11月1日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合で、黒田東彦総裁(72)が明らかにしたのは、インフレ目標達成時期の先送りだった。2017年度中とされていた時期は「18年度ごろまで(つまり、19年3月まで)」と発表。総裁任期は18年4月までだから、在任中の達成は不可能と“白旗”を揚げた形である。 ようやく「黒田バズーカ」の化けの皮が剥がれたところで、日本の財政は一体どこに向かうのか。 *** 「アベノミクス」を体現するべく、黒田総裁が大規模な金融緩和策を発表したのは13年4月のことだった。毎年50兆円のペースで国債を買い上げ、また、それぞれ1兆円、300億円ずつETF(上場投信)やJリート(不動産投信)を買い集める“ジャブジャブ金融”である。 黒田総裁が異次元緩和を繰り返してきた3年半、日銀が抱えてしまった“負の遺産”は余りにも大きい。 シグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミスト