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ブックマーク / blog.tatsuru.com (16)

  • スイスのラジオ局から訊かれたこと (内田樹の研究室)

    スイスのラジオ局から先日メールがあって、日の宗教事情についての番組を作るために訪日するけれど、インタビューを受けてくれるかというお訊ねを頂いた。 現代日の宗教事情について詳しく知りたいなら「えーひとがおりまっせ」ということで釈先生を巻き込んで再来週、練心庵で二人でインタビューを受けることになった。 いきなりインタビューされても答えに詰まることもあろうから、事前に質問状を送って欲しいと書いたら、こんな質問状が今朝届いた。 スイスのラジオ局のひとりのディレクターから見えた「現代日のイメージ」がはっきりと示されていて、たいへん興味深かったので、和訳したものを掲載しておく。 どういうふうに答えようか、これから考えてみる。 質問状はここから↓ 今日の日に「日の国民的信仰」というものは存在しますか? 単なる社会契約という以上の国民的な統合の軸というもの、アメリカ人における「市民宗教」(rel

    スイスのラジオ局から訊かれたこと (内田樹の研究室)
  • 大瀧詠一の系譜学 - 内田樹の研究室

    2013年12月31日、大瀧詠一さんが亡くなられた。 むかしばなしを一節語って供養に代えたい。 1976年の3月に野沢温泉スキー場で『楽しい夜更かし』を聴いたのが最初の大瀧音楽経験だった。スキー場から戻ってすぐにレコード店に行って『Niagara Moon』を買い、以後37年忠実なナイアガラ-として過ごした。 大瀧さんとはじめてお会いしたのは2005年8月21日。そのときの感動については当時の日記に詳しいので再録。 「行く夏や明日も仕事はナイアガラ 長く生きているといろいろなことがある。 まさか大瀧詠一師匠にお会いできる機会が訪れようとは。 お茶の水山の上ホテルの玄関で、キャデラックで福生にお帰りになる大瀧さんを石川くんとお見送りして、ただいまホテルの部屋に戻ってきたところである。 午後3時から始まった対談は二次会のホテルのレストランから「営業時間終わりです」と言われて追い出されるまでなん

  • コミュニケーション能力とは何か? - 内田樹の研究室

    土木学会というところから「コミュニケーション能力について」の寄稿を頼まれた。 9月に書いて送稿したものが活字になって今日届いた。 学会誌なので、一般読者の目に触れる機会はないと思うので、そこに書いたものを採録しておく。 「コミュニケーション能力」とは何か 就活している学生が「これからはもっとも重視されるのはコミュニケーション能力だそうです」と言うので、「うん、そうだね」と頷きながらも、この子は「コミュニケーション能力」ということの意味をどう考えているのかなとちょっと不安になった。 たぶん「自分の意見をはっきり言う」とか「目をきらきらさせて人の話を聞く」とか、そういう事態をぼんやり想像しているのだろうと思う。 もちろん、それで間違っているわけではない。でも、どうしたら「そういうこと」が可能になるかについてはいささか込み入った話になる。 例えば、どれほど「はっきり」発語しても、まったく言葉が人

  • 朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿 - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「オピニオン」の5月8日紙面に長いものを寄稿した。 「日の現在地」というお題だったので、次のようなものを書いた。 朝日新聞を取っていない人のためにブログに転載する。 日はこれからどうなるのか。いろいろなところで質問を受ける。 「よいニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」というのがこういう問いに答えるときのひとつの定型である。それではまず悪いニュースから。 それは「国民国家としての日」が解体過程に入ったということである。 国民国家というのは国境線を持ち、常備軍と官僚群を備え、言語や宗教や生活習慣や伝統文化を共有する国民たちがそこに帰属意識を持っている共同体のことである。平たく言えば、国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りすることを政府がその第一の存在理由とする政体である。言い換えると、自分のところ以外の国が侵略されたり、植民地化されたり、飢

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    warriorking 2013/05/10
    朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿 (内田樹の研究室)
  • 憲法記念日インタビュー - 内田樹の研究室

