井上さんの記事を少し補足しておきます。「教育に外部効果がある」というのは古い話で、前にも紹介したハーバード大学のPritchettなどの行なった世界銀行の調査では、教育にはマイナスの外部効果があるという結果が出ています。図のように各国を比較すると、教育投資(縦軸)と成長率(横軸)にはまったく相関がありません。教育(特に大学教育)は生産人口を浪費して、成長率を下げている可能性があるのです。 教育が成長率に貢献しないということは、社会的には浪費であることを意味します。読み書きなどの基礎的な教育は重要ですが、労働生産性に貢献するのは中学ぐらいまでの教育で、大学教育は無意味(あるいは社会的にはマイナス)だというのが、多くの経済学の実証研究の結果です。 これは教育投資が無駄だということではありません。それどころか教育投資の私的な収益率は高いのです。日本でも大卒の生涯賃金は約2億8000万円で、高卒よ
アメリカ大統領選挙は接戦を制してオバマ大統領が再選された。現職大統領の再選は通常の事だが、しかしオバマの場合には4年前の期待値が高すぎ、それに足を取られて再選が危ぶまれた。「チェンジ」に期待した国民が期待した分失望を味わったのである。 それでもオバマが勝利できたのは共和党に大きな問題があったと私は思う。かつての共和党は予備選挙の段階までは宗教保守派の熱烈な選挙運動を取り込んで利用したが、一般の国民を相手にする本選挙ではイデオロギーを抑え中道に寄る姿勢を鮮明にした。 ところが民主党のクリントン大統領が「ニュー・デモクラット」と称してリベラル色を抑え、共和党の主張である「小さな政府」を標榜した頃から、共和党はさらに右にシフトした。「伝統的価値観」に基いて中絶禁止や同性婚の反対を強調し、ティーパーティなど草の根運動を通してオバマの政策を「社会主義」と攻撃した。 しかし保守イデオロギーを出し過ぎれ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く