アベノミクスの10年、労働者にツケ…「意外。教科書にはなかった」 元首相の指南役・浜田宏一氏インタビュー 大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)
アベノミクスの10年、労働者にツケ…「意外。教科書にはなかった」 元首相の指南役・浜田宏一氏インタビュー 大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)
退任する日銀の黒田東彦総裁が主導した大規模金融緩和の10年間で、大きく下がったのが円の価値だ。昨年後半には金融引き締めを急ぐ米国との政策の違いを背景に、1ドル=150円台の歴史的な円安が進行。輸入物価の上昇に拍車をかけ、「悪い円安」論が高まった。新体制となる日銀は緩和を当面続ける方針だが、経済の成長力強化につながらなかった円安政策は曲がり角を迎えている。 昨年3月まで110円だったマクドナルドのハンバーガーが3度の値上げを経て今年1月以降は170円に。かつて「デフレの象徴」とも言われたハンバーガーが度重なる値上げを迫られているのは、牛肉や小麦など原材料費の高騰に加え、海外からの仕入れに響く円安が要因だ。 日本に初出店した1971年は80円だった同社のハンバーガーは、2002年には過去最安の59円まで価格が低下。しかし、今やその3倍近い金額となっている。それでも同社担当者は「まだかなりの円安
大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)は本紙のインタビューで、10年に及ぶ政策の効果について「賃金が上がらなかったのは予想外。私は上がると漠然と思っていたし、安倍首相(当時)も同じだと思う」と証言した。大企業の収益改善を賃上げへとつなげる「トリクルダウン」を起こせなかったことを認めた。 (渥美龍太、原田晋也、畑間香織)
「アベノミクス」を掲げた第2次安倍政権の発足から10年が過ぎた。足元で円安を背景に企業は好業績を享受しているが、賃金の伸びは鈍いまま。生産性も上がらず、岸田政権のもとでも低成長から抜け出せていない。数字から読み解くと、こんな日本経済の姿が浮かんでくる。 安倍晋三元首相が「アベノミクス」を掲げて政権に復帰したのは2012年末。大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の「3本の矢」で経済再生をめざした。 あれから10年。目に見えた成果といえば株価になる。発足時の日経平均株価は1万230円だったが、19日の終値は2万6405円。3万円を突破した21年には届かないものの、それでも10年前の2・5倍以上だ。ただ、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れが続き、官製相場の色彩は強まった。 超円高に悩まされた為替も一変した。日銀の金融緩和による影響が大きく、発足時の85円台から22年には一時1ドル=
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日銀が株価の下支えをにらんで続けている日本株の購入。市場への過度な影響といった副作用だけでなく、日銀自身に及ぶ副作用もくすぶり始めた。株価が上昇するなかで「爆買い」を続けてきた結果、日銀の保有株の簿価も上昇。株価が下がった際に含み損が膨らむリスクが高まってきた。日銀は高値づかみのツケへの対処に苦慮しそうだ。(後藤達也、浜美佐)1月29日、日経平均株価は乱高下した。前日の米株安を受け、午前に一時200円以上下がったが、午後は上昇に転じた。この反転で大きな役割を演じたのは日銀だ。日銀は日本株に連動する上場投資信託(ETF)を704億円買って売り注文を吸収した。ツイッターの書き込みでは「日銀のおかげ。支えがなければ厳しかった」と安堵の声があった。日銀がETFを買い始めたのは日経平均株価がおおむね1万円を割り込んでいた2010年だ。「リスクプレミアムの縮小」を目的として購入を開始した。当初の購入上
日銀の追加緩和をめぐる思惑が市場でジワジワと広がっている。米連邦準備理事会(FRB)が利上げをいったん停止するなどハト派的な姿勢を強め、金利面で円高リスクが高まってきたためだ。米中貿易戦争などリスクの多い世界経済の状況も背景にある。日銀幹部もこう語る。「仮にリスクが顕在化して急速な円高が進み、2%に向けた物価上昇のメカニズムに変調が生じるなら、座視するわけにはいかないだろう」――。円相場が100円突破の勢いなら状況に変化
