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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (31)

  • ハーバート・サイモン『意思決定と合理性』の翻訳がひどすぎなので、訳し直してあげました。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ハーバート・A・サイモンって個人的にとても好きなんだけれど、こないだふと『意思決定と合理性』という短そうなを手にとったら、いやあ、唖然としてその後ワナワナするくらい翻訳ひでえわ。 意思決定と合理性 (ちくま学芸文庫) 作者:ハーバート・A. サイモン発売日: 2016/01/07メディア: 文庫 このひどさについては、アマゾンのレビューでさんざん書かれている通り。ちゃんと自分で読んで意味がわかるように訳せよー。 あまりに腹がたったので、原書を買って冒頭部を自分で訳しはじめてしまったわ。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』 冒頭十ページほどだけど。アマゾンレビューで具体的に挙げられている問題箇所は含まれてる。細かい話ではあるけど、そんなわかりにくい言い方は何もしていないと思うんだけどなー。 タイトルは、理性じゃなくて合理性にしたほうがいいかな。やりながら考える。最後まで続くか

    ハーバート・サイモン『意思決定と合理性』の翻訳がひどすぎなので、訳し直してあげました。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 反知性主義2:森本『反知性主義』:ホフスタッターの当事者意識や切実さはないが概説書としてはOK - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    おちゃらけ (承前) まずは少しおちゃらけから。 前回の反知性主義話を書いた直後に、斉藤環が次のようなツイートをした。 あ〜また誤解する人が出てきたので注釈しときますとですね、僕が「反知性主義」と呼んでいるのは「バカ」の上品な言い換えとかじゃなくて、「地アタマだけは良い連中の実学志向&人文知軽視」のことですんで誤解なきよう。— 斎藤環 3.15発売「まんが やってみたくなるオープンダイアローグ 」 (医学書院) (@pentaxxx) August 21, 2015 さて、8月21日にこのツイートが出てきて、しかもその中で「僕が「反知性主義」と呼んでいるのは「バカ」の上品な言い換えとかじゃなく」と述べているのは、おそらくぼくの前回 (8月20日)の記述を意識したものだと思う。そうであるにせよないにせよ、ぼくはこういう参照先を明記しないでほのめかしで済ませるやり方は、とても低級な知的堕落だと

    反知性主義2:森本『反知性主義』:ホフスタッターの当事者意識や切実さはないが概説書としてはOK - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 2017年に出た、かのチェ・ゲバラの、15才年下の末弟による兄の思い出……は前半だけで後半は自分の話。キューバ革命のときにまだ18才くらいなので、それ以前の兄エルネストについては (ほとんど家にいなかったこともあり) 漠然とした記憶しかない。このため他の伝記などからの伝聞だらけでオリジナルな部分は家族の思い出だけ。それもあまり詳しくなくて、弁明と美化に終始。人が絶対に知り得ないことを断言したりする。たとえば革命直後の粛清裁判で、兄は実に人道的でフェアで云々と断言するが、そんなのお客さんできてた家族にわかるわけがない。ただし巻末についた家族の写真や各種の新聞切り抜きはきわめて貴重。 Che, My Brother (English Edition) 作者:Guevara, Juan Martin,Vincent, ArmellePolityAmazon

    山形浩生 の「経済のトリセツ」
  • 反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 反知性主義をめぐるを3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる

    反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • アメリカ経済学会大会のピケティセッション:すばらしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティ『21世紀の資』は分厚いし、データも重いし、印象批評以上の批判がなかなか出てこなかった。これは日はもとよりアメリカでも同じ。でも刊行が半年先行した英語圏では、そろそろまともな反論や批判(いい意味で)が出てき始めた。 現時点で、それを最もうまく(そしてまとまった形で)整理したのが、2015年のお正月にボストンで開催されたアメリカ経済学会大会で、グレッグ・マンキューを座長に開催された、ピケティ『21世紀の資』をめぐるセッションだと思う。その予稿集がマンキューのブログに挙がっている。 GREG MANKIW'S BLOG: Me at the ASSA Meeting (2015.1.1) 批判の

    アメリカ経済学会大会のピケティセッション:すばらしい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • テレビの台本。生放送だと、非常に細かく作り込むのね。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    日経プラス10台(やめてくれとのお達し。残念!) こないだピケティがらみでテレビの生放送に出たんだけど、こんなに細かく台作るんだねー。これまでテレビに数回出たときは録画だったので、言いたいこといってあとでそれが編集されて使われる形式だったから、こんな細かく指定はなかった。あと、放送中断の場合とか、あらかじめきちんと決められてるんだね。なるほどなるほど。 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata は Creative Commons 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

    テレビの台本。生放送だと、非常に細かく作り込むのね。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 岩田規久男の講演会に行ってきた! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    注:写真と文はあまり関係ありません。 岩田規久男は、日銀副総裁になってから一部の人に引きこもりとまで揶揄される露出の少なさで、人前に顔を出すのは久々という感じ。で、今日は如水会館で講演があったので、のぞいてきたよ! ……といっても、先日の黒田総裁講演もあるので、そーんなに期待していなかったんだけれど、結果的にはかなりおもしろかった。 講演体 客は、月曜午前という時間帯なので仕方ないことだが、暇そうなジジイ比率がきわめて高く、これが後で禍根を……でもあとは結構まじめそうな人々。で、中身だが、まあ四の五の言わずにこの配布資料を見ろや。どんな話をしたかわかるでしょ。日銀の公式発表です。 2014.06.30 岩田規久男講演会資料とメモ(pdf 880kb) でも、いろいろな指標をまとめて並べてくれているので、わかりやすい。あと、フィリップス曲線は明解ですな。あと、「日銀のコミットメントとは、

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  • エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    (承前) で、2014年5月に『富岡日記』関連の話題以外で、もう一つ山形が話題にのぼっている話が……大森望が日 SF 作家協会に入れなかった話。その原因は、巽孝之と小谷真理が大森望にずっと私怨を抱いているから、ということなんだが、それをさらに悪化させたのは、山形が聞きかじってきて裁判のタネにもなった小谷揶揄の替え歌にあって、何やらその替え歌に大森が関与していたという邪推があるとかないとか。 『オルタカルチャー日版』の「真相」 まずはっきり言えることは、その替え歌をぼくに教えてくれたのは、大森望ではなかったこと。具体的にだれかは覚えていないし、なんだか裁判のときにもやたらにしつこく訊かれたので、いっしょうけんめい記憶を探ったんだけれど。でも大森ではなかった。 その現場となった宴会には大森望もきていたとのことだけれど、これすら今となってははっきり記憶にない。宴会自体も一時間もいなかったはず

  • アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するか』上巻:サクサク読めておもしろい。が、前からこの種の制度派について思っていた疑問はそのまま。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 作者: ダロンアセモグル,ジェイムズ A ロビンソン,稲葉振一郎(解説),鬼澤忍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/06/21メディア: 単行この商品を含むブログ (30件) を見る ということで読み始めました。上下巻のだし中身が濃そうなので、この出張中に全部読み終えるのはとても無理だろうと思って上巻しか持ってこなかったけれど、思ったよりサクサク読める。というのも、中身のほとんどは歴史的なエピソードで、しかもそのエピソードを細かく読み込まないと議論が理解できないというものではないから。 そして、そこで言われていることはきわめて単純。すなわち: 包括的で多元的な制度を持っている国は発展します。収奪的な制度のもとではダメです。 基はこれだけ。 そして書のほとんどは、「ここの経済はこんな具合に収奪的でした。だから発展しませ

    アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するか』上巻:サクサク読めておもしろい。が、前からこの種の制度派について思っていた疑問はそのまま。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デニス・ノーミル(Dennis Normile) 原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679) (翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で、早野龍五は放射性物質の放出についてツイッター投稿を始めた。この東京大学素粒子物理学者は、次第に地域住民の被曝をめぐる論争にますます深く引きずり込まれるようになっていったのだった。当局がきちんとした事実を提供していないことに失望した早野は、学校給の放射性セシウム検査を始めた。これは福島周辺の環境で最も量の多い放射性核種だ。そして、汚染物をべることで地元住民がどれだけ放射性核種を吸収しているか計測しようとし

    実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 『Journalism (ジャーナリズム)』2013年5月号:日本ジャーナリズムの経済報道に関する無能ぶりを恥じることなくむきだしにした、情けない(だが現状理解には有用な)一号。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Journalism 5月号 2013 出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/05/10メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る こんな雑誌があることも知らなかったんだが、朝日新聞が『ジャーナリズム』という雑誌を出している。先日あるイベントにでかけたら、朝日新聞の服部桂氏もきていて、その雑誌の最新号(2013年5月号)をくれたんだが、これが「特集:『アベノミクス』と経済報道」というもの。で、帰りの電車の中でパラパラ見ていたんだが…… 壮絶なまでにひどいな、これ。だがこれが朝日新聞のみならず、日の経済ジャーナリズムのお寒い現状を示しているという意味では、有益な面もあるのかもしれない。 まず冒頭は、「週刊エコノミスト」「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」の各編集長と、元「朝日新聞」との座談会で、内容はそれぞれの雑誌がつまらない自画自賛だが、その中で最近のアベノミ

