もしかして、日本社会は生活保護を受給者ごと切り捨てようとしているのか。春先から続くバッシングはそんな危うささえも漂わせている。 ◇寛容な視点で考えよう 生活保護は6月時点の受給者が211万人超と過去最多を更新し、今年度は3.7兆円の税金が投入される見通しだ。減らせ、との大合唱はあちこちから聞こえてくる。蔑称の意味を込め「ナマポ(生保)」という言葉を使ったひぼうや中傷がネットの世界でもあふれている。だが、まん延する貧困問題への処方箋なしに当事者を締め付けたら、社会はどうなるのか。生活保護を受けられるのに、受けていない「漏給」の問題も根が深い。ムードに流されて「最後のセーフティーネット」を無残に切り刻むのではなく、寛容な視点で考えてほしい。 ざっとおさらいをしよう。バッシングのきっかけは、お笑い芸人が生活保護を受ける母親に扶養義務を果たしていないと批判された問題だ。独立した子から親への仕送りの