    5月3日に東京新聞の憲法記念日インタビューが掲載された。 お読みでない方のために、ここに転載しておく。 「いつもの話」である。 「それはもうわかった」と言われても、しつこく言い続けるのが身上ということで、ひとつ。 ―96条の意義をどう考えますか。 「変えるな」という意味だと思います。憲法は国のあるべき形を定めたもの。硬性であるのが筋です。政権が変わるたびに国のあるべき形がころころ変わっては困る。憲法改正している他の国も立国の理念まで変えているわけではありません。 改憲論者は、そもそも憲法が硬性であることがよくないという前提に立ちます。国際情勢や市場の変動に伴って国の形も敏速に変わるべきだと思っているから、そういう発言が出てくる。 これはグローバリスト特有の考え方です。 ビジネスだけでなく政治過程も行政組織も、あらゆる社会制度はそのつどの市場の変動に応じて最適化すべきだと彼らは信じています。

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    warriorking 2013/05/06
    憲法記念日インタビュー (内田樹の研究室)
  • 就活についてのインタビュー - 内田樹の研究室

    朝日新聞デジタルというところからインタビューを受けた。 お題は「就活」。 「就活なんか、するな。卒業するまでは大学生として大学での活動に全力を尽くし、卒業してから、その先のことは考えなさい」というのが私の年来の主張である。 今していることをおざなりにして「ここではない場所で、あなたではない他の人たちとする仕事」に前のめりになっているような人間をあなたは重用する気になるか。 私はならない。 そんな人間はどこにいっても使い物にならないということを経験的に知っているからである。 でも、同意してくれる人はきわめて少ない。 マスメディア上では「ゼロ」である。 珍しく朝日新聞(ただしWEB版)からこの件でお座敷がかかった。 でも、それは「息子が内田樹の書いたものを読んで『就活をやめる』と言い出したので、ちょっと腹を立てた母親」がインタビュアーという、ちょっと不思議な趣向のものであった。 インタビュアー

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    warriorking 2013/01/12
    就活についてのインタビュー (内田樹の研究室)
  • 仕事力について - 内田樹の研究室

    4月に一ヶ月間、毎週一度朝日新聞の求人欄の上のコラムに「仕事力」というエッセイを連載しました。いつもの話ですけれど、就活する学生たちに対して言いたいことをわりとコンパクトにまとめてあるので、そういう立場にいる方はぜひご一読ください。 自分の適性に合った仕事に就くべきだと当たり前のように言われていますが、「適職」などというものがほんとうにあるのでしょうか。 僕は懐疑的です。 「キャリア教育」の名のもとに、大学2年生から就活指導が始まり、その最初に適性検査を受けさせられます。 これがいったい何の役に立つのか、僕にはまったくわかりません。 大学で教えている頃に、ゼミの学生が適性検査の結果が出たのだが、と困惑してやってきたことがありました。 「あなたの適職は1位キャビンアテンダント、2位犬のトリマーと出たんですけど、私は一体何になればいいのでしょう?」 就職情報産業は学生たちを、自分には「これしか

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    warriorking 2012/05/03
    仕事力について (内田樹の研究室)
  • 教育の危機と再生 - 内田樹の研究室

    先日、兵庫県庁での研修会で講演したときの講演録が出来ました。うちうちで配布するものなので、ここに再録しておきます。 中身は「いつもの話」ですけれど、まあ、いいじゃないですか。いつもの話で。 では、どぞ。 はじめに 内田でございます。 ただ今ご紹介にありましたとおり、このすぐ先の神戸市東灘区住吉というところに去年の11月に自宅兼道場を作りまして、そちらで合気道の稽古をしております。 合気道は始めて37年になります。神戸女学院大学の合気道部を21年前に立ち上げたとき、同時に社会人の団体も創設しました。そちらの会は公共施設を借りて、西宮市の中央体育館や芦屋市の青少年センター柔道場でやっておりました。このたび宿願の専用道場をつくりまして、今は毎日稽古三昧の生活をしております。 今、学塾というご紹介もありましたけれど、大学でやっておりました社会人対象の大学院のゼミの聴講生たちから、引き続き開講してく

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    warriorking 2012/03/21
    教育の危機と再生 (内田樹の研究室)
  • 教育の奇跡 - 内田樹の研究室

