ドラムをたたく川口千里さん 5月31日夜、東京六本木のライブハウス「ブルーノート東京」に、日本の名だたるジャズ演奏家が集う「オールスター・ジャズ・オーケストラ」が登場した。ハスキーな声でジャズやブルースのナンバーを歌い上げるのは、特別ゲストの夏木マリ。そのすぐ後ろで、川口さんが軽快なリズムを刻み続けていたかと思うと、「スパーン」と胸のすくような力強いスネアドラムを響かせる。オーケストラの奏でる音の束を確かなドラミングでまとめ上げていた。 ドラムとの出会いは偶然だった。5歳の時、三重県四日市市で開業医をしている父が安売りの電子ドラムセットを衝動買いした。父は楽器ができず、かといって子供のために買ったわけでもなかった。電子機器を分解して内部構造を観察するのが趣味で、たまたま目を付けた。分解すると、もう興味はなくなった。 このドラムにはまったのは、娘の川口さんの方だった。初めはゲーム感覚でたたい