今回開発した「分子綱引き」のナノシステムを応用し、さまざまな細胞内の分子動態モデルを細胞外で提案していく予定です。これによって、細胞内における複雑な分子機構を個別に取り出して単純化することで、その機構解明に貢献できると考えています。 本研究は、マイクロ・ナノファブリケーション技術とモータタンパク質をいかに融合するかという取り組みから始まりました。このため、工学的な視点からは、今回の成果により確立したモータタンパク質を配置したり運動制御したりする技術を用いて、新たな分子ナノシステムの開発も目指します。 概要 細胞内に存在するキネシンやダイニンは、微小管に沿って移動するモータタンパク質であり、細胞内小器官の輸送や細胞分裂の際の紡錘体形成や染色体分離に重要な役割を果たしています。これまでに、1分子生物物理学の発展により、モータタンパク質の1分子における発生力や運動機構が明らかになってきました。し