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、昨年10~12月期で14兆8039億円の運用損が出たと発表した。最近の世界的な株安によるもので、四半期ベースの赤字額は過去最大。以前に比べ、年金資産に占める株式の運用比率を高めており、株価下落の影響を受けやすくなっている。 赤字になるのは3四半期ぶり。これまで最大の赤字額は、中国の景気減速などの影響を受けた15年7~9月期の約7・9兆円だったが、今回の損失はその2倍近くに膨らんだ。資産総額は150兆6630億円に目減りした。 巨額の赤字の背景には、米中貿易摩擦などの影響で、国内株式で7兆6556億円、外国株式で6兆8582億円の大幅な損失が出たことがある。GPIFは14年10月、将来の年金の支払いに必要な資産の利回りを確保するためとして、比較的安全だが、利回りが低いとされる国債中心の運用基準を見直し、株式の比率を50%に倍
あの手この手で減らされた年金をどうすれば取り戻せるか――。国民は知恵をしぼらなくてはならないわけだが、政府はその“原資”を都合のいい「打ち出の小槌」にした挙げ句、その失敗のツケを国民に回そうとしている構図がある。 2018年末、日経平均株価は1年3か月ぶりに2万円を割り込んだが、この急落により年金資産に甚大な影響が生じている可能性が高い。ファンドマネージャーとして20年以上の実務経験を持つ資産運用評論家で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用に詳しい近藤駿介氏が指摘する。 「公的年金を運用するGPIFの2018年10~12月期の収益が、評価損、実損を合わせて14兆円を超える損失となる可能性が高い(2月1日に公表予定)。9月末時点で年金資産(約165兆円)の半分強を占めていた国内株式と海外株式の市況が大幅に悪化した。収益率はどちらもマイナス10%を大きく下回ることから、導き出され
今週、相次いで出された経済指標からすると、7-9月期GDPは実質で年率-0.8%程度のマイナス成長になりそうだ。停滞する消費を始め、内需はいずれも弱いが、最も足を引っ張るのが公共投資になりそうなのは苦笑させられる。他方、税収は過去最高を望めるハイペースで、急速な財政再建が進む。今期マイナスになる外需は、中国の様子からすると要警戒である。こうした中、消費増税と移民受入れを打ち出すのは、どういう思想なのだろう。 ……… 7-9月期の消費は、商業動態の小売業が前期比+1.0と名目では健闘したが、消費者物価指数の財が、食料とエネルギーの上昇により、前期比+1.3と、これを上回っているため、日銀・消費活動指数の動きからすると、実質では、若干のマイナスにとどまることになりそうだ。名目での健闘ぶりから分かるように、消費の下地は悪くなく、物価上昇が一巡した後の浮上に期待したいところだ。 次に、設備投資につ
菅義偉官房長官は21日、札幌市内で講演し、携帯電話の利用料について「あまりにも不透明で、他国と比較して高すぎるのではという懸念がある。4割程度下げる余地はあると思っている」と述べた。 菅氏は「(携帯電話事業者は)国民の財産である公共の電波を提供されて事業している」と説明。その上で、携帯事業者の利益率が他の業種と比べても高いことに触れ、「競争が働いていないといわざるを得ない」と語った。 また、公正取引委員会が4年分割払いでスマートフォンの料金を実質半額にする「4年縛り」などを問題視していることを挙げ、「政府として公正取引委員会と十分連携し、今まで以上に利用者に分かりやすく納得できる料金やサービスが実現されるよう取り組んでいきたい」と述べた。
厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査によると、2017年の実質賃金は16年に比べて0.2%減少し、2年ぶりのマイナスになった。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増加したものの、物価の伸びに賃金の伸びが追い付いていない状況だ。 この報道を受け、「アベノミクス失敗」「私が死ぬまでにアベノミクスって結果出るの?」と経済政策の見直しを求める声が相次いでいる。 「やがて実質賃金も上昇する…を繰り返すエコノミストって何年言い続けるつもり?」 アベノミクスは、”富裕層や大企業が豊かになることで、雇用創出などを通じて国民全体が豊かになる”というトリクルダウンを目指していると言われることが多い。しかしトリクルダウンが起きる気配がないため、 「アベノミクスにより最低賃金・失業率・株価は軒並み改善しており、これからアベノミクスの果実が全国津々浦々に届けられ、やがて実質賃金も上昇するだろう…を繰り返
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