国内外のアーティストから高い評価を受けているドラマーの川口千里(せんり)さん(25)。幼いころに偶然ドラムと出会い、「天才少女ドラマー」として注目され、高校生でプロの道に進む。だが、プロとなると厳しい視線にもさらされる。小さな体格でどうやって力強い音を出すか。誰のまねでもない独創性をいかに身につけるか。そして、音楽にどのように向き合うべきか。さまざまな壁を乗り越えて見えてきたのは、どんな時でも心の底から演奏を楽しむ境地だ。 ドラムをたたく川口千里さん 5月31日夜、東京六本木のライブハウス「ブルーノート東京」に、日本の名だたるジャズ演奏家が集う「オールスター・ジャズ・オーケストラ」が登場した。ハスキーな声でジャズやブルースのナンバーを歌い上げるのは、特別ゲストの夏木マリ。そのすぐ後ろで、川口さんが軽快なリズムを刻み続けていたかと思うと、「スパーン」と胸のすくような力強いスネアドラムを響かせ
