スケーター、文化史家、哲学者、音楽家などへの取材を通じ、「声」をきくこと・書きとめることの困難と可能性に向き合ったプリント版『WORKSIGHT[ワークサイト]19号 フィールドノート 声をきく・書きとめる Field Note』。 本日7月25日(木)、本誌に登場する哲学者・永井玲衣の新刊『世界の適切な保存』が発売された。これに際し、永井玲衣による「きく」ための5つのヒントと、WORKSIGHT編集部員3名が加わり「きく・きかれる」ことの難しさを語り合った企画「人の話を『きく』ためのプレイブック」を特別公開する。 行為だけでなく態度としての「きく」とは。また、その過程で経験する「わからなさ」や沈黙との向き合い方についても掘り下げた。 永井玲衣|Rei Nagai 学校や企業、寺社、美術館、自治体などで哲学対話を行うほか、哲学エッセイの連載も手がけるなど、幅広く活躍している。著書に、『水中
撮影:岩下周平 親しい友人であれば平気なのに、上司や部下、取引先など“あまり親しくない人”との雑談やアイスブレイクに「何を話せばいいんだっけ……?」と、戸惑った経験はありませんか。 ライター・インタビュアーのいしかわゆきさんも、かつては「親しくない人との雑談」に強い苦手意識を抱いていたそう。しかし、「聞くスキル」を磨いたことで、どんな相手とでも会話をすることが苦痛ではなくなったといいます。 今回はそんないしかわさんに「聞くスキル」を中心とした、明日から使える具体的な会話のコツを教えてもらいました。 雑談が苦手でも「話を聞く」ことはできる いしかわさんは現在インタビューライターとして、さまざまな人に話を聞くお仕事をされています。ですがもともとは「他人に興味が持てず、人と関わるのが苦手」という悩みがあったそうですね。 いしかわゆきさん(以下、いしかわ):はい。私は昔から「人と話したい」という気
僕ら、UMA/design farmは大阪を拠点に活動をしている。北浜と天満橋の間で、大川がゆっくりと流れるところにスタジオを構えている。窓からは中之島の先っちょが見えて、天神祭の日は賑やかな川を見ることができる(でも花火はみえません)。多くのプロジェクトを協働している編集スタジオMUESUMとシェアをしていて、みんなが集まる日はワイワイと賑やかだ。壁にはサインの実寸を貼って検証していたり、本の全ページが貼られて編集会議をしたり、誕生日ケーキを食べたり。コロナ禍は寂しい感じだったけど、少しづつ楽しい時間が戻ってきている。ちなみに1回目の投稿の写真はスタジオの一部だけど、遊びにきてくれた大好きなFrancois Halardさんが僕のカメラで撮ってくれたもの。自慢 ↓ Francois Halardさん撮影による僕らのスタジオ、にしのくんがつくってくれたキッチン大阪を拠点に! と書いてみると
「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」(ヤングアニマルZERO&Web)をご存じでしょうか。X(旧Twitter)で日本のトレンド1位になったマンガです。 ドカ食いダイスキ! もちづきさん - まるよのかもめ|ヤングアニマルZERO&Webコミチは白泉社「ヤングアニマルZERO&Web」運営のお手伝いをしていますが、「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」のトレンド入りにはとても驚きました。何よりも、まだ第3話までしか配信されていません(2024年6月20日時点)。 なぜ話題になったのか。読んだ方々のコメントを見ながら思ったのは、XというSNSとの相性の良さです。主人公のもちづきさんが「こんなに食べてはいけないとわかっているけど、ドカ食いしてしまう」姿に、「わかる」「わたしもこんなに食べている」という共感が集まりました。 Xは「#マンガが読めるハッシュタグ」などがあり、昔からマンガが読まれるプラ
The Atlantic誌に「外国語教育の終焉」(The End of Foreign-Language Education)という記事が載っていた。 この記事にもある通り、最近ではAIによって、外国語の文章の翻訳だけではなく、外国語を流暢に話す自分の音声やビデオすら、10ドルもあれば比較的簡単に作ることができる。ようするにディープフェイクだが、試しに作ってみるとなんだか不気味ですらある。自分であって自分でない、確かにシミュラクルだ。 とすると外国語を学ぶモチベーションが落ちるのもやむを得ないところで、記事によれば米国の大学における英語以外の言語コースの総登録者数は、2009年から2021年にかけて29.3%減少したという。オーストラリアでは2021年の高校3年生の8.6%しか外国語を学んでおらず、韓国やニュージーランドでも、外国語学科を閉鎖する大学が相次いでいるそうだ。逆に非英語圏では、
東京・上野の国立西洋美術館で3月12日から企画展『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』が開催されている。同館において初めて現代美術を軸に据えた展覧会であり、同館が現代作家の糧となってきたかを検証するという自省的な問いがテーマとなっている。そのため同館だけではなく、美術館という存在や美術界そのものについて切り込むような作品も並んでいる。企画者で同館主任研究員の新藤淳さんに、企画展の出発点をはじめ、作品や作家から受け取った課題、そして国立西洋美術館の存在意義などを語ってもらった。 ―国立西洋美術館は現代のアーティストを触発してきたのか? という問いが今回の展覧会の主題だったと思います。このような自己言及的なテーマにした理由や背景を、あらためて教えてください。 新藤:国立西洋美術館は主に中世から20世紀前半までの西