    『Journalism (ジャーナリズム)』2013年5月号:日本ジャーナリズムの経済報道に関する無能ぶりを恥じることなくむきだしにした、情けない(だが現状理解には有用な)一号。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 青木昌彦講演会で考えたことなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    比較制度分析に向けて 作者: 青木昌彦,滝沢弘和,谷口和弘出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2003/10メディア: 単行購入: 4人 クリック: 11回この商品を含むブログ (20件) を見る 1. はじめに 先日、安田洋祐フェイスブック投稿で、青木昌彦講演会があるというのを知って、新年度で仕事に余裕があるのをいいことにでかけてまいりましたよ。ソーシャルネットワークも役にたつもんです。 タイトルは以下の通り: 歴史的に見た中国の制度プロセス 中国の発展はこれから持続するだろうか? それは中国に独特な制度プロセスがこれからどう進化するかによる、と歴史と理論が語る。 (2013/4/8 @ GRIPS) なかなかタイムリーですばらしい。中国の成長鈍化は前から言われているし、一人っ子政策による急激な高齢化、ひどい公害、国有企業のろくでもない状況など、成長を鈍らせる要因はいろいろある。鈍

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  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込みはわかる。新しい通貨システムの案出など、ジョン・ローの不換紙幣やデヴィッド・チャウムの電子通貨以来かもしれない。しかもその射程はそもそもお金の意味すら変え、社会自体の変革を夢見る遠大なものだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりがたもたれ、様々な関係性の途切れない世界。現代のお金による取引はそれを荒っぽく分断する。投票も一かゼロかの粗雑な選択を迫る。だが、インターネットを使えば、お金も投票もまったくちがった形態を持ち得る。関係性を保ち、様々な評価のフィードバックもある通貨システムもできる。粗雑でない細やか

    鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 岩田規久男の業績おさらい会での妄想など。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デフレの経済学 作者: 岩田規久男出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2001/12メディア: 単行購入: 4人 クリック: 131回この商品を含むブログ (22件) を見る はじめに 今日(というのは2/16)、「岩田規久男先生の学恩をなんとか」というシンポジウムに呼ばれたので、ちょっと行ってきた。ぼくは岩田規久男に直接教わったことはないけれど、もちろん彼の研究業績にはたくさん世話になっているし、また来客リストを見ると日リフレ派オールスターみたいな感じで野次馬根性が出たのもある。もちろんぼく以外の来場者はみんな、経済学の先生や経済政策の重鎮たちで(除く道端カレンだが彼女は別枠)、ぼくなんぞホントに末席を汚すという感じではあったんだけれど。 さて、シンポジウムは、岩田規久男のこれまでの業績をふりかえる、というもの。四人の人が、岩田規久男の活動した主要分野について概略を述べた。そ

    岩田規久男の業績おさらい会での妄想など。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    社会を変えるには (講談社現代新書) 作者: 小熊英二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 8人 クリック: 352回この商品を含むブログ (71件) を見る 書の主張は非常に単純で、社会を変えるためには、ちゃんと自分なりの発言をして声をあげ、デモとかにも参加したりしましょう、ということ。 それだけのために、なんでこんな分厚い(500ページ以上)が必要なのか。まず最初の部分では社会の現状説明なんだけれど、高度成長期から始まってオイルショックでポスト工業社会で、という話。ここで読者が受け取るメッセージはつまり、社会というのは経済に依存する、ということだ。社会を変えるには経済を変える、という話なのか……と思うと、後半になって延々原発の話になるんだけど…… それって関係なくね? いや、著者自身がそれは関係ないことを指摘しているんだ。原発がなぜやめられ

    小熊『社会をかえるには』:大風呂敷広げといて結論は小学校レベル。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 片岡『円のゆくえを問い直す』:異様な密度でアンチョコにさせていただきます。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    円のゆくえを問いなおす―実証的・歴史的にみた日経済 (ちくま新書) 作者: 片岡剛士出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/05メディア: 新書購入: 76人 クリック: 1,625回この商品を含むブログを見る 異様な密度の新書。企業が円高で悲鳴を上げる中、一面的な容認論も聞かれる。書は為替レートの根を解説、金位制から変動為替制への推移などの歴史をたどり、購買力平価やマンデル=フレミングなど為替の基礎理論を押さえ、近年の円高がなぜ有害かを堅実に説明。そして、理論的な理解をベースに、いまの円高の原因や、それが各種対応策でも改善されない理由が明快に説明され、根底にある今の日のデフレ経済という大問題へと議論が展開する。 理論、歴史、政策と、これほど盛りだくさんの内容を、手抜きなしで新書につめこめたのは驚き。各種メディアの評論家や学者たちによる変な円高容認議論のおかしさもわかるし

