「東京電力福島第1原発事故がもたらした差別と分断を乗り越えるにはどうしたらいいか」をテーマとした「しあわせになるための『福島差別』論」が1月、かもがわ出版から発行された。「福島には住めない」などといった放射線を巡る不正確な情報や誤った認識が招く県民への差別やいじめ、偏見などについて、幅広い分野の著者が考えを述べている。 福島大名誉教授の清水修二氏やドイツ文学者の池田香代子氏、絵本作家で、いわさきちひろ氏の孫の松本春野氏、東大名誉教授の早野龍五氏、立命館大准教授の開沼博氏ら14人が執筆。第1章で東京電力福島第1原発事故がもたらした被害の全体像について述べ、第2章では県民に向けられる差別や偏見をどうすれば乗り越えられるかを考察。第3章は放射線について書かれ、第4章は放射線の健康影響問題、特に子どもの甲状腺がんを巡る問題を論じた。第5章は廃炉の課題について触れた。 清水氏はこの本で、放射線リスク