LGBT法案をめぐる攻防が炙り出した「ねじれ」 ジェンダー・アイデンティティの尊重と女性の間の緊張感 千田有紀 武蔵大学教授(社会学) 今国会も終了した。揉めに揉めたが、結局いわゆるLGBT法案は成立しなかった。これまで自民党のなかでも保守派だと目されていた稲田朋美議員が法案の成立に尽力した。その一方で、保守中の保守とされている山谷えり子議員が、これまで明らかに山谷議員に批判的であったと思われる女性たちを戸惑わせ、場合によっては支持を得るという、不思議な「ねじれ」現象がみられた。この法案をめぐってみられたねじれについて、これから述べたい。 自民党はリベラルな風を捉えそこなった まずは稲田朋美議員についてである。「女性活躍を主張すればリベラル、左翼と批判される。いつの間に日本はこんな不寛容な社会になってしまったのでしょうか」と、かつて稲田議員は嘆いた(文藝春秋2021年4月号)。しかし、これ
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