平野啓一郎さんは、匿名・顔なしを良いことに他人を不愉快にする類の情報発信をしている人達の存在に大いなる引っかかりを感じている。もちろん、賢明な平野さんは匿名はけしからんから止めた方がよいなどという言い方はしないが、こんなんでいいのかという気持ちは痛いほど伝わってくる。平野さんの問題提起が仮に当座は問題提起で終わったとしても、『ウェブ人間論』の読者とブログコミュニティに向けて、こうしたブログという新しいシステムの社会システムとしての瑕疵という視点を話題として持ち出すことの意味は小さくないのではないかと思う。 ブログにおける「実名・匿名」の議論における梅田さんの立場は非常に明快で、基本的には実名でも匿名でもいいじゃないかというものだ。とりあえず、不快なもの、自分にとって害のあるものは見ないという行動原理を個々人が持ちさえすれば、実名でも、匿名であっても、ネットを通じたコミュニケーションによって