政府の原子力損害賠償支援機構は31日、東京電力の第三者割当増資を公的資金1兆円で引き受け、実質国有化した。これは一見、政府が東電を救ったようであるが、実際に救われたのは日本の大手銀行の利益である。日本のメガバンクは、東電に対して数兆円の融資をしている。東電が破綻すれば、当然、これらの債権が焦げ付く。銀行は、そういったリスクを承知で東電に相応の金利を取って金を貸していたのだから、破綻したら、その損失を被るのは本来当然である。 しかし、巨大な金融機関は、破綻すると金融機関の連鎖倒産を引き起こし、社会全体にとって必要不可欠な金融システムが崩壊してしまう。こうしたシステミック・リスクを回避するために、時に政府による救済が行わる。ところが、今回の件では、まったくもってシステミック・リスクの心配は必要なかった。メガバンクは3行で、2012年3月期の1期のみで、合計で2兆円ほどの利益を上げており、東電救