国文化財の店舗取り壊しへ 江戸時代半ばに創業し、長崎県の特産品べっ甲細工を製造販売してきた長崎市魚の町の「江崎べっ甲店」が4日、今月中の閉店を明らかにした。国有形文化財に登録されている店舗は取り壊しが決まっているという。 長崎市によると店は1898(明治31)年建築。和洋折衷の外観が特徴で1998年に国有形文化財に登録された後、市の景観重要建造物にも指定された。閉店が決まったため、市は4月に指定を解除。国の登録も今後抹消するという。 閉店の理由は売り上げの減少や材料不足。べっ甲の原料として使われるウミガメの一種「タイマイ」は94年にワシントン条約で輸入が完全に禁止され、その後は在庫を加工しながら販売していたという。 「厳しい状況の中、努力してきたがどうにもできなかった」と江崎淑夫社長(78)。来店した長崎市古町の女性(70)は「私にとってはこの町のシンボル。無くなるのは寂しい」と肩を落とし