    片岡『円のゆくえを問い直す』:異様な密度でアンチョコにさせていただきます。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    主義が嫌いな人のための経済学 作者: ジョセフ・ヒース,栗原百代出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2012/02/09メディア: 単行購入: 20人 クリック: 834回この商品を含むブログ (15件) を見る 2008年金融危機に始まる世界不況、さらには震災後には特に、「資主義はもう終わり」みたいな物言いを無数に見かけてきた。これは特に左派に多いし、その人たちは資主義の理論的根拠(と思っている)経済学も破綻したと言いたがる。 でもそのほとんどは、実は経済学の主張をろくに知らず、自分の主張も考え抜いていない。そしてその無知と怠慢につけこんで、現状維持の保守派が乱暴な議論をしても反論できず、おかげで万年負け犬の地位に甘んじている。 それじゃダメだ。資主義のダメな現状を改善したいなら、左派もちゃんと勉強しようぜ、というのが書だ。 というわけで書は、筋金入り左派哲学者

    ヒース『資本主義が嫌いな人のための経済学』:不勉強な左派と図に乗った右派の両方をくさし、経済学の価値を認めるべきところでは認めろと主張するえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ケインズ「一般理論」間宮陽介訳(岩波文庫):古い、英語知らない、原文勝手に改ざん。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫) 作者: ケインズ,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/01/16メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 296回この商品を含むブログ (54件) を見る 見るまでもないと思っていたが、行きがけの駄賃。目を通し始めたが、ふ、古くさい! かたい! 「泥んでいる」(p.xiii) って、ぼくは読めなかったぞ(「なずんでいる」と読むんだって。原文は wedded)。あと第一章で「a limiting point of the possible positions of equilibrium.」となっているlimiting を、極限と訳すのは変じゃないかなあ (p.5)。 と、少し????マークが頭に浮かび始める。で、パラパラめくるうちに目についたもの。p.317 に対する訳注で 「原文は the power of disp

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  • 自然エネルギーが安くなったら:温暖化で結集した環境運動崩壊への序曲 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    山形浩生 クルーグマンがこんな記事を書いている。 要するに、太陽電池のコストがかなり下がってきて、石油や石炭と張り合えるようになってきた、という話。だからもう変な化石燃料発掘はしなくていいかもしれない、とのこと。 さてぼくはこれに70パーセント賛成だ。ぼくはクルーグマンの議論の中で、石油メジャーがこれをつぶしにかかるかも、といった議論については、陰謀論もいい加減にしろと思う。その部分が15%。そしてもう一つ、石炭とそのまま横並びで比べてもダメ。日が照らないと太陽光は使えず、自然エネルギーの最大の欠陥である安定性が担保できない。それをカバーするには、コストはさらに二段階くらい――あと半値くらい――下がらないと、当に競争力は出ないだろう。これが15%分。 でも、それ以外はすべて賛成だ。さらにもう一つ、これはロンボルグが長いこと主張してきたことだ、というのも指摘しておこう。いずれ太陽電池は安く

    自然エネルギーが安くなったら:温暖化で結集した環境運動崩壊への序曲 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • わけもわからず:ナサーの経済学史は、「学」のないただの経済学者評伝である - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Grand Pursuit: The Story of Economic Genius 作者:Nasar, Sylvia発売日: 2011/09/13メディア: ハードカバー Working in the Dark (The New Republic, 2011.09.30) ロバート・ソローによるシルヴィア・ナサー「The Grand Pursuit (大いなる探求)」書評、翻訳 山形浩生 書を読み始めたときには、これが何についてのなのかわかっているつもりだったけれど、読み終わる頃にはなんだか自信がなくなってきた。プロローグは、チャールズ・ディケンズによるロンドンの悲惨な貧困についての観察や描写から始まる。そしてそれが自然に、当時の政治経済学での唯一の説明として古典的なマルサスの罠の話に移る。つまり、全体としての生活水準が少しでも上がればそれは人口増で相殺されるので、禁欲生活を奨励す

    わけもわからず:ナサーの経済学史は、「学」のないただの経済学者評伝である - 山形浩生の「経済のトリセツ」