無い最高のアニメでありつづけた本作。 今回はそんな大傑作について、個人的な感想と演出について考えたことなどをつらつら書いていきたいと思います!! 『負けヒロイン』について話す前に、まず自分の中で「ラブコメアニメ」というのがどうあるべきだと考えているかを語っていきたい。 決してラブコメ有識者でもない自分だけれども、「詳しくなければ意見を言っちゃいけない」なんて法律はないので開き直って堂々と書いていきます。 ラブコメアニメはどこまでいってもポップで、ラフでなくてはならない。 なぜならラブコメアニメを観る視聴者は、そこに少なからず恋愛というファンタジーを求めているからだ……というのが僕の持論です。 深夜に疲れて帰ってき
マン・カインド 作者:藤井 太洋早川書房Amazonこの『マン・カインド』は、至近未来ー近未来を主な舞台に選び、現実の社会情勢や技術の延長線上で様々な短篇・長篇を発表してきた作家、藤井太洋の最新長篇だ。最新とはいっても本作はSFマガジンで2017年〜21年まで連載しており、翌年の星雲賞(日本のSF賞で、SF大会の参加者の投票で決定される)の長篇部門を受賞している。 つまり連載当時から高い評価を受けていたわけだが、なぜ単行本化が今日まで伸びたのか? といえば理由は僕も何も知らないが、単純に忙しかったのか、もしくは連載版に比べて大幅に加筆修正をしたそうなので、「より完璧な」形を目指すのに時間がかかったのだろう。そんなこんなで期間があいたこともあって、連載版で読んではいるものの初読のような気持ちで読み始めたのだが、いやーこれがおもしろかった! 本作の舞台は2040年代の未来。この世界ではAIドロ
中国のBL事情がわかってめちゃくちゃ興味深いと同時に、どんなに規制されてもありとあらゆる手でBLを読もう、観よう、聴こうとする中華腐女子の皆さんの熱意に感動さえ覚える一冊なのであった。すごいなあ。 さて、日本の影響で「耽美(ダンメイ)」と呼ばれる中国のボーイズ・ラブだが、基本的に同性愛を認めない共産党政権の統治下にある中国では、その存在そのものが認められていない(ただし、中国は歴史的にはわりあい同性愛に対して寛容であるともいう。ただ、もちろん、それは「男性」同性愛の話であって、女性の場合はどうなのかわからない)。 しかし、その厳重な規制のもとでも現実にBLは描かれ、さらにはヒットしているのである。この本では、中国の作家たちがどうやって規制をくぐり抜けているのか、それが具体的な例を出しながらくわしく説明されている。 結論からいうと、恋愛や性愛の描写をどうにかごまかしながら出しているらしい。見
ひとつの寓話から始めたい。『サルたちの狂宴』という、シリコンバレーのスタートアップ企業を運営していた人間が自らの経験を記した本がある。FacebookやAppleで活躍した著者は、当のスタートアップについて自嘲的にこう語る。 スタートアップとは、新しいアイディアによって華やかな未来を提案する夢のある新興企業のように思える。しかし著者にとってそれは、本の原題である“カオスモンキー”に近いものだ、と。 カオスモンキーとは、自社のシステムが障害に耐えられるかどうかを試すために、意図してシステム障害を起こすプログラムのことだ。『サルたちの狂宴』では、スタートアップの台頭とはある種、「社会にとってのカオスモンキーのようなものだ」と喩えてみせる。 たとえばUberの登場によって既存のタクシー業界が影響を受けたように、新興サービスが台頭するということは、既存の社会が無傷でいられるか、どんな犠牲を払うこと
「ポリティカル・コレクトネス」の定義は…ない!? 「ポリティカル・コレクトネス(political correctness)」とはそもそもどういう意味なのでしょうか。これがわからないと話になりません。 しかし、これが最大にして最悪の難問です。 現在「ポリティカル・コレクトネス」とは何かと一般の人に聞けば、たいていは「差別用語を使わないこと」「全員にリスペクトを示すこと」「多様性を認め合って推進すること」といった答えが返ってくると思います。辞書にもだいたいそんなようなことが載っています。 しかし、その表面的な理解のしかただと足をすくわれます。 英語史を専門とする“ジェフリー・ヒューズ”は自著『Political Correctness: A History of Semantics and Culture』の中で、「ポリティカル・コレクトネス」を題材に取り組むことは「ヒュドラの頭」(困難な障
