東京オリンピックのマスコットキャラクターが決定した。それは実に「アニメ」のようなキャラクターだった。前回大会(リオ・デ・ジャネイロ)の閉会式で流れたイメージ映像も、アニメやゲームなどを多分に意識した作りだったので妥当なところといえよう。しかしこのような国際的なイベントで前面に打ち出すコンテンツとして、本当にアニメは日本で「文化」として認識されているのだろうか。「文化」とは民族の価値観の総称で、世代を超えて継承されていくものだとされる。ならば、「学問」として研究することも可能なはずだが、果たしてどれだけの人がアニメを「学問」の対象として捉えているのか。おそらくそれは、ごく一部の少数派であろう。しかしその極少数派によって、アニメが「学問」たりうることが示されてきている。『教養としての10年代アニメ 反逆編』(町口哲生/ポプラ社)の著者・町口哲生氏もそうした人物のひとりである。 町口氏は文芸評論