札幌市で生活保護受給者の自立支援を目的とする共同住宅が全焼し、11人が死亡した。入居者の大半は高齢で身寄りもなく、中には介助を必要とする人もいた。 困窮者や高齢者が入居する施設で火災が相次ぎ、犠牲が出ている。その度に施設の防災設備の不備や避難しにくい建物の問題が指摘されてきた。 もちろん、安全対策の詳しい検証は必要だ。しかし、そもそも生活が苦しい高齢者に住まいが確保されているとは言い難い状況がある。安全な住まいをどう確保するかを考えねばならない。 今回の札幌の共同住宅も民間の会社が旅館だった木造の建物を借りて運営し、住居や就職先が見つかるまで一時的に入居する場とされていた。家賃は3万6千円。夜間は職員はいなかった。火災報知器はあったがスプリンクラーはなかった。 厚生労働省によると、生活困窮者向けの「無料・低額宿泊所」は全国530カ所以上あり、約1万5千人が利用している。一方、無届けの施設も