    『みんなのねがい』(全障研出版部)という媒体に教育について寄稿した。 「いつもの話」ではあるが、教育についてビジネスマンのような言葉づかいがあまりにメディアに瀰漫してるので、「教育はビジネスの言葉づかいでは語れない」という原理的なことを確認するために書いた。 「教える」という営みの質についてもっとも洞察に富んだ言葉を残したのは、フランスの精神分析家ジャック・ラカンである。ラカンは(やがてフランス中の知識人がエコール・ノルマルの講堂を埋め尽くすことになる)その伝説的なセミナールの最初の時間にこう述べた。 「教えるというのは非常に問題の多いことで、私は今教卓のこちら側に立っていますが、この場所に連れてこられると、すくなくとも見掛け上は、誰でも一応それなりの役割は果たせます。(・・・) 無知ゆえに不適格である教授はいたためしがありません。人は知っている者の立場に立たされている間はつねに十分に知

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    warriorking 2012/03/16
    教育の奇跡 (内田樹の研究室)
  • 不便さと教育 - 内田樹の研究室

    丸善が出している『學鐙』という雑誌に教育論を寄稿した。 一般の方にはあまり手に取るチャンスのない媒体なので、ここに採録しておく。 不便さと教育 というタイトルを頂いて原稿を書くことになった。たぶん「教育と効率」の背馳について論じて欲しいというのが編集部の趣旨であろうと思うので、それについて書くことにする(違ったらごめんなさい)。 教育と効率は質的になじまない。というのは、効率というのは、「単位時間内の仕事量」を以て考量するものであるが、教育がそのアウトカムを計測するときの時間の幅は原理的に「その人が死ぬまで」というもので、「単位時間」を切り出すことができないからである。 もちろん、無理をすれば単位時間を切り出して(「1時間以内の」とか「一学期以内の」とか「卒業時までの」とか)教育のアウトカムを考量することもできないことではない。 けれども、そこではじき出された数値は、教育を受ける人にと

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    warriorking 2012/03/11
    不便さと教育 (内田樹の研究室)
  • 沖縄の基地問題はどうして解決しないのか? - 内田樹の研究室

    沖縄タイムスの取材で、沖縄の基地問題について少し話をした。 この問題について私が言っていることはこれまでとあまり変わらない。 沖縄の在日米軍基地は「アメリカの西太平洋戦略と日の安全保障にとって死活的に重要である」という命題と、「沖縄に在日米軍基地の70%が集中しており、県民の91%が基地の縮小・撤収を要望している」という命題が真っ正面から対立して、スタックしている。 デッドロックに追い詰められた問題を解くためには、「もう一度初期条件を点検する」のが解法の基である。 まず私たちは「アメリカの西太平洋戦略とはどういうものか?」という問いから始めるべきである。 ところがまことに不思議なことに、沖縄の基地問題を論じるためにマスメディアは膨大な字数を割いてきたが、「アメリカの西太平洋戦略とはどういうものか?」といういちばん大の問いにはほとんど関心を示さないのである。 どこを仮想敵国に想定し、ど

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    warriorking 2012/02/28
    沖縄の基地問題はどうして解決しないのか? (内田樹の研究室)
  • 困難な時代を生きる君たちへ - 内田樹の研究室

    神戸新聞の元日配達号に「中高生のために」一文を草して欲しいと頼まれた。 困難な時代を生きる君たちへというタイトルを頂いた。 神戸新聞購読者以外の方の眼には止まらなかったものなので、ここに再録する。 みなさんがこれから生きて行く時代はたいへんに困難なものとなります。 戦争に巻き込まれるとか、大災害に襲われるとかいうことではありません。そうではなくて、みなさんがこれから幸福な人生を送るために、どういう努力したらいいのか、その「やりかた」がよくわからないということです。 まじめに受験勉強をして、いい大学を出て、一流企業に就職したり資格や免状を手にすれば、あとは生計について心配はしなくてよいというような「人生設計」を立てることがむずかしくなった。 ただし、「むずかしくなった」だけで、まるで不可能になったわけではありません。そこがむしろ問題なんです。受験勉強なんか無駄、学歴なんか無意味、資格や免状も

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    warriorking 2012/01/10
    困難な時代を生きる君たちへ (内田樹の研究室)
  • さよならアメリカ、さよなら中国 (内田樹の研究室)