会話のテンポが速くなっている。 デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。 昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもありますが、会話に「間」が少なくなったことも大きい。そう思います。 例えば15年前。私はアートディレクターでした。その時の会話は10秒くらい黙ったり、ゆっくり考えながら言葉を探し、時には言葉を撤回し、言い直し、なんとかなんとか喋っていました。 会話能力が低かったということではありません。言葉にならないものをじっくりと丁寧にすくい上げ、意思疎通をはかることが、デザインの仕事の当たり前だったからです。少なくとも、私の周りはそうでした。 私は、今はサービスデザインやデザインマネジメントの仕事です。その影響で会話が速くなっているのかもしれません。 ところが、最近でも、たとえばコミュニケーションデザイナーと仕事する場面でも会話が速くなったと思う
多様性とは「ある集団の中に、さまざまな特徴や特性を持つ人がともに存在していること」。 少し前までは、人種や国籍、性別、年齢、障がいの有無、宗教、性的指向といった「何らかの事情を抱えたマイノリティ(少数派)」に対して使われるケースが少なくありませんでした。 一方、近年は、価値観をはじめ「一人ひとりの違い」に目が向けられ、より多くの場面で、多様性という言葉を見聞きするようになりました。 しかし、多様性という言葉が多くの人に知られるにつれて、各企業では「新たな課題」が生まれているようです。 世代間ギャップが「多様性の課題」に 僕はサイボウズで複業しながら、しごとのみらいというNPO法人を経営している。 しごとのみらいでは、僕がかつて受けた、ストレスをかけるマネジメントにより心が折れかかった経験や、自身が管理職になり、関わり方を変えることで、チームが変わった経験をもとに、組織づくりやコミュニケーシ
以前Less is More.でもお話しいただいた発達科学者の萩原広道氏は、乳幼児期の言語発達に注目しながら、子どもたちには世界がどう見えているのかを研究している。 先月。そんな萩原氏と学生たちとで「大学生を疑似体験するボードゲーム」なるものを開発していることが発表された。発達心理学の研究との関連、そしてどのような思いで作り始めたボードゲームなのか。萩原氏にお話を伺った。 萩原 広道:大阪大学大学院人間科学研究科助教。博士(人間・環境学)。専門は発達心理学、発達認知科学。作業療法士、公認心理師。東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)協力研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員。 著書に『〈京大発〉専門分野の越え方』(編著、ナカニシヤ出版)、『子ども理解からはじめる感覚統合遊び』(編著、クリエイツかもがわ)、『人間発達学』(分担執筆、メジカル
美術館からどう社会をほぐす? アート・コミュニケータ「とびラー」が生み出す“対話”の場 こここレポート vol.06 家庭、会社、学校など、私たちは時と場所、そして他者との関係性に応じて、さまざまな役割のなかでコミュニケーションをとっている。 「家族として」「社員として」「クラスメイトとして」……私たちを力づけることも、縛ることもあるその立場からちょっと抜け出し、新しいコミュニティへ所属することができたら。歳や肩書きに関係なく自由に意見を交わし、認め合いながら新たな役割を見つけることができたら。そこで得た価値観や気づきは、日常にまた違った新鮮さを生み、私たちをより豊かにしてくれるのではないのだろうか。 いま、そうした新しいコミュニティになりうる場として、「美術館」に注目が集まっている。その先駆け的な存在が〈東京都美術館〉を拠点に活動する、「とびラー」と呼ばれるアート・コミュニケータたちだ。
宣伝会議は、2023年11月29日(水)、30日(木)に九段会館テラスにて「宣伝会議マーケティングサミット2023」を開催しました。2日間で合計34セッションの講演、展示ブースでのプレゼンテーション、マーケター交流会などが開催されました。本稿では、事業活動に寄与するオウンドメディアのあり方について議論したセッションについてレポートします。 なお次回の宣伝会議主催のリアルイベントは、2024年2月29日(木)、3月1日(金)に「アドタイ・デイズ2024春」を浜松町コンベンションホールで開催予定です。 (写真右)キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部 平山高敏 氏 (写真左) ニチレイフーズ マーケティング部 広報グループ 原山高輝 氏 企業起点と社会起点 ─(オンライン上の)オウンドメディアというとたくさんの種類があります。オウンドメディアと聞いて思い描くものも各々で異なり
