作家・片岡義男さんと江國香織さんに、佐々木敦さん(批評家)が聞く「創作のヒミツ」。後編では、"日本語の特性"をめぐる実作者ならではのお話をたっぷりどうぞ。 *前編「小説ってこんなふうに書くのか!」はこちら(gendai.ismedia.jp/articles/-/49143) 翻訳の難しさと楽しさ 佐々木:お二人とも翻訳を手がけられていますが、翻訳あるいは日本語を書く上で、英語という異なる言語との関係についてはどうお考えでしょうか。 片岡:翻訳は大変です。随分しましたけど、してはいけない翻訳もあった。 佐々木:してはいけない翻訳って何ですか? 片岡:『ビートルズ詩集』です。「聞けばわかるじゃないか」と反対したんですけどね。「これができるのは君しかいない」と言われて。そう言われたらやる以外ない。 でも翻訳は大変ですよ、真面目な話。読めばわかりますけど、わかった上でそれを日本語に置き換えていく