ウクライナ東部ドンバス(ドネツク、ルガンスク州)地域で「ドネツク人民共和国」、「ルガンスク人民共和国」を名乗る勢力が現れてちょうど1年が経過した。 2014年4月、彼らやロシアのウラジーミル・プーチン大統領の表現を借りれば「ファシスト政権に抵抗した市民」、ウクライナ側の表現では「ロシアの工作員と扇動された集団」が治安機関・行政施設を次々に占拠し、親国家ウクライナから独立した人民共和国の創設を宣言したのだ。 これに対するウクライナ側のカウンター・テロ作戦(ATO)が発動され、2度の停戦合意を挟み100万人を超える避難民と6000人以上の犠牲者を出しながら、両人民共和国は今日でもドンバスの3分の1程度の領土と300万の住民を維持し続けている。 言うまでもなく、彼らの存続はロシア政府の支援にかかっている。しかし、ロシア政府に併合はおろか国家承認の意図すら見えない。人民共和国の維持コストの負担を明