政府は、日本企業に課している海外の武器製造企業の買収規制を見直す方針を決めた。関連法の運用指針を現在の「厳に抑制」から「状況に応じ適切に判断」などと変更。法律改正はせず、解釈を変えることで、現在の原則禁止規制を改める。武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則を決定したことに伴うもので、見直しにより日本の防衛関連企業の海外進出が可能になる。 (望月衣塑子) 武器を製造する海外企業に日本企業が出資や買収をする場合、外為法などに基づき、政府への事前届け出が必要とされる。届け出を受けた政府は審査で、「国際的な平和、安全を損なう」と判断すれば、計画の変更や中止を勧告できる。 政府がこうした法律を運用する際、指針としているのが一九七七年の福田赳夫首相(当時)の国会答弁だ。福田氏は「投資先企業が武器を生産するのが目的であれば許可しない」「(武器輸出を原則禁じた従来の)武器輸出三原則の精神にもとるような投資
安全保障関連法案の審議が来週から参院で始まる見通しとなり、他国を武力で守る集団的自衛権行使に基づく自衛隊派遣が現実味を帯びてきた。海外の現場で、隊員の安全は確保されるのか。国民の疑問が解消されない中、本紙に寄せられた自衛隊員の妻のメールなどから、苦悩する家族の姿が浮かぶ。 (中山高志) 「夫に出会った時、集団的自衛権を行使するような自衛隊だったら、結婚しなかったかもしれません」。夫が航空自衛隊員の関東地方の四十代の主婦は、メールに割り切れない思いを記した。「夫が戦死するのも、人殺しに加担するのも嫌ですから」 衆院特別委員会で法案が可決された十五日。夫の職場では「とうとう戦死者が出るな」との声も上がった。帰宅後にそう打ち明けた夫は「今までやってきた訓練が生かされる」と冷静を装った。しかし、皮肉っぽい言い方からは、本音だとは思えなかった。
国会で審議が続く安全保障関連法案について、防衛省・自衛隊のOBから「違憲」との批判や問題点の指摘が相次いでいる。大半の現役が口を閉ざす中、防衛現場を知るOBたちの意見を聞いた。 (中山高志) 一九九〇年、現新潟県加茂市長の小池清彦さん(78)は防衛庁(当時)の防衛研究所長、次いで教育訓練局長を務めた。中東では湾岸戦争が発生。米国の要請を受けた日本政府は、自衛隊を海外へ送るための国連平和協力法案を国会に提出した。 「このままいけば、エスカレートして『世界の警察官』になる」。小池さんは庁内で法案に反対した。世論の反発もあって法案は成立しなかった。「平和憲法があるから、日本は海外の戦争に参戦させられることはない」と強く実感した。
沖縄県議会で十三日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立てに使う土砂の県外からの搬入を規制する条例が自民党などを除く賛成多数で可決、成立した。十一月一日に施行される。土砂搬入を無条件で禁じる効力はないが、移設作業に遅れが出る可能性がある。辺野古移設阻止を掲げる翁長雄志(おながたけし)知事を側面支援する狙いだ。
横浜市立中山中学校(緑区)が夏休み中の八月に、一年生の一部を自衛隊の演習に連れて行く見学会を開くことが分かった。「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」は二十五日、中止させるよう求める申し入れ書を市教委に提出した。 同会などによると、見学するのは、八月二十三日に陸上自衛隊東富士演習場(静岡県御殿場市)で実施される「総合火力演習」に先立ち、同月十八日に行われる予行演習。関係者向けで、戦車などの実弾射撃がある。同校社会科の男性教諭が「平和主義を学ぶ」名目で企画し、一年生二百八十六人全員に案内を配布。十人の希望者を募っている。 申し入れでは、「平和主義は三年で習う公民の内容で、教育課程と一致しない」「判断力の不十分な一年生に演習を見せれば、自衛隊をかっこいいと一面的に判断する可能性があり、公教育として許されない」などとしている。 同校によると、演習見学は夏休みの自由研究を支援する学習会の一環
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法案について、衆院憲法審査会で「違憲」の見解を示した憲法学者三氏がそろって、自衛隊は「合憲」と考えていることが分かった。三人の「違憲」表明後、政権側は、憲法学者は自衛隊までも違憲と考える人が多いと主張し、安保法案を違憲とする憲法学者の見解の説得力を弱めようとするが、三人は当てはまらなかった。 (荘加卓嗣) 四日の衆院憲法審査会で、参考人の長谷部恭男早稲田大教授、小林節慶応大名誉教授、笹田栄司早大教授の三氏全員が、集団的自衛権の行使容認は憲法九条が認めた自衛権の範囲を逸脱しているとして「違憲」と断じた。 これに政府・自民党は反発。自民党の谷垣禎一幹事長は五日の記者会見で「憲法学者には自衛隊の存在は憲法違反だと言う人が多い。われわれとは基本的な立論が違う」と強調。横畠裕介内閣法制局長官も同日の衆院特別委で「一般に憲法九条に関する憲法学
【モスクワ=常盤伸】二月に暗殺されたロシアのネムツォフ元第一副首相の長女で、ジャーナリストのジャンナ・ネムツォワ氏(31)が出国したことが八日、明らかになった。また、自身の創設した有力財団が国内法で「外国の代理人」と認定された実業家ドミトリ・ジーミン氏も五日に出国。いずれも事実上の亡命とみられる。プーチン政権による締め付けが強まる中、リベラル派の活動家や実業家、学者らの亡命が加速しており、ロシア社会の閉塞(へいそく)感は強まる一方だ。 ネムツォワ氏はロシアの独立系テレビ局RBCのキャスターで、父の暗殺事件は政治的理由による殺害だと主張。六日付の英紙タイムズ(電子版)によると、ソーシャルネットワークを通じて何者かに脅迫を受けていたという。 ネムツォワ氏は安全を考慮し、亡命先を明らかにしていないが、九日付のロシア紙ベドモスチで政権批判の評論文を発表。「国家が始めた攻撃的な情報キャンペーンは、今
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