    昨日の結婚式では右隣が某自動車メーカーの取締役、左隣が某貴金属商社の取締役だったので、さっそく日経済の今後について、東アジア圏の経済動向について、現場からのレポートをうかがう。 私は昔から「異業種の人から、業界話を聞く」のがたいへん好きなのである。 あまりに熱心に話を聞くので、相手がふと真顔になって「こんな話、面白いですか?」と訊ねられることがあるほどである。 私が読書量が少なく、新聞もテレビもろくに見ないわりに世間の動向に何とかついていけるのは、「現場の人」の話を直接聞くことが好きだからである。 新書一冊の内容は、「現場の人」の話5分と等しい、というのが私の実感である。 さっそく「TPP加盟でアメリカ市場における日車のシェアは上がるのでしょうか?」というお話から入る。 「多少は上がるでしょう」というのがお答えであった。 アメリカの消費者は同程度のクオリティであれば、ブランドというもの

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    warriorking 2011/11/01
    さよならアメリカ、さよなら中国 (内田樹の研究室)
  • 地方紙の存在意義について - 内田樹の研究室

    10月29日朝日新聞の朝刊オピニオン欄に、アメリカの地方新聞の消滅とその影響についての記事が出ていた。 たいへん興味深い内容だった。 アメリカでは経営不振から地方紙がつぎつぎと消滅している。 新聞広告収入はこの5年で半減、休刊は212紙にのぼる。記者も労働条件を切り下げられ、解雇され、20年前は全米で6万人いた新聞記者が現在は4万人。 新聞記者が減ったこと、地方紙がなくなったことで何が起きたか。 地方紙をもたないエリアでは、自分の住んでいる街のできごとについての報道がなくなった。「小さな街の役所や議会、学校や地裁に記者が取材に行かなくなった」 「取材空白域」が発生したのである。 カリフォルニアの小さな街ベルでは、地元紙が1998年に休刊になり、地元のできごとを報道するメディアがなくなった。 すると、市の行政官は500万円だった年間給与を十数年かけて段階的に12倍の6400万円まで引き上げた

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    warriorking 2011/10/30
    地方紙の存在意義について (内田樹の研究室)
  • 格差と若者の非活動性について - 内田樹の研究室

    ある媒体から若者の労働観についてアンケートを受けた。 みじかい回答を期待していたはずだが、やたら長くなってしまったので、たぶんこのままでは掲載されないだろう。 自分としてはたいせつなことを書いたつもりなので、ここに転載して、諸賢のご叱正を乞うのである。 Q1.現在、世界では、経済格差(世代間格差ではなく、金持ちとそうではない人との格差)や社会への不満に対して、多くの若者たちが声を上げ、デモを起こし、自分たちの意見を社会に訴えようと行動しています。翻って日ではここ数十年、目に見える形での若者の社会的行動はほとんど見られません。これだけ若者たちにしわ寄せが行く社会になっているのに、そして政策的にも若年層に不利な方向で進んでいるのに、若者たちはなぜ、社会に対して何かを訴えたり行動したりしないのでしょうか? それは特に不満を感じていないからなのか、それともそうした行動に対して冷めているのか。ある

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    warriorking 2011/10/18
    格差と若者の非活動性について (内田樹の研究室)
  • 情報リテラシーについて - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「紙面批評」に書いたものを再録する。 長すぎたので、紙では数行削られているが、これがオリジナル。 「情報格差社会」 情報格差が拡大している。一方に良質の情報を選択的に豊かに享受している「情報貴族」階層がおり、他方に良質な情報とジャンクな情報が区別できない「情報難民」階層がいる。その格差は急速に拡大しつつあり、悪くするとある種の「情報の無政府状態」が出現しかねないという予感がする。このような事態が出来した理由について考えたい。 少し前まで、朝日、読売、毎日などの全国紙が総計数千万人の読者を誇っていた時代、情報資源の分配は「一億総中流」的であった。市民たちは右から左までのいずれかの全国紙の社説に自分の意見に近い言説を見いだすことができた。国民の過半が「なんとか折り合いのつく範囲」のオピニオンのうちに収まっていたのである。これは世界史的に見ても、かなり希有な事例ではないかと思う。 欧

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    warriorking 2011/09/18
    情報リテラシーについて (内田樹の研究室)
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