ホーム > インタビュー&レポート > 「音・色・動きを付けることで、 辛い想いのもう一歩先の出口まで描きたい」 映画『聲の形』監督・山田尚子インタビュー 「音・色・動きを付けることで、 辛い想いのもう一歩先の出口まで描きたい」 映画『聲の形』監督・山田尚子インタビュー 退屈することが何よりも嫌いな石田将也は、聴覚障害を持つ西宮硝子が転校してきたことをきっかけに、退屈から解放された日々を送り始める。ところがある出来事から、今度は将也が周囲から独立してしまう。そしてやがて高校生になった彼らは、再会を果たし、自分たちの過去や大人になった友人たちと対峙しながら成長してゆく…。原作は「週刊少年マガジン」に連載され、「このマンガがすごい!」や「マンガ大賞」などでも高い評価を受けた大今良時の『聲の形』。その作品性からも賛否両論を巻き起こした同作を、『映画 けいおん!』や『たまこラブストーリー』を手がけ
はじめに突然ですが皆さん、タイトル回収してますか? 私はたまにします。 突然ですが皆さん、タイトル回収って好きですか? 私はまあ場合によりけりです。 世間一般ではタイトル回収は人気のある手法のようで、なんかググったらこんな感じの記事が出てくるほどです。 ですが我々は(一部の界隈かもしれませんが)知っています。 すでにタイトル回収はギャグだと。 本当に一部の界隈の話でしかないと思うので、その界隈でタイトル回収がギャグ扱いされている経緯と、それでもタイトル回収を続けていくための傾向と対策について今回はお話していこうと思います。 だからこれからもたくさん見せてね、ぼっちちゃんのロック…ぼっちざろっくを!豪烈・弥太郎という方がいます。主にツイッター(Xとかいうダサい名称は今後一切この記事では出てきません)できらら系の妙ちきりんなパロディ絵を描いている方で、本家きらら(キャラット)でゲスト掲載もして
お見舞いに行ったときに聞いた話だ。 A君という大学生が、B君から頼まれたのだそうだ。サークルの先輩のお見舞いにいっしょに行ってくれないか、と。一人では気まずいらしい。 「Aは会ったことがない人で申し訳ないんだけど、来てくれないか。会って様子を見てくるだけだからさ」 「え、やだよ。サークルの話ならサークルの連中で行きゃいいじゃん」 「みんな気味悪がって行かないんだ。それで近所だからって押し付けられちゃったんだよ」 「気味悪がって?」 「殺人事件があった廃屋に一人で半日くらいいておかしくなったっていう先輩なんだよな」 「行きたくない!」 断ったが、B君に食い下がられた。 B君は滅多に無理な頼みごとをしない。これまで世話になったこともある。オレはしゃべらないからなと条件を付けて、A君は承諾したそうだ。 いてくれるだけでいいよお前ガタイでかいし、なんて話がまとまって、二人はその先輩が住むアパートに
デイリーポータルZのライター、関係者が愛読している本を語ります。 今回はライターのこーだいさん。レコメンドは「みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?(平凡社新書)」 聞き手はまこまこまこっちゃん、拙攻、石川です。 ではこーだいさん、お願いします。 こーだい: 民俗学の入門書です。 石川: 今回の収録、すごい本のチョイスに偏りがありませんか(笑) ※同じ収録回の記事 地球の歩き方インドの編集者が世界を旅して集めたものたち~ひとりみんぱく 1969年、別に行きたくなかった人によるソ連旅行記~犬が星見た-ロシア旅行 こーだい: メンバー的に、絶対こうなるだろうなって思ってました(笑) でも、すごくデイリーポータルZ的なんですよ、これ。 まこ: へー。 こーだい: B級グルメのことをひたすら調べたりとか、喫茶店のモーニング文化ばっかりひたすら調べたりとか。 拙攻さんがオランダで船の上で生活して
デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき みすず書房Amazonプラットフォームが大きな力をふるう時代である。アマゾンで日々の必需品を買い、ウーバーで食事を配達してもらう。海外では配車アプリの方で生計をたてている人も多い。Appleのアプリストアでは何十万ものアプリが公開され、その売上がメインの企業も多い。アマゾンのサービスのひとつ「メカニカル・ターク」は、希望者にタスクを分配する仕様で、世界中のリモートワーカーの資金源になっている。 こうしたプラットフォームが存在することは、利点ではある。メカニカル・タークのような巨大なオンライン労働市場はそれだけ仕事を振る人も多く、人のいないサービスと比べれば容易に仕事にありつける。特にオークションや取引プラットフォームなどでは顕著だが、取引が成立したにもかかわらず品物を送らない悪質な取引事業者や個人が現れたときも、プラットフォーマーは
「たまに取り出せる褒め」 ふとした時に懐から取り出して、にんまりと心を温める、誰かに褒められた記憶のストック。 そんな記憶は他人のものでも、どういうわけか嬉しくなってしまうものなのである。 ※この特集はご応募いただいた「褒められたエピソード」を漫画にしたものです。 たまに取り出せる褒め 陽億さんの場合 【作者よりコメント】 学校にはいろいろな人がいて、それぞれがそれぞれの楽しさを持って過ごしているということを感じると、なにかほっとする部分があります。 外で遊ぶ子、教室でボーっとする子、図書室で過ごす子。はたまた学校に来ない子も。 あの子はあんまり楽しくなさそうだな、などと中途半端に年を重ねた頃、勝手に他人を評価していたような気がします。 誰かの楽しさを、勝手に推し量るとはなんと野暮な事なのだろうと、こういったいろいろな人の話を聞くと思うようになりました。 しかし誰もが、自分の好きなもの、楽
断片的な情報から、その背後にある色々なストーリーを思い浮かべるというのは楽しいものですが、あくまでそれは「勝手にこっちが想像したストーリー」でしかなく、実際のところどうなのかということとは基本的には無関係です。「こうあって欲しい」というストーリーを思い浮かべ、想像を膨らませていたところ、現実はそれとは違うということを後から知ったとき、どういう態度を取るか? まともな人なら、自分勝手に想像してたストーリーなんかより現実のほうが正しいということを普通に受け入れることができると思います。 けれど、世の中にはそれができない人が時々いるみたいです。 こうであってくれたほうが「美しい」のだから、現実もそうであるべきであり、否定することは許されない――みたいな、ちょっとそれはどうかと思うような考え方に至ってしまう、言ってしまえば「困った人」が時々出てきます。 射撃と少し話題が離れますが、歴史を題材とした
1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。(動画インタビュー) 前の記事:結婚式やお葬式でハトを飛ばす会社 > 個人サイト 右脳TV 忙殺からの「気分転換」で作られたサービス 昔から「どうなってるんだ」と思っていたのだ。 国内最大規模のファイル転送サービスでありながら、ユーザー登録は不要だし、無料で使えちゃう。転送できる容量は無制限(※1ファイルは300GBまで)だし、アップロード後は最大100日間保持してくれる。 至れり尽くせりすぎる。どうなってるんだ。 トップの画像はデカいし(画像提供:株式会社ギガファイル) そんな「ギガファイル便」を運営するのは、株式会社ギガファイル。取材を申し込むと、メールでのインタビューならOKとのこと。 そもそもサービスを始めたきっかけはなん
[インタビュー]理不尽だらけの「ドルアーガの塔」の攻略とは,どんな世界だったのか?40年前の若者が“この世の真理”を追い求め,燃え尽きるまで ライター:大陸新秩序 カメラマン:佐々木秀二 2024年7月,アーケード版「ドルアーガの塔」が,全国のゲームセンターで稼働を開始してから40周年を迎えた。ナムコ(当時)からリリースされたアクションRPGで,「ゼビウス」などで知られるゲームクリエイターの遠藤雅伸氏が企画・開発を手がけたタイトルだ。 本作では,主人公の騎士ギルが,悪魔のドルアーガにさらわれた巫女のカイを救出すべく,幾多のモンスターが待ち受ける60階建ての塔を上っていく。ゲームの基本的な流れは,迷路になった各フロアに落ちている鍵を拾って扉にたどり着き,次のフロアに進むサイクルを繰り返していくというものだ。 だが,それだけで終わるゲームではない。重要なのは,各フロアに隠された宝箱を出現させて
愛美・伊藤彩沙がPoppin’Party活動10周年を前に思うこと――通算20枚目のSingle「TARINAI/トレモロアイズ」が示すバンドの今と未来 次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」の顔役として、キャラクターを演じるキャストがリアルバンド活動を行うという前代未聞のスタイルを確立したPoppin’Party(以下、ポピパ)が、記念すべき20枚目のSingle「TARINAI/トレモロアイズ」をリリースした。どこまでもキラキラドキドキを求めるポピパのエネルギッシュな側面を力強いロックサウンドで示した「TARINAI」、スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下、「ガルパ」)のイベントストーリーと連動した切なくも青春の煌めきが詰まった「トレモロアイズ」。タイプは違えどポピパの“今”と“未来”を描いた両楽曲について、「バンドリ
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