BtoCビジネスは、値上げについて顧客の理解が得られにくい。また圧倒的シェアを持つ企業がない業界も値上げは困難だ。しかし、そういった業界でも値上げに成功した企業はある。 例としてわかりやすいのは、価格競争を長らく続けてきた牛丼業界だ。牛丼業界は圧倒的なシェアを持つリーダーが不在で、つねに他社を意識したプライシングが行われてきた。ところが昨年12月、吉野家が均衡を破った。新商品「牛すき鍋膳」を発売して、580円という牛丼の倍以上の価格をつけた(※発売時)。これがヒットして、発売月の既存店売上高は前年同月比で116%に伸びている。 強気の価格設定にもかかわらず、なぜ「牛すき鍋膳」は支持されたのか。それは、短い時間にさっとかきこむ従来のメニューと違い、あつあつの鍋をじっくり食べるスタイルに顧客が価値を感じたからだ。付加価値の勝利である。 この時期、吉野家がもう一つやっていたことがある。従来、吉野
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