今、求められているのに、忘れられがちなのは、人間性だと思う 【カンヌライオンズ2023 インダストリークラフト部門 グランプリ】電通 八木義博さん クリエイターの未来 今までのやり方では何も動かせない、そんな時代になった。社会の変化は速く、予測できない事態を生み、環境破壊、格差・差別、分断をはじめ、人類が取り組むべきソーシャル・イシューはますます複雑化している。今こそ、「別解」を求める必要性を感じている方も多いだろう。そう、あらためて創造力や発想力といった脳力が求められているのだ。そこで、クリエイターの頭の中をのぞき、その秘密を解いてみようと考えた。旬のクリエイターをお招きし、元博報堂・クリエイティブディレクターの黒澤晃がインタビューしていくシリーズ<クリ旬>。第6回目は、カンヌライオンズ2023にてインダストリークラフト部門 グランプリを受賞した電通の八木義博(やぎよしひろ)さんです。
なぜ若者は写真アプリに夢中になるのか、その利用実態から見えてきたこと(2015年12月25日) ウェブ電通報10年振り返り企画、今回はZ世代に人気のコミュニケーションアプリ潮流に見る、若者とメディアの関係編です! ウェブ電通報がスタートしてからも、若者が利用するコミュニケーションアプリのトレンドやメディアとの関わり方は常に変化してきました。こうしたコミュニケーションツールの潮流に関しては、電通総研メディアイノベーション研究部によるウェブ電通報のコラム「ドミニク・チェンさんと考えるビジュアルコミュニケーションの未来」連載が注目を集めました。 Instagram、Twitter、Vine、Facebook、YouTube、Snapchat、MixChannel…ビジュアルコミュニケーションアプリの使い分け方を探る (前略) 設樂:その一方で自慢的な写真が多いところで敬遠するユーザーも。Inst
この記事は、SNS上の言葉で傷ついたり、逆に、人を傷つけていないか悩んでいるあなたの、お守りになることを願ってつくられたものです。 書いているのは、自身も同じ悩みを持つライターの荒田もも。 お話を伺ったのは、校正者の大西寿男(おおにし・としお)さんです。 右が校正者の大西寿男さん、左がライター荒田もも 校正とは、本が世の中に出る前に、内容に誤りがないか、表現に不適切なところがないか、前後で矛盾する内容がないか、読みにくくないか、などをチェックする仕事。 みんなが安心して本を読めるように支えてくれている、縁の下の力持ち的存在です。 2023年1月、大西さんはNHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演。 ?明日夜10時! #校正者・#大西寿男 さん✏#芥川賞 作家の #金原ひとみ さん、 #宇佐見りん さんをはじめ、名だたる作家や編集者から絶大な信頼を得る大西さん。 言葉の海に潜り込
JINS PARK4代目編集長の堀井美香さんとお届けしてきた特集「想うために、聴く」。伝えることよりもむずかしい、他人を想うための傾聴という営みについて、これまでインタビューや対談など、計6本の記事をお届けしてきました。 今回は、山崎怜奈さんとの対談。山崎さんは、2013年から約9年間、乃木坂46のメンバーとして活動されてきました。2020年には、乃木坂46現役メンバー初(当時)の、帯のラジオ番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと』がスタート。その人柄・声の質・そして技術の高さに、リスナーはもちろん、業界関係者からも絶賛の声がやみません。 互いに人気音声コンテンツのパーソナリティとして、「聴く」ことへどのような魅力を感じ、どう体現しているのか。プライベートで食事に行くことも多く、家族ぐるみの付き合いもあるというほど親交の深いおふたりに、じっくり語っていただきました。 娘のような存在であり、
ろう者の文化は継承されてこなかった塚田 今回の「DISTANCE これからの距離を考えるーー〈わかりあえなさ〉のコミュニケーション」という特…
【鼎談】金子由里奈 × 伊藤亜紗 × 青柳菜摘|会話のすきまから。日常会話・映画・詩——フィラーを入り口に考えるコミュニケーションと遊び 会話やメールやSNSで、私たちは日々無数の言葉を交わしている。そんなやり取りを「効率化」させるための術として「無駄な言葉を省くことでちゃんと伝わる!」という言説がよく聞かれる。 はたしてそうか? 何ごとも、遊びがないとむしろ不安では―。発話やコミュニケーションの研究で知られる美学者・伊藤亜紗と、会話表現にこだわった新作も上映中の映画監督・金子由里奈、声や文字をあつかうアーティスト・詩人の青柳菜摘の3人が、そんな“会話の遊び”を巡って会話する。 (この記事は2023年7月20日(木)に発売された『XD MAGAZINE VOL.07』より転載しています) “遊び言葉”との付き合い方 「ええと」「ああ……」のようなフィラー(遊び言葉やつなぎ言葉とも呼ばれる)
心理的安全性という概念がある。ここ十年ほどチームづくりの最重要ファクターであるともてはやされ、他方では粗雑な理解によって批判されてきた。急に人気の出たアイドルの宿命みたいなものを背負っている。 世間的なイメージがどのようなものか、少し羅列してみよう。 なんでも言える。否定されない。安心して働ける。不安がない。感情を大切にしてもらえる。あなたはあなたのままでいいと肯定される。 こうしたイメージを抱いている人もいるかもしれないが、残念ながらこれらは、心理的安全性の正しい姿からは遠くかけ離れている。ただ安心してほしいのは、こうした誤解をしている人は決して少なくないということだ。 手持ちのグーグルで「心理的安全性 誤解」と検索してみると、何ページにもわたって理解を正す記事が並んでいる。NewsPicksも、プレジデントも、朝日新聞も、Qiitaも、東洋経済も、あらゆるメディアが心理的安全性の誤解に
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