日本の最高指導者である首相が脱法行為の疑いを持たれるという異様な事態が起きている。 それは、鳩山由紀夫首相側が実母名義の口座から年間1億8千万円、6年余りに提供された総額約11億円が、相続税法違反(贈与税の脱税)とされる嫌疑である。罪に問われるかどうかは、行為の悪質さによる。予断は許されないが、「首相の犯罪」にもなりかねない脱法行為は、国政の根幹を揺るがしかねない重大事であることを自覚しなくてはなるまい。 納税は行政と国民の間の信頼関係の上に成り立っており、課税や徴税はもっとも基本的な公権力の行使である。その税金に対する信頼を国家の最高責任者が損なえば、「税金逃れ」がはびこるようになるのは自明である。国の心棒が融解しかねないのだ。首相の資格そのものが問われている。 首相がまず果たすべきは説明責任だ。臨時国会は4日に閉会するが、党首討論は一度も開かれない。政治とカネに関する集中審議も実現しな